ハートナーシング
Volume 20, Issue 5, 2007
Volumes & issues:
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特集
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- 正常波形との比較でみるみるわかる!ベッドサイドで役立つ異常波形の読み方
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1 波形を読む前の準備
20巻5号(2007);View Description Hide Description心電図を読み取る能力を向上させるには,心電図にまず慣れることである.心電図は,心臓の電気的活動を記録したものであり,心電図を学習するうえで最初に覚えなくてはならないのは,刺激伝導系をはじめとする心臓の持つ特性である.刺激伝導系を構成しているそれぞれの名称や順序,その特徴をしっかりと理解しておくことが大切である.心電図の示す心臓の電気的変化からは,心臓の状態を読み取ることができ,その意味を理解することで多くの情報を得ることができる. -
2 上室期外収縮・発作性上室性頻拍
20巻5号(2007);View Description Hide Description上室期外収縮は頻繁にみられる不整脈の一つであり,通常は無自覚・無治療で経過をみる場合が多い.発作性上室性頻拍はP波とQRS波形の関係により頻拍の種類が分かり,自覚症状の有無と血行動態への影響の程度により対処が必要である.時に重症不整脈の前兆として出現することがあるため,集中治療室・循環器病棟では24時間心電図モニタリングによる観察が不可欠である. -
3 心房細動・心房粗動・心室頻拍
20巻5号(2007);View Description Hide Description心房細動(Af)は,P波がみられず,基線が不規則に小さな波(f波)を作っており,直線を示さない.生命にかかわることはないので落ち着いて対応する.心房粗動(AF)は,P波がみられず,P波の代わりに連続的なのこぎりの歯のような大きな波(F波)を作る.生命にかかわることはないので落ち着いて対応する.心室頻拍(VT)は,持続すると意識消失や心房細動(Vf)に移行する可能性のある致死的不整脈である.緊急性があり,すぐに医師への報告が必要である. -
4 心室細動・洞不全症候群
20巻5号(2007);View Description Hide Description心室細動は,放置すれば死に至る非常に危険性の高い不整脈である.心室細動になると,数秒で意識消失・呼吸停止が起こり,約3分で脳の不可逆的変化を来してしまう.洞不全症候群は本来正しい刺激を出すはずの洞結節が機能不全に陥る.著しい洞性徐脈,洞停止,洞房ブロックなどの徐脈性不整脈を来すものを洞機能不全症候群という.どちらも直ちに緊急処置の対処が必要になる.緊急事態だということを念頭に置き,発見時は慌てずに対処できるように,日ごろからのイメージトレーニングが重要である. -
5 1〜3度房室ブロック・ペースメーカー不全
20巻5号(2007);View Description Hide Description日々のモニター観察において心電図波形の特徴の理解は起こり得る病態変化の予測ができ,その後の対応につなげていくことができる.房室ブロックの重症例では失神発作や血行動態への影響が生じる例もあり,早期発見による対応が必要となる.また,そのような重症例ではペースメーカー植込みが適応される.ここではペースメーカー植込みの適応となり得る房室ブロック波形の特徴とペースメーカー不全の心電図を説明する. -
6 コラム:私が考える心電図理解への道
20巻5号(2007);View Description Hide Description①初めはシンプルなテキストで学習する.②略語は元の英語の意味をきちんと覚える.③波形の判読はたくさん経験する.④波形の示す意味を考える.⑤普段から心電図モニター画面の前を通るときは,必ず画面を見る.
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連載
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- YELL FOR HEART NURSES
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- ナースなわたしのハートフルデイズ
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- シチュエーション別にステップアップ! ドクターXの心電図スクール
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睡眠中の動悸と不快感で夜間急患外来受診!
20巻5号(2007);View Description Hide Description49歳,男性.生来健康で会社の健康診断でも異常所見を指摘されたことはなかった.会社の忘年会で大量飲酒した翌早朝の睡眠中,突然動悸,胸部不快感が出現したため覚醒したが,しばらく待っても持続するため夜間急患外来を受診した.それまで今回のような症状は経験したことはない. - 誌上実践! ICU版 こんなときどうしよう!?
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脳死患者さんの家族に,ドナーカードのことを告げられた
20巻5号(2007);View Description Hide Description患者は20歳代の男性.交通事故で搬入される.急性硬膜下血腫による脳ヘルニアを発症しており,入院6時間後には咳嗽反射も消失して臨床的脳死状態になった.循環動態は比較的安定しており,全身管理が継続されていた.家族は病院に駆けつけ,交代でICUに入室し,面会の時間を多く持っていた.入院3日目に家族から,「患者がドナーカードを所持していた」と看護師に告げられた. - CARE for ONEー症例から学ぶケアのヒントー
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肺炎治療中に心不全を併発した患者への退院指導−受け持ち看護師としてのかかわりを通しての振り返り−
20巻5号(2007);View Description Hide Description心不全の原因はさまざまであり,心不全と類似した症状を示す疾患(気管支喘息や肺炎・肺水腫,腎不全など)も数多く,鑑別が重要となる.今回,肺炎治療中の患者が労作後に突然呼吸困難を呈し,心不全を併発した.急変時の患者・家族の不安が,退院後の日常生活への不安を招いた症例を通して,受け持ち看護師の役割と具体的な日常生活指導の重要性について考える機会を得たので報告する. - 河村久美子の CCUの上にも3年〜ひよっこから巣立ちまで〜
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- “あったらいいな”みつけましたみんなの施設の一工夫アイテム紹介!!
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正中動脈アプローチ用のシーネ
20巻5号(2007);View Description Hide Description心臓カテーテル検査・治療は,年々進歩を遂げ,穿刺部位も橈骨動脈穿刺法へ移行しています.しかし,余儀なく上腕動脈穿刺を必要とされる患者さんも存在し,カテーテル検査・治療後の上肢抑制に伴う苦痛緩和は現在も求められています.そこで,少しでも患者さんの苦痛の軽減が得られる固定シーネに改良したいと思い,作製しました. - HN・エッセイ ふたつの心臓(ハート)
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- 千春の人生極め道−心疾患と共生する患者の患者の徒然記−
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- 現場で生かせるヒントがいっぱい! 海外文献紹介
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冠動脈バイパス手術を受けた患者の抑うつと創部治癒・術後の回復過程
20巻5号(2007);View Description Hide Description「循環器看護に関する海外の文献を読んでみたい」と思ったことはありませんか? 欧米と日本では,医療の環境は異なりますが,海外のハートナースの取り組みには,日本と共通するところも多いはずです.そこで,本連載では海外文献に少しでも興味を持ってもらうために,循環器看護に関する海外文献を紹介します.英語が読めなくても大丈夫.海外文献への『扉』を開いてみましょう! - めで見る 技アリ看護 ハートナースのお知恵拝借
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集中治療病棟における急性冠症候群(ACS)患者受け入れの工夫
20巻5号(2007);View Description Hide Description集中治療病棟は,高度救命救急センター18床,ICU6床からなり,心肺停止,心筋梗塞,狭心症,重症外傷,中毒,熱傷,切断指,脳血管障害,急性呼吸不全などの患者や,一般的疾患の緊急・重症例,心臓外科手術術後,食道腫瘍術後などの患者に対し高度医療を行っている.その中でも,急性冠症候群(ACS)患者の診療看護においては,初期の的確な診断が重要となる.そのため,看護師には,①的確な情報収集,②冠動脈造影の安全・迅速な施行,③カテーテル治療に伴う合併症や急性冠閉塞の早期発見,④外科的治療(冠動脈バイパス術:CABG)を施行した場合は術後管理および合併症の早期発見,⑤安静度の拡大,といった専門的知識・技術の獲得が求められる.そこで,本稿では上記②③④に関して行った業務改善,スタッフ教育内容,クリニカルパス作成について紹介する. - HEART Dictionary
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左室肥大と心不全内臓脂肪型肥満
20巻5号(2007);View Description Hide Description高血圧,冠動脈疾患,弁膜症などが背景にある左室肥大は,その原因によらず心不全発症の重要な因子です.さらに左室肥大は心室不整脈,心筋梗塞死,心突然死,脳血管障害の頻度を増やします. - 千里の道も一歩から… 心電図読解道場
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- 投稿
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入退院を繰り返す重症慢性心不全患者に対する,外来での点滴治療
20巻5号(2007);View Description Hide Description慢性心不全は,心筋梗塞などの虚血性心疾患や心筋疾患,弁疾患,先天性心疾患などのすべての器質的心疾患の終末的な病態である.末期には運動耐容能の低下を伴うため患者の生活の質(quality of life;QOL)は著しく低下し,全身状態の悪化から低栄養状態,感染症などを合併し入退院を繰り返す原因ともなる.また,致死的不整脈による突然死の頻度も高く,生命予後は極めて悪い.β遮断薬やアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の有効性が示された今日でも,入退院を繰り返す慢性心不全患者の予後は悪性新生物の予後にも匹敵すると言われる.重症心不全患者では1回当たりの直接医療費は最高300万円近くに及ぶことがあり,社会的支出も莫大な金額となる1).さらに今後,高齢化社会においては有病率の増加が予想され,末期慢性心不全患者の治療は社会的問題としてとらえる必要がある.当院では入退院を繰り返す重症慢性心不全患者に対する外来での短時間点滴療法のシステムを数年前より検討中であり,約20例の末期心不全患者に延べ200回以上行っている2).試行錯誤の段階ではあるが,以下に症例を示し,今後検討すべき項目を考察で述べる.
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Nursing Mate
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国立循環器病センター
20巻5号(2007);View Description Hide Description「ここには,『教育していく』という意識が風土としてあります.積み重なった歴史の中から,生まれたものかもしれませんね」と,西村由美子看護師長.取材したスタッフが,経験年数を問わず,『学び』について,真摯に語る姿が印象的だった.今回は,国立循環器病センターCCUでの教育への取り組みを中心に取材した.
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