脳神経外科速報
Volume 20, Issue 4, 2010
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Techniques & Arts
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- 私の手術戦略
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Vein graft を用いたhigh flow bypass の手術戦略
20巻4号(2010);View Description Hide Descriptionたしかに,vein graft よりradial artery のほうが使いやすいとは思いますが,私たちの施設では心臓血管外科の症例数が多く,coronary のpatency を良くするための一つの方法として,radialartery がずいぶん使われています.心臓は静脈を使うと閉塞率が高いということなので,radial artery は将来の心臓手術のために温存し,われわれはがんばってvein graft で良い成績にしたいと思ってやっています.(岡田芳和) - 基本をマスター 脳神経外科手術のスタンダード
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- クリッピングの工夫
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Paraclinoid 動脈瘤のクリッピング
20巻4号(2010);View Description Hide DescriptionParaclinoid 動脈瘤とは,通常,distal dural ringから後交通動脈分岐部までにneck のある動脈瘤を指す2).最も典型的なのは,眼動脈が分岐する部分に関連して発生する動脈瘤で,内上方に向くもの(いわゆるIC ophthalmic aneurysm,眼動脈分岐部動脈瘤)である.その他には,上下垂体動脈分岐部動脈瘤(superior hypophyseal artery〔SHA〕aneurysm)(内方ないし内下方向き)やanterior paraclinoid aneurysm(上外方向き)などがある2).また,この部の動脈瘤は大きくなって視神経を圧迫し,視力視野障害で発症することもまれならず経験され3),術後の症状回復のためにはより早期の治療が有効なことが多い1). 本項では,典型的な眼動脈分岐部動脈瘤の基本的手術手技を中心に,paraclinoid 動脈瘤のクリッピングの工夫について述べる. - 手術のコツとピットフォール 一流術者のココが知りたい
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- ここがポイント! 手術に役立つ局所画像診断
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- New How do you Neurosurgical テクニック?
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Current Knowledge
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- 専門医に求められる最新の知識
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脳血管障害 慢性腎臓病と脳卒中
20巻4号(2010);View Description Hide Description慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)とは,腎機能低下(糸球体濾過量:GFR < 60mL/min/1.73 m2),あるいは持続的腎障害(蛋白尿,血尿,腎の形態異常)のいずれかが3 カ月以上続く状態を指す10)(表1).このCKD は,一般住民において末期腎不全への進展因子であると同時に,人種差を越えた各種心血管病(CVD)罹患,総死亡に対する独立危険因子であることが明らかにされてきた2).CKD 問題が特定の専門領域を超えて極めて大きな関心を呼んでいるのは,その罹患者数が極めて多い点にある.日本国内の罹患例でも人口の実に15%に達すると推定されており,CKD は国民健康・疾病予防における重大な課題として位置づけられるようになっている. 一方,同じ血管障害であっても,脳血管疾患への影響に対しては不明な部分が少なくなかった.しかしながら,最近の国内外での疫学調査により,脳卒中に対してCKD が独立した寄与因子であることが認識されるようになってきた.さらに,脳血管障害を基礎とした認知能低下や認知症とCKDとの関連性も指摘され,脳と腎機能低下との臓器相互作用−脳腎連関に関心が高まっている. 本稿では,脳卒中とCKD の疫学報告,わが国の透析患者における脳卒中の実態,そして,認知障害とCKD に関する最近の話題をまとめる. -
小児 小児中枢性内分泌障害のホルモン治療
20巻4号(2010);View Description Hide Description視床下部−下垂体軸周辺の脳腫瘍や水頭症,頭蓋照射により内分泌障害が発症する.小児内分泌障害の特徴は,成人と異なり成長発達過程にあるということである.そのため,時期を逸することなく適切な治療を行わないと,不可逆的な後遺症を残す可能性がある.本稿では,小児脳神経外科領域で必要な中枢性内分泌障害に対する基本的なホルモン治療を概説する. -
脳腫瘍 神経膠腫:手術技術の進歩
20巻4号(2010);View Description Hide Description神経膠腫に対する外科的治療の役割は,手術による合併症を最小限に抑えつつ,腫瘍容積をできる限り縮小することである.神経膠腫に対する手術において,積極的摘出による予後の改善が報告されるようになり,手術による積極的摘出の重要性が再認識されている5,9,14).Grade II , III の神経膠腫では腫瘍組織の不均一性が強い症例も多く,組織診断の確定や1p19q loss,MGMT などの治療方針に参考となるさまざまな情報を得るためにも,腫瘍組織の確保は重要である. 近年,術中MRI や覚醒下手術,術中蛍光診断法(photodynamic diagnosis:PDD),functional monitoring,3T MRI による画像解析など,腫瘍摘出に貢献する手法の発達により積極的な摘出が可能となりつつある.本稿ではこれらを紹介するとともに,最近の神経膠腫手術に関する知見を紹介する. -
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Contribution
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- Case Report
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三叉神経,顔面神経,前庭蝸牛神経の3脳神経症状を同側・同時期に認め,一期的に微小血管減圧術を施行した神経血管圧迫症候群の1例
20巻4号(2010);View Description Hide Description -
小脳上部転移性脳腫瘍に対する2つのtranstentorial approachの比較〜自験2 症例の検討〜
20巻4号(2010);View Description Hide Description小脳上部前方の病変に対し手術を行う場合の問題点として,同部が脳幹や重要な静脈に囲まれていることに加え,テント上,テント下いずれの経路でも狭く深い術野となることが挙げられる.経路選択の際,occipitaltranstentorial approach(以下OTA)4,5,8,10)およびposterior subtemporal transtentorial approach(以下PSTA)1,2,9)が報告も多く,一般的であろう. 今回われわれは,同部の転移性脳腫瘍2 症例を経験し,それぞれOTA およびPSTA にて摘出した.本報告では,これら2 症例の経験を提示し,同部への各手術到達法の利点と欠点について文献的考察を加えて検討を行った.
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Lecture & General Information
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- 脳外科医放浪記 — happy end & happy beginning —
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- World Report
- 海外脳外科最新事情
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海外脳外科最新事情(17)
20巻4号(2010);View Description Hide Description2010 年2 月24 〜 26 日に米国Texas 州 San Antonioで開催されたInternational Stroke Conference 2010に参加した(図1).この学会はStroke の領域では世界一の規模を誇る国際学会であり,私は最新の知見をbrush up する意味で毎年,発表参加するようにしている. さて,今年も例年どおり3 日間で内容の濃いセッションが組まれていた.2010 年度のThomas WillisLecture を受賞したのはUCSF のDonna M. Ferriero先生で,彼女の仕事である新生児における脳卒中につき,“Little brains, Big Consequences” という演題で講演された.実は,私の知人であるStanford UniversityのPak Chan 先生が2008 年度に受賞しているのであるが,San Francisco からSan Antonio へ向かう飛行機で偶然にも彼の隣の席となり,今年は誰になるのか, 話をしていた. また,William M. FeinbergAward for Excellence in Clinical Stroke はHelsinkiUniversity のMarkku Kaste 先生が受賞され,“Howto reduce the burden of stroke” という演題で脳卒中に対する予防,治療だけでなく,教育,リサーチ,患者のケアについても同様に考えていくべきであることを強調されていた. 発表内容については,圧倒的に脳梗塞,特に急性期脳梗塞の評価,治療に関する発表が多く,くも膜下出血や脳内出血については,今年1 年での大きな変化はない印象であった.以下に興味深かったセッションにつき,簡単に報告する. -
- 今月の海外文献
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- 脳外科医的365日
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脳外科研修奮闘記
20巻4号(2010);View Description Hide Description先号より後期研修課程での私の生活を綴らせていただいていますが,今号では,脳血管内治療科,機能脳神経外科での研修の様子をご紹介します. - 脳外科医的365日
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- 脳外科Q&A 明るいなやみ相談室
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- コラム
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