脳神経外科速報
Volume 27, Issue 4, 2017
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目次
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Special Interview
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ノーベル生理学・医学賞受賞 山中伸弥が語る臨床医のリサーチマインド
27巻4号(2017);View Description Hide Description一度きりの人生ですから,どこかでチャンスを見つけて研究をしたり,留学もしてほしいと思います.私も整形外科医をやっていたときは,同期と「どっちが先に専門医になるか」といった,今考えると本当に小さいところで競争していたのですが,基礎研究の世界に入ってみると,上の先生から「お前,世界と競争やぞ」と言われて,目からうろこでした. たとえ,専門医を取るのが同期より5年遅れたとしても,その後の人生のほうが長いわけですから,研究や留学といった経験をしたほうが人生が豊かになるのではないでしょうか.
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Feature 【脳血管外科再考 ─日本脳卒中の外科学会技術認定制度を見据えて】
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【脳血管外科のいまを知る①】脳血管外科修練法指南 ─特に若手が直面するMicrosurgeryの壁を中心に
27巻4号(2017);View Description Hide Description本稿では,脳血管外科手術の修練指南法として,その壁を乗り越える方法について解説する.特に若手脳神経外科医が直面するmicrosurgeryの壁に焦点を当てて,①顕微鏡の操作,手術道具の使い方に慣れること,② off the job trainingは手術を想定したやり方で行う,③利き手よりも非利き手である吸引管の使い方が大事であること,④必要以上に気負わずにできるだけ平常心で術者に臨む,といった点について紹介する. -
【脳血管外科のいまを知る②】ステント時代のクリッピング術
27巻4号(2017);View Description Hide Description日本の脳血管外科技術は世界からも評価されており,若い世代へ伝承すべきと考えられる.日本脳卒中の外科学会技術認定制度が始まり,よりシステマティックな脳卒中外科教育が望まれる.また脳卒中の外科学会と血管内治療学会が協力し,共同研究による新たな日本のエビデンスを構築すべきである. -
【脳血管外科のいまを知る③】わが国における頚動脈内膜剥離術(CEA)の課題と今後
27巻4号(2017);View Description Hide Description内頚動脈狭窄症におけるCEAのCASに対する優位性は,術後脳梗塞,術後拡散強調画像における陽性病変の出現率の低さであり,不安定プラークを有する症例では,プラークを除去できるCEAのメリットがより発揮できる.またCEAを行う際には,bloodless fieldで,内頚動脈はプラーク遠位まで十分に剥離して術野の展開を行い,プラーク断端の処理を確実にすることで,より良いquality controlを目指すべきである. -
【脳血管外科のいまを知る④】バイパス手術の教育と今後
27巻4号(2017);View Description Hide Description脳血管バイパス手術の主な対象は,①動脈硬化性血管閉塞,②もやもや病,③動脈瘤手術支援である.JET study以後,①の適応は極めて限定的であり,②と③を念頭に置いて指導している.②では,壁が薄いrecipientへの愛護的操作の教育・指導がポイントとなる.また,flow diverter時代を迎えて,③は一部減少が予想されるが,バイパス手技を要する病変は依然存在し,重要性は不変である. -
【脳血管外科のいまを知る⑤】血管内治療を生かした脳動静脈奇形(AVM)外科治療
27巻4号(2017);View Description Hide Description脳血管内塞栓術を併用した摘出術のポイントとして,以下の3点が挙げられる.①治療前に脳血管外科医と脳血管内治療医が治療戦略を十分話し合う.②術野で見えにくい,あるいはeloquentareaから入るstrategic feederを術前,あるいは術中に塞栓することにより,摘出に伴う周囲脳への侵襲性を軽減する(小型AVM,eloquent area近傍のAVM).③段階的塞栓術を併用することにより,摘出に伴うdrasticな脳血流変化を抑え,術中の出血や術後のhemodynamicな合併症を回避する(大型AVM,high flow AVM) -
【特別座談会】理事長・理事に聞く:日本脳卒中の外科学会技術認定制度 ─脳血管外科のいま・未来
27巻4号(2017);View Description Hide Description2016 年度より発足した日本脳卒中の外科学会技術認定制度は,国内における脳卒中の外科に関する基本的技術を担保し,脳卒中の外科に携わる医師の育成を促すことを目的としている.脳神経外科領域におけるさまざまなサブスペシャリティの確立とそれに付随した専門医・認定医の増加を前に,同技術認定制度はどのようなスタンスで審査基準を設計しているのだろうか.また血管内治療を志す若手脳神経外科医が増えるなかで,日本の脳神経外科領域のメインストリームである脳血管外科は技術認定制度とともにどのような存在意義を示していくのだろうか.「脳神経外科速報」編集委員会の企画により,日本脳卒中の外科学会技術認定制度の制度設計に携わられた理事長および理事にご参画いただき,今回の技術認定制度発足の背景と概要,そして日本における脳血管外科の現状と展望について解説・討議いただいた.
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Techniques & Arts/Current Knowledge
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【専門医に求められる最新の知識:Neuroscience】神経幹細胞研究の現状と展望 ─グリオーマ幹細胞を標的とした治療戦略
27巻4号(2017);View Description Hide Descriptionグリオーマの根治に向けた課題の一つは,再発をいかに抑え込むかという点にある.言い換えれば,「グリオーマの中にごく少数存在するのみであるにもかかわらず,再発の原因と考えられる『グリオーマ幹細胞』にどう挑むか」が問いである.近年進歩が著しい,成体脳に存在する正常な神経幹細胞の研究によって,ゆっくりとしか分裂しない(quiescentな)状態を制御する因子について,知見が集積しつつある.グリオーマ幹細胞もまた,quiescentであることが想定されていて,分裂速度が非常に遅いか静止しているために,増殖をターゲットにした既存の治療が奏功しにくいのである.しかし,このことは同時に,細胞周期の調節機構を明らかにし,quiescenceを維持する因子にアプローチすることが,新規治療戦略となり得ることを示唆している.
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Lecture & General Information
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【Clinical Essay:「もの忘れ外来」の最前線より かんたん認知症診療】 「アルツハイマーらしさ」の徴候学とDefault Mode Network
27巻4号(2017);View Description Hide Description
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Journal in Journal 【脳卒中速報】
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【超実践! 脳卒中に用いる薬の基礎知識】 ダビガトラン
27巻4号(2017);View Description Hide Descriptionダビガトランはトロンビン直接阻害作用を有する経口抗凝固薬である.その有効性から「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」に適応を有する.RE-LY試験によってダビガトラン150 mg× 2 回/日群ではワルファリンと比較し,有意に脳卒中または全身性塞栓症の発症率を低下させ,また110 mg× 2 回/日群ではワルファリンと比較し,大出血発現率は有意に低いことが示された.ワルファリンよりも出血リスクは低いが,aPTTの過延長は出血リスク上昇につながるとされるため,その使用には注意を要する. -
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Contribution
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【投稿論文:Case Report】 Stanford A型大動脈解離術後慢性期に生じた症候性頚動脈解離に対して頚動脈ステント留置術を施行した2症例 ─症例報告と文献的考察
27巻4号(2017);View Description Hide DescriptionCarotid dissection is associated with aortic dissection, however the natural course of them is unknown. We experienced 2 cases of symptomatic carotid dissection associated with aortic dissection. Case 1: A 61-year-old male was suffered from frequent transient ischemic attacks (TIA) 1 year after the repair for acute aortic dissection, then he was transferred to our hospital. Carotid arterial ultrasonography (US), and enhanced computed tomography (CT) showed right carotid arterial dissection. Carotid artery stent (CAS) was performed after dual antiplatelet therapy. His TIAs were disappeared after CAS. Case 2: A 51-year-old male was suffered from sudden convulsive attacks 1 year after the repair for acute aortic dissection, then he was transferred to our hospital.Carotid arterial ultrasonography, and enhanced CT showed right carotid arterial dissection. CAS was performed the next day for preventing ischemic attacks.He was discharged without no neurological deficits.CAS can be one of the options to symptomatic crotiddissection associated with aortic dissection.
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Lecture & General Information
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【World Report:International Stroke Conference 2017(ISC2017) in Houston参加報告】
27巻4号(2017);View Description Hide Description -
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【Clinical Essay:PC,スマホ,タブレットを使いこなせ!! 日常診療に役立つIT】 「Safari」をマスターしよう ─その③─
27巻4号(2017);View Description Hide Description -
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その他
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