ネオネイタルケア
Volume 21, Issue 3, 2008
Volumes & issues:
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NICU最前線
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- 問題解決のためのコミュニケーション 会話のケースから学ぶファミリーケア
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死に直面している先天性心疾患を有する超低出生体重児の場合
21巻3号(2008);View Description Hide Description近年,日本の新生児死亡率は低く,当NICUでも子どもの死に直面することは少ない.しかし,どんなに新生児医療が進歩しても,子どもの死が皆無となるわけではなく,まして現代社会は少産少子の時代であり,高齢出産や不妊治療が増加しているため,一人の子どもに寄せる期待度は高い.そんな待ちに待った子どもが生まれて間もなく生命の危機に陥ることは,新しい家族を迎えるためにステップを踏んできた両親にとって,突然の耐え難い問題に対処させることになる. 橋本は「たとえ短時間であっても,赤ちゃんが生まれてきたことを喜び,しかる後に死を悲しむことが,赤ちゃんにとっても両親にとっても必要なことではないだろうか」1)と,看取りを支える前に家族の関係性を発達させるケアが求められると述べている.私たち看護スタッフも,自分たちの行うケアや対応は適切なのだろうか,交わした言葉で家族を傷つけたりはしていないだろうか,と自問自答しながらも子どもが家族の一員となるように支援してきた. 本稿では私たちが行った死に直面している児とその家族への支援を,事例を通して紹介する. -
児に重度の障害が残ると予想される場合
21巻3号(2008);View Description Hide Description妊娠がわかったときに「おめでた」というように,新しい生命の芽生えとは,本来,文字通りおめでたいものである.そして,両親は新しい家族の誕生を元気に何事もなく迎えられるものだと想像している.ところが近年,胎児診断などで,出生前に障害が予測されることが多くなっており,その場合,家族は大きなショックを受ける.また,早産であったり出生後の児に重篤な疾患が見つかった場合も,思いもよらぬ事態に同様のショックを受ける.そして,出生後に泣き声を聞くことも児に触れる時間もほとんどない状態で,NICU という未知の場所にわが子を連れて行かれてしまう.児の入院により,親子が分離されてしまう上に,児がさまざまな医療機器に囲まれ,医療処置を施された状態になることで,児に触れにくい状況が作られるため,円滑な親子関係を築くには難しい環境になる.さらに,児に障害があるという事実は,家族に対してより大きな衝撃や悲嘆を与えることが考えられ,家族が危機的状態に陥ることが予測される.私たち医療者は,危機的状態に陥っている家族をサポートし,家族として健康に再構成できるような援助を行うことが必要である. -
親の受け入れが悪く、面会に来ないなどの場合
21巻3号(2008);View Description Hide Description低出生体重児や何らかの疾患を持つ児の親は,NICU に入院したわが子を前に,無力感や罪悪感を抱くといわれる.その多くが否認や怒りといった過程を経て,児を家族の一員として迎え入れることができる.しかし,中には児や児の疾患を受け入れることが難しく,面会が途切れがちになったり,時には連絡を取ることさえ難しくなったりする場合がある.そのような場合のコミュニケーションのあり方について,T ちゃんの事例をもとに考える. -
母親が重症な疾患に罹患している場合や出産後に死亡したなどの場合
21巻3号(2008);View Description Hide Descriptionわが国の妊産婦死亡率(出生10 万人対)は,1960 年に130.6 であったが,1990 年に8.6,1995 年に6.9 となり,以降6 〜 7 で推移している1).毎年全国で60 人前後の女性が妊娠や出産が原因で死亡していることになるが,NICUにおいて母親が亡くなったケースにかかわる機会は少ない. NICU では,生まれた新生児が家族成員それぞれに愛され,心理的・社会的後遺症を負うことなく成長していけるよう,family centeredcare に力を注いでいる.しかし,ターミナル期にある母親や,母親が亡くなった後の遺された家族とかかわる経験は乏しく,その家族が自らの力で家族を再構築していく過程をどのように支援していけばよいのか,対応に苦慮している. そこで今回,母親が亡くなった事例を通して,医療者と家族とのかかわりの場面でどのような援助が必要であるのか,どのようなコミュニケーションが大切であるのかについて考えてみたい. なお,ここでは,母親・父親とは新生児にとっての母親・父親のことを表現する.また,家族成員とは,母親・父親の他に,母方祖父母・母親の同胞・父方祖父母を含む. -
母親が知的障害を持つ場合
21巻3号(2008);View Description Hide Description知的障害のある母親は,生活全般および育児を行っていく上でさまざまな困難に直面している.寺川らは「知的障害者の結婚や子育てに関する研究報告は極めて少なく,知的障害者が子育てを行う過程でどのような問題を抱え,どのような支援が求められているかについて実証的な研究は今後の課題である」1)と述べている.そこで今回知的障害を持った両親が,極低出生体重児を出生したケースについて振り返り,必要な支援について述べる. -
社会的条件に問題がある場合
21巻3号(2008);View Description Hide Description妊婦が未婚や未成年である場合,離婚している場合など,社会的条件に問題がある場合には,社会的・経済的に妊娠を継続することにリスクを生じ,出産した新生児が新生児集中治療室に入院してくる可能性が高くなる.さまざまな事情を抱えながら妊娠期を過ごす妊婦は,十分準備を行うことができないまま出産に至ることが多い.医療者はその家族の事情をかんがみて,早期から介入し,社会的支援の提供などにより,新生児を含めた新しい家族が機能するように調整する必要がある.
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連載
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- Message for Neonatal Staff
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赤ちゃんが亡くなったとき:新生児医療スタッフの役割
21巻3号(2008);View Description Hide Description誕生したばかりのかけがえのない命を守るという特別な任務を背負う新生児医療スタッフ.皆さんはおそらく,生まれたばかりの小さな魂に初めて触れ,その世話をする最初の一人です.そして悲しいことに,ときにこの美しい魂に別れを告げる最初の人となるでしょう.つらい役目を粛々とこなす新生児医療スタッフの強靭な精神に心から敬意を表します. - 新生児疾患アトラス
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のう胞性二分脊椎( I )
21巻3号(2008);View Description Hide Description胎生期における神経管の閉鎖障害に基づく中枢神経系奇形を二分脊椎(脊椎披裂)と称す.その発生時期は胎生3 〜 8 週頃で,神経管の閉鎖が完成する時期と一致する.すなわち神経管の癒合不全状態で,外見上腫瘤(のう胞)をみるものをのう胞性二分脊椎,腫瘤を持たないものを潜在性二分脊椎として分類する(表). 本症は椎弓または棘突起の欠損部を通じ,脊髄や神経線維,脳脊髄液ならびにそれらの組織を取り囲む結合組織が外部に向かってのう胞状に突出し,そののう胞の内容により髄膜瘤(神経組織の脱出を伴わない)と,脊髄髄膜瘤(神経組織の脱出を伴う)とに分ける(図). 前者の大半が神経学的異常を伴わないのに比し,後者は他の中枢神経系の奇形や,種々の程度の両下肢の運動・知覚障害,膀胱直腸障害などの神経学的異常を伴い後遺症を残すことが多い. 発生頻度はわが国では5,000 〜 1 万人に1 人と思われる.発生部位は神経管の閉鎖過程に合わせて腰仙部に多く,胸部,頸部には少ない. - 周産期のこころ 臨床心理士のつぶやき
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二つの再会
21巻3号(2008);View Description Hide DescriptionA ちゃん親子が久しぶりに外来心理室を訪ねてくれた.赤ちゃんのときと変わらない,人懐っこい満面の笑顔だが,そこには小学1 年生らしいはにかみも混じっていた.車椅子の操作はきびきびと慣れたもので,マットの上では腕も使って上手に移動し,早速,本棚や玩具箱に目を走らせていた.4 月から通っている学校のお友だちのことも笑顔で話してくれた. - ベトナムからの贈りもの クアンチ省立病院新生児室で教え、教えられた2年間の活動記録
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Cam on nhieu(最終回)
21巻3号(2008);View Description Hide Description新生児研修を終えて1 週間ぶりに病棟に帰ると,また汚い新生児室に後戻りしていてガッカリ.カウンターパートや主要メンバーがいないとあっという間に管理がおろそかになってしまう.「ごめん忘れてた〜」と笑って話す看護師に苦笑い.ここへの新生児看護の定着はまだ多くの時間をかけての繰り返しと啓蒙活動が必要だと感じる.そんな汚くなった部屋をスタッフと掃除しながら,あと2 週間で帰国だね〜と話しているところに,看護部長からクアンチの郡病院で新生児研修をやらないかという提案があったのだが,なにしろ帰国日が迫っている. - 入室から退室までの1日の流れに沿った 場面別感染対策
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調乳(冷凍母乳,母乳・ミルクの保管,保温)
21巻3号(2008);View Description Hide Description母乳やミルクの細菌汚染を防ぐために,各施設ではさまざまな対策を講じていることと思います.今回は調乳をテーマに,当院の取り組みについてお話しします. - 必修ワンポイントレクチャー
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難聴児への人工内耳と米国での髄膜炎・
21巻3号(2008);View Description Hide Description中等度以上の両耳障害は1,000 出生に1.5 人の割合で認められ,正常新生児では2,000 出生に1 人,ハイリスク児では1,000 出生に22 人と報告されている.先天性難聴児の場合,十分な音刺激がないままに言語獲得の臨界期(4 歳)を過ぎると,脳の聴覚中枢の発達が困難になる.生後6 ヵ月までに対応すると,将来の言語獲得が障害されにくい. - どこを見る?何がわかる?画像による新生児症例カンファランス
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栄養チューブの右気管支内誤挿入
21巻3号(2008);View Description Hide Description在胎25 週4 日,出生体重750g で出生した男児.出生時RDS(呼吸窮迫症候群)のためサーファクタント補充療法を行い人工換気中であったが,動脈管開存が顕性となり,心不全,肺うっ血が著明となったため,インドメタシンの投与を試みていた.インドメタシンを投与するとシャント量はやや減少するものの尿量も減少し,中止すると尿量は増加するものの動脈管のシャント量が増加した.この状態を繰り返し2 クール目が終わったところで,CRP が陽転化し,抗菌薬で治療していた.胸部単純写真では,RDS が改善した後いったん透過性が改善したものの,その後再び透過性が極端に低下しており,動脈管による肺うっ血の進行以外に肺自体の問題として慢性肺疾患への進行が懸念されていた(写真1a). - 退院指導に役立つ!母子のきずなを深めるベビーヒーリングタッチ
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成長と発達に合わせた,腹部・背部マッサージ
21巻3号(2008);View Description Hide Description近頃は児がうつ伏せを嫌がるために4,5 ヵ月で座らせてしまう母親が多くみられますが,背筋が発達していない段階で座らせると脊柱側彎症の原因になります.うつ伏せを嫌がらない児にするためにも背部のマッサージは有効です. - ケースで理解する 図解でさらによくわかる 代表的な新生児疾患
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先天性横隔膜ヘルニア
21巻3号(2008);View Description Hide Description在胎28 週より胸腔内の異常を指摘され,在胎36 週,1,990g で出生した1 例 - がくとのにこにこおたより
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初雪
21巻3号(2008);View Description Hide Description東京に初雪が降った朝、岳杜はスキー学校に参加するため元気に家を出て行きました。こちらで生活を始めてちょうど一年になります。