ハートナーシング
Volume 23, Issue 9, 2010
Volumes & issues:
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目次
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特集
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- 症例でぐんぐん理解! 急性期モニタリングと循環器検査
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①バイタルサイン・心電図モニタリング
23巻9号(2010);View Description Hide Description・ 急性期の患者さんは,常に重症化する危険をはらんでおり,看護師は患者さんの異常につながる兆候をできるだけ早期に発見し,対処することが求められる.そこでポイントとなるのは,現時点で起こっていることから今後起こり得る異常の予測をしておくことである.・ 症例の病態から考えると,予測できることは限られてくるが,心電図は,現時点で起こっている心臓の電気的興奮状態をリアルタイムで波形に表していて,この情報から推測される異常が数多くある. -
②スワン・ガンツカテーテル
23巻9号(2010);View Description Hide Description・ スワン・ガンツカテーテルは,右心系と左心系のモニタリングとして右房圧,右室圧,肺動脈圧,肺動脈楔入圧を測定することができ,心機能評価,循環管理に有用な指標となる.・ スワン・ガンツカテーテルから得られる各測定部位の数値や,その値の推移は治療に反映されるため,ベッドサイドでケアを行う看護師は,各測定部位の意味,圧波形の特徴と正常値を理解することが必要になる.・ モニタリング画面に読み込まれる波形と数値の正常と異常を判断でき,適切な対処行動をとれることが求められる. -
③動脈圧モニター
23巻9号(2010);View Description Hide Description・ 動脈圧を正しくモニタリングするには,動脈圧ラインの管理方法を理解する.・動脈圧波形の正常と異常を理解する.・アンダーシュートとオーバーシュートの特徴を理解して,その対処法を理解する.・ 動脈圧に異常がみられた場合には身体的要因か動脈圧ライン側の要因かを判断し,適切に対処する. -
④胸部X線検査
23巻9号(2010);View Description Hide Description・ 循環器疾患や呼吸器疾患を疑う患者さんや,息苦しさ,胸痛などの胸部症状がある患者さんに対して,比較的簡便で非侵襲的に行うことができる,心電図と並んで重要な検査の1 つである.循環器疾患に関連する基本的な画像に慣れるようにする.・ 胸部X 線写真を見るときは立位や臥位など撮影条件とその違いを頭に入れておく.さらに,実際の患者さんの状態・バイタルサインとその経過を意識しながら見ることが大切である.その変化に対応することが有効なケアにつながる. -
⑤心エコー検査
23巻9号(2010);View Description Hide Description・ 突然の胸痛で発症する循環器疾患は急性心筋梗塞(acute myocardial infarction;AMI),大動脈解離,肺梗塞があり,いずれの疾患も迅速な対応が必要で,心エコー(心臓超音波)検査は診断の重要な役割を果たす.・心筋梗塞では冠動脈支配に一致した領域の壁運動低下所見が認められる.・ 大動脈解離では解離腔や大動脈弁閉鎖不全症(aortic regurgitation;AR),心嚢液などが認められる.・ 肺梗塞では,右心系の拡大所見や右心室の左室圧排像が観察され,カラードプラ法にて三尖弁閉鎖不全(tricuspid regurgitation;TR)を確認し,連続波ドプラで推定肺動脈圧を測定する. -
⑥MRI・CT検査
23巻9号(2010);View Description Hide Description・ 近年,わが国では高齢化が進み,それに伴い動脈硬化性病変が非常に増加している.循環器領域においては急性冠症候群(acute coronary syndrome;ACS)などの虚血性心疾患が増えており,薬剤溶出性ステント(drug eluting stent;DES)の登場など治療法の進歩には目覚ましいものがある.・ 一方で,心臓の画像診断に関しては心臓CT および心臓MRI 検査など,従来ゴールドスタンダードとされてきた心臓カテーテル検査にとって変わり得る,非侵襲的検査法が台頭しつつある.・ 心臓の画像診断は,心電図同期法を用いることでより安定した画像が得られ,特に心臓CT 検査においては厳密な心拍コントロールや息止めにより,心臓カテーテル検査に引けを取らない情報が得られるようになってきている. -
⑦心臓カテーテル検査
23巻9号(2010);View Description Hide Description・心臓カテーテル検査は,カテーテルを用いて冠動脈や心機能の評価を行う検査である.・検査する部位により,左心カテーテル検査と右心カテーテル検査の2 つに大別される.・冠動脈造影や左室造影,左右の心房・心室,肺動脈の圧測定を行うことで心臓の評価を行う.・ 心臓カテーテル検査は侵襲的な検査である.検査にかかわるスタッフは,合併症とそれに伴う患者さんの自覚症状や身体症状をよく理解した上で行う必要がある. -
⑧電気生理学的検査
23巻9号(2010);View Description Hide Description・ 電気生理学的検査(electrophysiological study;EPS)は不整脈の診断,治療法の決定や治療効果判定に用いられる侵襲的検査である.・不整脈は徐脈性不整脈(脈が遅い)と頻脈性不整脈(脈が速い)に分けられる.・ 徐脈性不整脈では主として,ペースメーカーの適応の有無を評価する.頻脈性不整脈では不整脈の確定診断を行い,高周波心筋焼灼術(高周波カテーテルアブレーション),植込み型除細動器(implantable cardioverter defibrillator;ICD)植込みなどの治療方針を決定する.
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ミニ特集
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- 安全性の向上と効率化の実現に向けて 植込み型心臓機器における遠隔モニタリングシステム
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連載
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- YELL FOR HEART NURSES
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- 日本列島縦断ハートナースの旅~エッセイでこんにちは!~
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- 循環器ナースのヒラメキ力向上計画2 新人さんのキモチに寄り添いGoodとDoubt
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- 河村久美子の ゆるっとタメになる“ナース的徒然川柳”
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- HN・エッセイ ふたつの心臓(ハート)
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- 次はあなたがリポーター! みんなの学会見聞録
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- HEART Dictionary
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- Monthly TOPIC of Heart Nursing
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- 飛び立つ勇気 ここにあり! RicoのNZナーシングライフ
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- 投稿
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一次救命処置(BLS)を地域に普及させるために
23巻9号(2010);View Description Hide Description一次救命処置(basic life support;BLS)は,日常生活の中で突然の心停止を来した傷病者の生命を救う技術であり,現場に居合わせた人々による心肺蘇生法の実施が救命率を左右する.心肺停止状態の患者を救命するには,迅速な応援要請,迅速なBLS,迅速な除細動といった救命の連鎖が必要とされている.この鎖が1 つでも抜けてしまうと救命率が下がると言われ,除細動が1 分遅れるごとに社会復帰率は7 .10%減少する1)ため,救命の連鎖を順番に確実につないでいくことが重要である. 現在わが国では,現場に居合わせた人々によるBLS の実施率が低く,一般市民へのBLS の普及・啓蒙活動が急務であるといえる.カーラーの救命曲線(図1)によると,心臓停止後,約3 分で50%が死亡,呼吸停止後約10 分で50%が死亡,多量出血後約30 分で50%が死亡すると言われている.これらのことからも分かるように,迅速な救命処置により傷病者の救命率を上げることができるといえる. 私たちは, 学内の講義でAmerican HeartAssociation(AHA)国際ガイドラインに準拠した,BLS と二次救命処置(advanced cardiaclife support;ACLS)を学び,BLS のプロバイダーの資格を有している学生も多い.そこで,地域の人々になじみのないBLS をもっと知ってもらうことを目的とし,校内のオープンキャンパス,地域の夏祭りやイベントなどでBLSの普及啓発活動を行った. 予測効果としては,地域の人々がBLS を身近に感じ,実践することができること,学生も活動を行うことによって,BLS を日常生活の中で実践することができるようになり,また指導を行うことによってリーダーシップ能力の向上につなげることができると考えた.その成果と今後の活動について報告する.