消化器外科ナーシング
Volume 15, Issue 1, 2010
Volumes & issues:
-
エッセイ
-
-
-
特集
-
- 2010 年最新版! ケアの根拠がわかる! 消化器がんの基礎知識
-
-
-
2 胃がん
15巻1号(2010);View Description Hide Description2001 年に、わが国では初めてのがん治療の系統的なガイドランである「胃癌治療ガイドライン」1)が、日本胃癌学会によって作成されてから9 年が経過しました。この間、多くの臨床試験が全国レベルで行われ、胃がんの進行度に合わせた標準治療として、内視鏡治療・縮小手術・定型手術・化学療法が広く一般臨床で行われるようになりました。本稿では、「胃癌治療ガイドライン」を遵守した胃がん治療の概略と看護ケアについて述べます。 -
3 大腸がん
15巻1号(2010);View Description Hide Description盲腸・結腸・直腸S 状部および直腸から構成され(図1)、大腸がんは一般的に大腸粘膜から発生します。現在の日本における死因の第1位は悪性新生物です。そして2007年の人口動態統計によれば、大腸がんは女性で第1位、男性では肺がん、胃がんに次いで第3位の死亡率で、過去50年間におよそ10倍にもなりました(図2)。大腸がん発生の危険因子には動物性高脂肪食、肉食、低食物繊維食、肥満、アルコールの多量摂取などが挙げられます。一方で適度な運動、食物繊維や野菜類の摂取は大腸がんの発生を抑制するとされています。また、親から子への遺伝によって発生する大腸がんとしては、家族性大腸腺腫症(FAP)や遺伝性非ポリポーシス性大腸がん(HNPCC)という疾患があります。 -
-
-
6 膵がん
15巻1号(2010);View Description Hide Description膵がんは、消化器がんのなかでも治療の困難な病気の一つです。5 年生存率はいわゆる早期のがんで59%、高度進行がんで2.8%、根治切除例で20 〜 30%です(図1)。また、化学療法での平均生存期間はおよそ4 〜 7カ月で、根治のためには早期の発見と外科切除が必要です。早期発見には、有症状者の検査と膵がんにかかりやすい人の定期的チェックが必要です。特徴的症状としては腹痛、黄疸、背部痛などですが、急な糖尿病の悪化や何らかの腹部症状を有する人にも、超音波検査や造影CT 検査を勧めるべきです(図2、3)。また糖尿病、膵炎で通院中の人や、膵がんの家族歴のある人、喫煙者は、膵がんを発生しやすく定期的検査が望まれます。一方、膵臓に腫瘤が見つかった場合、膵がんは難治であるとの情報から、患者さんは自暴自棄になりがちです。しかし、膵がんには膵管内乳頭粘液性腺がん(IPMC)など、組織型によっては予後の良いものもあるため、検査・治療を受けるよう話すことも重要です。
-
サブ特集
-
- MT パッチの規格改良点もわかる! フェンタニルパッチの必須知識& ケア総ざらえ
-
-
1 フェンタニルパッチの基礎知識
15巻1号(2010);View Description Hide Descriptionがんの痛み(がん性疼痛)は多くの患者さんが体験する苦痛症状であり、身体面の苦痛のみではなく、精神面、社会面、スピリチュアル面へも影響を及ぼし、早急な対応を求められる症状といえます。治療方法としてはWHO 方式がん疼痛治療法(図1)があり、この治療法の普及により、比較的容易に痛みはコントロールできるようになりました。日本で使用できるオピオイド鎮痛薬は、モルヒネ製剤に加えて、2002 年からフェンタニルの貼付薬(デュロテップ R パッチ、以下パッチ)が、03 年からオキシコドンの経口薬(オキシコンチン R 錠、オキノーム R 散)が使用できるようになり、患者さんの状態に合わせて薬剤が選択できるようになりました。特にフェンタニルパッチは、オピオイド鎮痛薬としては唯一の経皮吸収型製剤であり、がんの病態・病期を問わず使用できる利点を有していることから、広く臨床で使用されています。08 年にフェンタニルパッチはリザーバー型(パッチ)からマトリックス型(デュロテップ R MT パッチ、以下MTパッチ)へと構造変更され、より使いやすいよう改良されました。本稿では、パッチの改良点と、使用する患者さんや家族、また看護師が適切に使用するための注意点や対策について紹介します。 -
-
連載
-
- ストーマリハビリテーションのたどってきた道、これから進む道
-
-
特別企画
-
- 対談
-
生と死を見つめて 医師ががんになってわかったこと
15巻1号(2010);View Description Hide Description『笑って死ぬために スピリチュアルケアとは』(メディカ出版、2003)の著者、朝日俊彦先生ががん闘病中です。朝日先生は、これまでも癌告知、ターミナルケア、スピリチュアルケアの実践についてさまざまな活動の紹介や提言をいただいてまいりました。 現在、朝日先生は抗がん剤治療を続けながら、以前にも増して講演活動に力を注いでいるとのこと。ご自身が末期がんとの告知を受けて、どのように思い、そしてどのように毎日を過ごしているのかを『泌尿器ケア』誌現編集委員長の筧善行先生にインタビューいただきました。
-
連載
-
- CLOSE-UP PROFESSION 先達に学ぶ
-
庶務課の私が考案!患者さんの転倒・転落を防止 離床検知装置「転倒むし R 」
15巻1号(2010);View Description Hide Description患者の離床をナースステーションに知らせてくれる装置転倒むし R を考案・作製した平井祐範さんは、大阪市立大学医学部・附属病院運営本部の庶務課に籍を置き、大学や病院の環境整備に取り組んでいる。 「机にかじりつくのではなく、病棟に足を運び、患者さんや医療者が、どこで何に困っているのかを発見することが、私の仕事です」と平井さんは話す。転倒むし R の考案だけでなく、アイデア豊富な平井さんは、大阪市立大学医学部附属病院でさまざまなことに取り組んでいる。 今回、転倒むし R などの医療グッズ開発のきっかけやいきさつ、そして今までの取り組みや、今後の展望について、話を聞いた。