がん看護
Volume 12, Issue 5, 2007
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特集 【頭頸部がん~最新の治療と看護(1)~】
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連載
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今月の症例:緩和における薬物療法を受け入れられない家族への対応
12巻5号(2007);View Description Hide Description緩和ケアはがん末期の患者のみならず,すべてのがん患者に適応されるべきであり,症状のマネジメントや心理・社会的支援をチームによって実践していくことで患者のQOL の維持や向上に大きな成果をあげることは実証されている.ホスピスにおいてもケアプロセスのなかで,適切な症状マネジメントは身体面だけではなく精神的な側面にも影響を及ぼし,患者や家族との信頼関係の構築に結びつく.今回私たちは,家族が医療者であるために既存の知識や経験にとらわれ,緩和目的の薬物療法を受け入れられず,患者の思いに相反したかかわりを求められ,対応に苦慮した事例を経験した.「なぜ,患者は治療を拒否しているのに家族は積極的治療を望んだのか」「なぜ,医療者なのに薬の効能を理解してくれないのか」,この2 つの「なぜ」に焦点を当て検討してみた. -
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がん化学療法におけるナーシング・プロブレム【26】:EGFR を標的とした分子標的薬に関連した発疹とその看護
12巻5号(2007);View Description Hide Descriptionがん化学療法に関連した皮膚障害症状には,薬剤の全身投与によって生じる発疹,色素沈着,手足症候群,爪の変化などと,薬剤が皮膚に直接接触したり漏出することによって生じる皮膚の炎症や壊死などがある.これらの皮膚障害症状の出現頻度は,骨髄抑制や嘔吐などの副作用に比べて少数であり,致命的となることが少ないため注目度は低い.従来の抗がん剤以外でも,近年,研究開発が進んでいる上皮細胞増殖因子受容体(epidermal growth factorreceptor: EGFR)を標的としたゲフィチニブ(イレッサ)などの分子標的薬においても,皮膚障害症状,とくに瘡様発疹が多く報告されている.本稿では,EGFR を標的とした分子標的薬に関連した発疹の特徴と,治療,看護について述べたい. -
Manual for Clinical Trials Nursing:第52 章臨床試験における看護の役割
12巻5号(2007);View Description Hide Description臨床試験への関与は,看護師に専門的なやりがいを与えることができる.これまで述べてきたさまざまな役割のなかで,看護師はがん治療における最前線に立つチャンスがある.ある研究者は,リサーチナースを出版物や抄録の著者に含めることでリサーチナースの活動に謝意を表わしている.さらに看護師は,看護の共同研究デザインのみならず,試験実施計画書に基づく治療の開発にかかわるチャンスがある.最も重要なこととして,臨床試験の結果ががん患者のアウトカムを改善させたときに本当の満足感がある.
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連載講座:JJCCレクチャー
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海外がん看護事情
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アイルランド・英国のがんサポート事情【3】 英国②
12巻5号(2007);View Description Hide Descriptionアイルランド・英国で,さまざまな部位のがんの患者やその家族,友人そして一般の人びとにサポートや情報提供をしている民間団体,主にNPO 組織を紹介するシリーズの3 回目である.がんに関連したサポートや情報を提供する団体は,アイルランド,英国や米国,オーストラリアなどの諸外国に限ったことではない.実際に,「がん患者大集合」に参加した患者団体やサポートを提供する組織は,日本国内にも相当数存在している(http://www.nhk.or.jp/support/link/index.html).インターネットの検索サイトから<がん患者サポート><NPO>で検索してみれば,相当数が日本にも存在することが推測できる.さらに,本連載1 回目(『がん看護』12(3): 358361)に紹介したARC Cancer Support Centre(http://www.arccancersupport.ie/index2.html), Gary Kelly Cancer SupportCentre(http://www.gkcancersupport.com)や今回紹介するCancer BACUP, The Prostate Cancer Charity といった団体に関しては,ウェブ上のホームページから情報を得ることが可能である.もちろん,ウェブ上の情報量は団体によって差があり,簡潔なものから非常に膨大なものまであるため,組織や活動の全体像を把握するのは必ずしも容易ではない.本稿では,せっかく海外視察を行ったのでウェブ上では得られない情報を織り交ぜながら,日本のサポート団体,患者会やNPO と英国のものとはどう異なるのか,日本には存在しないような大規模のNPO の組織と活動について報告してみたい(表).このような組織がすぐに日本で実現できるわけではないだろうが,いずれの団体ももとは1人の人間から始まっている.まんざら不可能なことではないかもしれない.ただし,そのためには日本社会がより成熟し,社会文化的な土壌を培う必要があるだろう.すでに,これまでの2 回の報告で「アイルランドのがんサポート政策」「英国のNHS 改革とがん医療改革」という社会背景は説明されているので,今回は違った意味でのマクロな視点を提供でき,読者の参考となれば幸いである.なお前号(『がん看護』12(4): 454456)で取り上げた英国の2 つの組織も含めて概略を表にまとめた.その記載に際しては,奥原の報告を基本とし,いくつかの項目については情報を補足した.
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研究報告:造血幹細胞移植による大量化学療法および全身放射線照射を受けた患者の経口摂取と口内炎の関係
12巻5号(2007);View Description Hide Description造血幹細胞移植では大量化学療法を受け,全身放射線照射を併用することから口内炎の発生頻度は高い.口内炎は患者の生活の質を低下させ,感染症や死亡率を増加させるため予防や治療が重要である.われわれは食事の細菌学的検討を行い移植患者に市販食品の提供を可能とし,経口摂取量は増加傾向にある.また,食事・含嗽前後の口腔内細菌数の検討を行い,唾液の自浄作用による食後の細菌数の低下を認めた.これらのことから経口摂取が唾液の分泌を促進し,口内炎の程度が軽減するのではないかと考えた.そこで,市販食品の提供が可能となった前50名,後50名の移植患者について,経口摂取と口内炎の有無と程度を後方視的に調査しその関係について検討した.結果,食事変更前後において各調査日における経口摂取できた患者数は変更後に有意な増加を認め(p=0.0015),継続経口摂取できた患者数は変更後,増加傾向にあった(p=0.0592).各調査日における経口摂取できた患者数と口内炎出現患者数は食事変更前後ともに有意な逆相関を認めた(p=0.0010,0.0056).本研究において,造血幹細胞移植患者の継続経口摂取による口内炎予防の可能性が示唆された.
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REPORT
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こちらがん電話相談室
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BOOK
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