がん看護
Volume 21, Issue 3, 2016
Volumes & issues:
-
特集 【がん患者のオーラルマネジメント ~「きれい」だけではなく「食べる」も目指して~】
-
-
-
がん患者のオーラルマネジメントで看護師ができること・すべきこと
21巻3号(2016);View Description Hide Descriptionがんと闘う患者にとって,看護師は家族の次,あるいは家族以上に支えとなる存在であろう.これは根治を目的とする手術や放射線療法,化学療法時においても,終末期の緩和ケアにおいても共通である.本稿では,栄養補給経路としての経口摂取だけでなく,患者の生きがいの1 つである「食べる」を常に意識して,「食べられる口をCREATEする(つくる)」ために「看護師ができること・すべきこと」を整理してみたい. -
オーラルマネジメントCREATE の各構成要素におけるポイント
21巻3号(2016);View Description Hide Description近年,がん医療においても,口腔の病原菌に由来する感染症やその予防に関するエビデンスが出てきたことにより,口腔ケアを含むオーラルマネジメント(OM)が重要との認識が高まってきた.しかし,がん医療におけるオーラルマネジメントのゴールを患者さんが「口から食べること(Eat)」と考えると,従来から考えられてきた口腔清掃(Cleaning)だけでは不十分で,機能回復(Rehabilitation)まで考えた包括的な対応が必要となる.つまり,口腔清掃によって口腔由来の感染予防を行い,リハビリテーション的介入によって経口摂取機能の維持・回復を行うことで,おいしく食べることへつなげる. 本稿では,がん看護におけるオーラルマネジメントCREATE の各構成要素(311 頁図1 参照)におけるポイントについて解説する. -
がん看護における「周術期口腔機能管理料」の活用
21巻3号(2016);View Description Hide Description平成24 年度の診療報酬改定で「周術期口腔機能管理料」(以下,周管)が新設された.これはがんの治療に限定されたものではなく,また「周術期」となっているが,全身麻酔下の手術だけではなく,放射線療法,化学療法を受ける患者も対象になっている(図1).周管の目的は,治療に伴う口腔に関連する合併症の予防であり,まさにオーラルマネジメント(以下,OM)に保険点数がついたことで,がん治療における医科歯科連携が一気に加速した. 本稿では,周管の解説とともに,周管を看護業務の中でどのように活用するかについて述べる. -
手術を受ける患者へのオーラルマネジメント
21巻3号(2016);View Description Hide Description手術は,がん治療の3 本柱のうちの1 つである.高水準の医療を均一に提供するためには,手術決定の時点から術中・術後まで,患者中心の多職種連携によるチーム医療が必要である(図1)1). がんの全身麻酔下手術の周術期に考えられる口腔に関連する合併症は,①気管挿管時の歯の損傷,②術後肺炎,③経口気管チューブの圧迫による褥瘡性潰瘍,④口腔咽頭部の創部感染(surgical site infection:SSI)などがある.これらの合併症を予防・軽減するためには,単に口腔清掃を行うだけではなく,的確なアセスメントに基づいて必要に応じた歯科治療も行い,口腔をトータルに管理するオーラルマネジメント(以下,OM)の概念に基づく「口腔環境の整備」が必要である.これは決してむずかしいことではなく,歯科を効果的に活用することで,従来の口腔ケアよりも遥かに質の向上と効率化が図れる. -
-
-
頭頸部放射線療法を受ける患者へのオーラルマネジメント
21巻3号(2016);View Description Hide Description放射線療法の一時中断や中止は治療効果を低下させ,予後をわるくするので,絶対に避けなければならない.中止は治療線量が少なくなるので当然であるが,一時中断においても,休止期間が長くなるほど治療効果が低下し,その後,総線量を増やして治療を再開しても改善しない.頭頸部放射線療法の場合,治療効果は中断1 日につき1.5~2.3%低下する1).一時中断の理由として放射線性粘膜炎(以下,粘膜炎)がもっとも多い.粘膜炎対策としてオーラルマネジメント(以下,OM)がもっとも有効であり,成功に導く鍵は,患者にいちばん身近な病棟看護師が握っている. 適切に行われたOM は,治療の一時中断や中止をさせるような重篤な粘膜炎の発生を抑え2),治療後のQOL を左右する放射線性顎骨壊死(以下,顎骨壊死)の発生率を低下させる3). -
造血幹細胞移植を受ける患者へのオーラルマネジメント
21巻3号(2016);View Description Hide Description造血幹細胞移植(hematopoietic stem cell transplantation,以下移植)では,移植前からオーラルマネジメント(以下OM)が大切である1).術前から行うOM は患者の体調や期間などの制約が多く,移植後にはさまざまな口腔の合併症を併発する.適切なOM は移植医療を遂行するためには欠かせないものである. -
-
-
-
がん医療 よもやま話
-
-
-
Book
-
-
-
リレーエッセイ マギーズ東京便り 【2】
-
-
-
連載
-
-
緩和ケア教育を考える ~学生のこころを育てる講義の工夫~ 【4】:学生をひきつける講義の工夫③ 事例の効果的な使い方
21巻3号(2016);View Description Hide Description世界保健機関による緩和ケアの定義は,「生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して,痛みやその他の身体的問題,心理社会的問題,スピリチュアルな問題を早期に発見し,的確なアセスメントと対処(治療・処置)を行うことによって,苦しみを予防し,和らげることで,クオリティ・オブ・ライフを改善するアプローチ」1)である.この緩和ケアを卒前教育で学習することは,たいへんむずかしい.なぜなら,看護学的・医学的知識の理解はもちろんのこと,人間の生や死にまつわる既習の基礎・専門基礎科目の知識や,若い人生経験を多様に統合しながら,“わたし”ではない“あなた”のクオリティ・オブ・ライフを改善する看護を考えなければならないからである. そのため筆者は,基礎教育において緩和ケアを教授しようとするとき,学習者がイメージしやすい,アセスメントの視点を増やす,既習の知識を想起し統合する,多様な価値に気づく,いのちについて深く考える機会となる,不安な気持ちのまま終わらないように留意している.そこで重要となるのが,事例教材の効果的な使い方である. 本稿では,本学の講義の実際を一部紹介しつつ,緩和ケアの卒前教育における事例の効果的な使い方について検討する. -
遺族の声を臨床に生かす~J-HOPE 2 研究(多施設遺族調査)からの学び~ 【最終回】:望ましい看護師のあり方
21巻3号(2016);View Description Hide Description
-
-
research
-
-
がんと婚姻:患者の実態報告 【2】:~生涯未婚率と妊孕性~
21巻3号(2016);View Description Hide Description本報告は,「がんと婚姻」をメインテーマに2 回にわたって報告している.2 回目は「生涯未婚率と妊孕性」を主題として,女性のがんに対するスティグマの実態について報告する(図1).
-
-
第3 回がんプロ国際シンポジウム発表内容より 【1】
-
-
6 段階変革理論を用いて中心静脈カテーテル感染率を減少させた成果に関する報告
21巻3号(2016);View Description Hide Description2015 年2 月に大阪市で開催された第3 回がんプロ国際シンポジウム(The 3rd International Symposium of Training Plan for Oncoloy Professionals)へ招聘され,発表する機会を得た.私が前勤務先で実施した中心静脈カテーテル感染率減少に関するエビデンス・ベースド・プラクティス・プロジェクトについて記していく.
-
-
連載
-
-
希死念慮をかかえるがん患者へのサポート【新連載】:がん患者の「死にたい気持ち」に耳を傾けることの大切さ【1】:~希死念慮・抑うつのアセスメント,精神科診療との連携~
21巻3号(2016);View Description Hide Description -
がん化学療法におけるナーシング・プロブレム 【78】:看護の視点からみる「制吐薬適正使用ガイドライン2015 年10 月第2 版」のポイントと患者向け冊子のあり方への考察
21巻3号(2016);View Description Hide Description2015 年10 月に,「制吐薬適正使用ガイドライン2015 年10 月,第2 版」1)(以下本文中,第2 版)が発行された.2010 年の第1 版発行から5 年後の改訂である.筆者は,2011 年から制吐薬適正使用ガイドライン評価ワーキンググループ(以下,評価グループ)のメンバーとして,制吐薬適正使用ガイドライン改訂ワーキンググループなどの会議(以下,会議)に出席した.その会議で,ガイドラインを読み,利用する立場では見聞きできない多くのことを体験した. 本稿の目的は,改訂プロセスの一端にかかわった体験をもとに第2 版の解説を行い,筆者の考える第2 版の特徴とエッセンスを伝えることである.また,第2 版以後のがん薬物療法による悪心・嘔吐の課題,患者向け冊子のあり方を考察したい.
-
-
JJCC レクチャー
-
-
あなたのケアが変わる!看護臨床研究の活用と取り組み 【新連載】:なぜ,がん看護に臨床研究が必要か①~がん薬物療法や治療選択の場面にて~
21巻3号(2016);View Description Hide Description
-
-
特別寄稿
-
-
放射線療法の多職種チーム医療の構築と取り組み ~K-Grape の会を通して~
21巻3号(2016);View Description Hide Description近年,医療の専門分野の細分化に伴い,最大限の医療を患者・家族に提供するためには,おのおののメディカルスタッフが連携・協働して,それぞれの専門スキルを発揮することが重要視されるようになった.放射線療法の目覚ましい進歩とともに,放射線療法の現場においても,医師・看護師・診療放射線技師以外に医学物理士やそのほかの複数の職種がかかわるようになり,高い専門性が必要となってきている.放射線治療室では長年,看護師が配置されていない時代が続いていたが,このような社会の動向とともに,多くの施設において,放射線治療室の看護師配置についてその必要性が認識されてきている. 現在,がん放射線療法看護の分野において,看護師に対しても高い専門性が求められるが,がん放射線療法看護についての知識不足や放射線への抵抗感のため,放射線療法の現場以外の看護師との間に放射線療法看護に対する温度差を感じることも少なくない. 神戸大学医学部附属病院(以下,当院)は,2011 年4 月より放射線療法の多職種チーム医療の構築の取り組みとして,「K-Grape の会」と命名してTeam Building の取り組みを行ってきた.その設立経緯と現在までの取り組みについて紹介する.
-