がん看護
Volume 16, Issue 2, 2011
Volumes & issues:
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がん患者のヘルスアセスメント再入門
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- 第Ⅰ章 やってみようがん患者のヘルスアセスメント
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手の技を活かそう
16巻2号(2011);View Description Hide Description看護師は患者の日常生活の支援に直接かかわる身近な存在であるため,看護師が手によってアセスメントし,ケアできることは多くある.手は“手技”という言葉があるように,なんらかのケアや処置を施すための重要なツールの1 つと考えられる.そして“手”によってわかることは多く,アセスメントしケアにつなげるその一連の技が“手技”であると考える.この手の技を活かして,患者の異常の早期発見や安楽への看護ケアにつなげられるアセスメントが可能となるよう,筆者の看護実践も加えて考えてみる. -
目の技を活かそう
16巻2号(2011);View Description Hide Description『眼で見ること〈to look〉は必ずしも見てとる〈to see〉ことではない1)』ナイチンゲールが百数十年前に書いたものである.時代や環境が変わっても人間のすることはそう変わらないということと考えている.目の技とは“みる”ことである.“みる”とは,見る・視る・看る・観る・診ると日本語としても幾通りもの意味合いをもつ感覚であると,日々考えているときにこんなエッセイを見つけた. 【「夜泣き」という「現象」に対処してみて,自分は「病因」がすでにわかっている「病気」には対処できるが,「原因」がわからない「現象」についてどうすることもできないということがわかった.このことは言い換えると,自分は知らず知らずのうちに「医師」としてしか人を「診る」ということができなくなっていたということであった.そして,その自分にできなかったこととは,「原因」がわかるかわからないかは別としてある「現象」にとりあえず対処するということであった.つまり,私ができなかったのは「診る」ということではなくて,「看る」ということであったのである.そして,その「看る」ということは,すなわち「看護」であった…….週刊医学界新聞(第2833 号)の記事2)より】 ここには,医師として“みる”という技術に関する課題と,問題提起がなされており,ひいては看護師としての“みる”という技に対する問いかけでもあると感じた.看護師の“みる”はやはり「看る」でありたい.そんな思いを込めて目の技“みる”について探ってみたいと思う. -
耳の技を活かそう
16巻2号(2011);View Description Hide Description聴診とは,患者を正しくフィジカルアセスメントするうえで欠かせない重要な技術である.聴診器を使った聴診や傾聴という行為は,看護師ならば日々の看護ケアのなかで日常的に行っていることだろう.ところで,“聴”という字の“耳偏に十四の心”という成り立ちについて考えたことはあるだろうか.これは,視覚・聴覚の五感や第六感を含む,14 の感覚で感じ取ることを意味している.じつは,聴診とは単に耳で体内音を聴くということではなく,視覚,聴覚などの五感や第六感などの看護師の体に備わっているあらゆる器官を駆使することが要求されているのである.そして看護師が行う聴診には,がん看護に欠かせない患者看護師間の信頼関係を築くうえで大きな役割を果たす意味がある.これらのことをふまえて,聴診について述べることとする. -
聴く技を活かそう~情報収集のコツ~
16巻2号(2011);View Description Hide Description医療の高度化が進み,慢性の病を抱えながら自分の病気と向き合い自己管理することが当たり前のようになってきている.がんもまた,例外ではない.患者は,がんと聞いただけで圧倒され,お任せするしかないといった意識から脱皮し,「してもらう医療」から「自己管理してゆく医療」への転換が図られてこそ,医療の主人公として自己治癒力を高める視点で声をあげることができる.臨床場面での看護は,患者の抱える身体的問題を患者がどのように認識し,どうなりたいかを理解するなかで,患者にとって望ましい医療とは何かをともに考えることに始まる.つまり病名や進行の度合い,治癒率や奏効率といったことだけでなく,個人の人生にとってがんに罹患して新たに始まる生活体験を患者が受け入れやすいように,現在の患者の背景を知って看護することが大切である.また,聴くことは治療を受ける人の心身の問題に,患者自身が向き合う機会をつくり,できごとに意味づけをすることになるのである.本稿で論ずる「情報収集のコツ」は,患者の生活やその背景となる心理・社会的な事情,発達課題を把握するための「聴く」スキルである.スキルを身につけるハウツーの1 つとして患者から聴くタイミングを身に付け,看護に活かすことを意識的にトレーニングすることを念頭に,患者看護師の関係の確立に焦点を当て,看護師の聴く準備(レディネス)を提示しながら述べる. -
全体をみる
16巻2号(2011);View Description Hide Description「がん患者の全体をみる」とは,患者が罹っているがんの部位,すなわち身体の局所の変化をみるのではなく全身への影響をみるという意味と,がん患者を多面的にとらえるという意味,この2 つが含まれていると考える.看護師は,患者の24 時間の生活をみるなかでもっとも早く,また的確に患者の心身両面の変化を把握することができる医療者である.ここでは,がん患者の全体の状態を把握するために欠かせない内容である,①全人的な苦痛をとらえる,②パフォーマンス・ステータス(performance status :PS)を把握する,③バイタルサインの変化をみる,この3点のアセスメントについて事例を提示しながら解説したいと思う. - 第Ⅱ章 アセスメントに役立つ検査結果の読みかたを学ぼう
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血液検査を読む:電解質異常
16巻2号(2011);View Description Hide Description私たちの体は水分や電解質の量を一定に維持する機能を有している.体の中に入ってくる水分や電解質の量に合わせて,腎臓が,尿という唯一の排泄物を調節することにより体液の恒常性を維持している.この調節のメカニズムが働かない病態が存在すると電解質異常をきたす.がん患者における電解質異常は,がんに伴う症状として起こる場合と,治療による有害事象として起こる場合がある.その病態生理を理解し,その原因を探索し,それに対処することが求められる.中枢神経障害や不整脈など致死的な転帰をとりうる場合もあり,早急な対応が必要である. -
血液検査を読む:骨髄抑制
16巻2号(2011);View Description Hide Description骨髄抑制において,その対応が適切でない場合や遅れた場合は,時として重篤な状態に陥ることもあるため,骨髄抑制が疑われる際は,早急な採血による血球数の把握が不可欠である.また,骨髄抑制の程度は,当然治療レジメンにより異なるが,患者の全身状態や前治療歴,病変の広がり,合併症の有無などの影響も受けるため,これらについても把握する必要がある.本稿では,がん化学療法に伴って起こる骨髄抑制,つまり,白血球減少(とくに好中球減少),貧血,血小板減少を対象とする. -
エコーを読む
16巻2号(2011);View Description Hide Description超音波検査は脳・神経外科,眼科,循環器科(心臓,血管),乳腺外科・頭頸部外科(甲状腺,乳腺,リンパ節など),消化器科(肝,胆,膵臓,腎臓,大腸など),泌尿器科(腎臓,膀胱,前立腺など),婦人科(子宮,卵巣など),整形外科(軟骨,筋肉)などのほぼすべての領域においてスクリーニング検査,精密検査,治療の経過観察などで臨床上広く実施されている.検査の原理は探触子(プローブ)から出力された超音波が,臓器境界面で反射され断層画像として表示される.各臓器の組織組成によってそれぞれのパターンがあり,腫瘍,ポリープ,炎症,結石などの病変は周囲の正常な組織と組成が異なるため,正常な組織との境界にコントラストの差が描出され,病変の有無や大きさ,深達度などが描出される.超音波画像は静止画だけではなく,リアルタイムに動きを観察することが可能であり心臓の弁や心筋の細部にわたる動きや腸の蠕動運動,腫瘤の周囲組織への浸潤などの描出にとくに優れている(表).また,超音波ガイド下で臓器に針を刺して組織を採取する針生検やラジオ凝固療法などにも広く利用されており,超音波検査は検査対象領域が広く診断性能が高い重要な検査である. -
感染データを読む
16巻2号(2011);View Description Hide Descriptionがん患者の治療には,手術療法,がん化学療法,放射線療法,造血幹細胞移植,緩和ケアなどがあげられる.私たち看護師はさまざまな治療場面に立ち会い,看護を提供しているが,どの治療場面でも対応することがあるのが「医療関連感染対策」である.がん治療に関連する医療関連感染を防止し,予定されていた治療計画どおりに治療が行われること,治療・処置や薬剤による副作用が最小限で経過することは,患者にとって非常に重要なことである.実際の治療計画や診断をするのは医師であるが,その根拠となるものを,観察および測定するアセスメント能力は看護師に求められる大きな役割である. - 第Ⅲ章 主症状からみるヘルスアセスメント
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痛みを訴える患者のヘルスアセスメント:がんの痛み全般のとらえかた
16巻2号(2011);View Description Hide Descriptionがんの痛みについては臨床上の多くの知見が示されているが,いまだに「がんの痛みはわかりにくい」という医療者の声は多いと感じる.それは痛みが目に見えない「患者自身が痛いというそのもの」の症状であり,「不快な感覚的および感情的な体験」であるとともに,痛みを感じる側,訴えを受け取る側双方のさまざまな条件により左右されやすい症状ということも影響が大きいと思われる.患者はがんによる痛み以外に,がんの治療による痛みなどさまざまな原因の痛みを感じている.埼玉県立がんセンターで実際に使われている疼痛アセスメントシート(表)の項目から情報収集と予測できることについて述べる. -
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皮膚症状・排泄からみるヘルスアセスメント:1.がんによる主な皮膚症状:腫瘍による自壊創~転移も含む~
16巻2号(2011);View Description Hide Descriptionがん患者の皮膚症状のなかでケアに難渋する代表的なものの1 つに,がんの皮膚への浸潤や皮膚転移があげられる.それらは,外科的治療や放射線療法,抗がん薬治療などで切除もしくは縮小させることができる場合もあるが,治療効果があまり期待できないがん終末期患者では治癒困難となり,病変の拡大・悪化によって患者の苦痛は強くなる.とくに,皮膚表面の腫瘍が自壊すると,痛みや出血,臭気,感染,多量の滲出液を伴い,ボディイメージも変容させるなど精神面でのダメージも大きい. -
皮膚症状・排泄からみるヘルスアセスメント:1.がんによる主な皮膚症状:褥瘡
16巻2号(2011);View Description Hide Descriptionがん患者は診断を受けてから,がん治療期,回復・安定期,再発期,がん終末期などさまざまな病期があり,患者の状態も異なる.とくにがん終末期は,がんの進行によって生じる多様な症状が褥瘡発生リスクに大きく関連する.症状の進行や次第に自立性が低下していくなかで,褥瘡の発生は「褥瘡ができるほどわるくなってしまった」と感じる患者や家族も少なくない.またがん終末期の褥瘡は一度発生すると難治性となり,患者のQOL を低下させる要因となる.常に患者とかかわることのできる看護師が,褥瘡発生リスクを適切にアセスメントし,早期から予防ケアを行うことの意味は大きい.ここではがん患者に生じる全身的な褥瘡発生のリスクアセスメントと,皮膚のフィジカルアセスメントについて述べる. -
皮膚症状・排泄からみるヘルスアセスメント:1.がんによる主な皮膚症状:浮腫
16巻2号(2011);View Description Hide Descriptionがん患者にとって浮腫は術後の合併症やリンパ節転移・リンパ管周囲のがんの再発,また栄養状態が低下していることのサインとして表れることが多い.自覚症状としてだるさや疲れやすさなどが出現し,歩行困難となって家事に支障をきたしたり,好みのズボンや靴が履けないなど,ボディイメージにも大きく影響する.そして2 次的には皮膚の損傷や感染などを生じやすくなるため,日常生活にも注意が必要となり,患者のQOL を低下させる要因ともなりうる.ここでは,浮腫の原因となる病態と患者に生じている症状のアセスメントについて述べていく. -
皮膚症状・排泄からみるヘルスアセスメント:1.がんによる主な皮膚症状:ストーマ
16巻2号(2011);View Description Hide Descriptionストーマを造設するがん患者は,現疾患の根治を目的とする場合と,がんの進行による腹膜播種に伴う腸閉塞やがんの浸潤で膀胱腟瘻,直腸腟瘻,直腸膀胱瘻などにより姑息的に造設される場合がある.どちらも,今までの排泄経路の変更を余儀なくされ,腹部にストーマ装具を装着し排泄管理をすることになる.ストーマを造設された患者は,その程度の違いはあるにせよ,ストーマ周囲の皮膚障害を経験し,場合によってはセルフケアに難渋することがある.私たち看護師は,ストーマを造設された患者が日常生活に支障のないよう,看護介入をしていかなければならない. -
皮膚症状・排泄からみるヘルスアセスメント:1.がんによる主な皮膚症状:瘻孔
16巻2号(2011);View Description Hide Descriptionがん患者の瘻孔には,①人工肛門や尿路変更術によるストーマ,栄養瘻としての胃瘻や腸瘻などのように外科手術で意図的に作られた外科的瘻孔と,②手術後の縫合不全やがんの浸潤により発生する病的瘻孔とがある.また,瘻孔は,自然閉鎖をすることのない直接瘻(唇状瘻:皮膚表面に粘膜が見える状態の瘻孔)と,自然閉鎖の可能性がある間接瘻(管状瘻:皮膚表面に粘膜の見えない瘻孔)に分けられる(図1).瘻孔管理は,瘻孔の原因や発生部位,排液の性状,栄養状態,瘻孔周囲の皮膚症状の有無などの身体状態のほか,患者の日常生活への影響,精神的な負担などの情報を集め,的確にアセスメントしなければならない(表1).瘻孔閉鎖の可能性がある瘻孔でも,栄養状態や全身状態が低下している患者の場合,瘻孔の治癒が困難で管理に難渋するなど,さまざまな苦痛を伴うことが多い.瘻孔ケアを行うときには,的確なアセスメントに基づき,苦痛の緩和を図りながら,患者に合わせたケア方法を検討する必要がある. -
皮膚症状・排泄からみるヘルスアセスメント:1.がんによる主な皮膚症状:失禁
16巻2号(2011);View Description Hide Description臨床で遭遇する失禁には,①がん自体やがんの治療に伴うもの(たとえば前立腺がんや直腸がんなどの術後に起こる括約筋や骨盤神経損傷による失禁),②長期間の膀胱留置カテーテル挿入による膀胱機能低下(廃用症候群),③がん終末期の悪液質(がんの進行による全身の衰弱した状態)に伴う全身機能の低下によるもの,など原因はさまざまである.失禁のある患者のアセスメントをする場合には,正常な排泄機能のメカニズムを知り,その機能のどこに障害があるのかを知ることが大切である.一般的に尿失禁は,①腹圧性尿失禁,②切迫性尿失禁,③機能性尿失禁,④溢流性尿失禁,⑤反射性尿失禁の5 種類,便失禁は,①漏出性便失禁,②切迫性便失禁,の大きく2 種類のタイプに分けられる.それぞれがどのような症状でどんな病態のときに起こるのかを理解し,問診や身体所見,検査データ,治療内容,精神面や社会面などからアセスメントを行い,看護介入をしていく必要がある. -
皮膚症状・排泄からみるヘルスアセスメント:2.注意したいそのほかの皮膚症状:感染:帯状疱疹,皮疹
16巻2号(2011);View Description Hide Descriptionがんの治療や進行に伴う皮膚症状のほかに,「感染症に由来するもの」があげられる.患者本人が感染症に罹患するものや再活性化により症状が出現するものもあれば,患者周囲の罹患により患者自身への注意喚起が必要な状況もある.ここでは,毎日の観察のなかで発見することが多いと思われる帯状疱疹の見かたを解説していく. -
皮膚症状・排泄からみるヘルスアセスメント:2.注意したいそのほかの皮膚症状:感染:湿潤,乾燥
16巻2号(2011);View Description Hide Description私たちの皮膚は外界のさまざまな刺激から身を守る生理機能を備えている.しかし,がん患者は,放射線療法や化学療法などの影響,加齢,栄養障害,滲出液や失禁などによって,皮膚の乾燥や湿潤を生じ,もともともっている正常な皮膚の生理機能が低下する.乾燥や湿潤によって皮膚は傷つきやすくなり,褥瘡やさまざまなスキントラブルの発生にも関連する.乾燥によって生じる痒感や,皮膚の損傷による痛みや滲出液は,患者の苦痛や不快症状を引き起こす場合も多い.ここでは,乾燥と湿潤の発生要因を知り,予防的なスキンケアに活かしていくために,乾燥,湿潤のアセスメントを述べる. -
皮膚症状・排泄からみるヘルスアセスメント:2.注意したいそのほかの皮膚症状:感染:末梢皮膚・爪のトラブル
16巻2号(2011);View Description Hide Description抗がん薬や分子標的治療薬による治療を長期間にわたって受ける患者が,末梢皮膚や爪のトラブルを抱えるケースは多い.爪床や爪周囲の炎症は強い痛みを伴う.このため,手指では日常生活動作への影響が大きく,また足趾では歩行困難につながるケースもある.これらのケースでは生命に直接影響はないものの患者の苦痛は大きくQOL の低下をもたらすため,治療継続の断念や薬剤使用量の減量などを考慮せざるを得ない場合もある.症状の観察はがん看護を行う看護師にとって重要なアセスメント項目である.また,がん患者は,がん化学療法薬とは直接に関連のない末梢皮膚や爪のトラブルを併発することもあり,鑑別が必要である.手足症候群とされる手掌や足底に好発する皮膚トラブルや末梢神経障害については別項にあるのでここでは述べない. -
- 第Ⅳ章 がん治療に伴う注目したい症状のフィジカルアセスメント
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血管外漏出
16巻2号(2011);View Description Hide Description血管外漏出とは,血管内に投与されるべき薬剤が血管外に漏れることをさす.抗がん薬の血管外漏出の場合,漏出した抗がん薬の種類によって皮膚障害が強く出現することがある.ここでは抗がん薬の血管外漏出の予防,アセスメント,初期対応について述べたい. -
過敏症~アナフィラキシーショック~
16巻2号(2011);View Description Hide Description過敏症とは,抗原抗体反応である免疫学的反応によるもので,異物に対する生体防御システムが過剰または不適当な反応として発現するため生じる症状である.過敏症は,全身性アナフィラキシーから局所性の皮膚症状,臓器障害まで多方面にわたる症状が知られている.抗がん薬による過敏症の多くは,全身性アナフィラキシーであり,重篤になるとアナフィラキシーショックを起こすため注意が必要である.ここでは,過敏症のなかでも全身性Ⅰ型アナフィラキシーのアセスメントと対応について述べたい. -
骨髄抑制
16巻2号(2011);View Description Hide Description骨髄抑制とは,抗がん薬の影響で骨髄細胞の正常な造血機能が抑制され,血球産生が減少することをいう.主に白血球(好中球),赤血球,血小板の減少状態をさす.骨髄抑制の出現のしかたや時期,程度は,抗がん薬の種類,量,患者の骨髄機能,今までの化学療法歴などによって異なる(表).しかしほとんどの抗がん薬で,程度の差はあれ骨髄抑制が必発する.ここでは,白血球,赤血球,血小板の減少について,それぞれのアセスメントとケアを述べたい. -
手足症候群
16巻2号(2011);View Description Hide Description手足症候群とは,抗がん薬投与後に生じる四肢末端の皮膚炎であり,抗がん薬による皮膚障害の1 つである.皮膚障害は,生命を脅かす副作用ではないが,患者のQOLを著しく低下させ,治療中断の原因となりうる.そのため,本来の抗がん薬治療が継続できるよう,看護師は予防から症状出現時の対処や悪化予防までサポートすることが重要となる. -
放射線による皮膚・粘膜症状,宿酔
16巻2号(2011);View Description Hide Description放射線療法は侵襲が少なく,機能臓器の形態を温存できる治療であり,高齢者の増加に伴い今後,より多くの患者が選択する治療といえる.放射線療法とは放射線(X 線,g 線,電子線,陽子線,粒子線,b 線など)を用いてがん細胞のDNA を損傷することにより,がん細胞の増殖を阻害し死滅させる治療である.放射線は放射線を当てたところにだけ作用するが,外照射では皮膚や周りの臓器にも放射線が当たることから有害事象がみられる.特徴的な急性有害事象である皮膚炎,粘膜炎,宿酔症状のアセスメントを考えていく. -
- 第Ⅴ章 事例を通して学ぶヘルスアセスメント
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