がん看護
Volume 7, Issue 2, 2002
Volumes & issues:
-
特集 【緩和キュアと緩和ケア(2) 緩和的手術療法の現在】
-
-
-
脳神経外科領域における緩和的手術療法~がん性疼痛に対する手術について~
7巻2号(2002);View Description Hide Descriptionがんに伴う疼痛は,近年,モルヒネ製剤の使用法の進歩によって,長期にわたってよくコントロールされる例が増えているが,難治のために脳神経系に対する緩和的手術を必要とすることも少なくない.痛みの原因はさまざまであるが,従来は適切な鎮痛薬によって抑えきれない痛みを一括して「頑痛」と呼んでおり,原因の違いによって手術方法を選ぶこともなく,すべての症例に同じ除痛手術が用いられていた.それは,専ら末梢から中枢へ向かう「痛みの伝わる道」をどこかで切断して,痛み信号が脳へ伝わらないようにする方法であった.しかし,中枢神経系には,痛み信号の伝達を抑える抑制系が内在していることがわかってくると,今度はこれを電気刺激して活性化する除痛法がいろいろ工夫されるようになってきた. -
-
胃がんに対する緩和的手術療法~出血,胃瘻,イレウス~
7巻2号(2002);View Description Hide Description1993 年以降,男性がんの死因は肺がんが胃がんを抜きトップとなった.もはや胃がんは過去の病気となってしまったのであろうか? 否.胃がんによる死亡率,罹患率は低下しているものの,人口の高齢化に伴い,実際の罹患数,患者数は今も増えているのである(図1)1).つまり,胃がんで死ぬ人が減った,すなわち,胃がんの治療成績が改善したととらえるのが自然であろう.事実,胃がんの5 年生存率は,年平均1%強と着実な改善がみられる2).1995年に胃癌研究会から出された臨床病期別の5 年生存率でみると,Ⅰ期90%,Ⅱ期71%,Ⅲ期43%,Ⅳ期13%となっている3).いまだ,遠隔転移のある症例では生存率の改善傾向はみられないというのが現状である4).再発胃がんも含めると,緩和医療の対象となる胃がんは決して少なくはない.本稿では,高度に進行した胃がんあるいは再発胃がんに対して姑息的な外科的処置が必要とされる病態,(1) 腫瘍からの出血,(2) 腫瘍による消化管の通過障害に着目して述べたい. -
肝胆膵領域における緩和的手術療法
7巻2号(2002);View Description Hide Description膵胆道がんの悪性度は高く,進行がんの状態で診断される症例が多いのが現状であり,切除の対象とならない症例も多い.また根治切除後の再発率は高く,治療成績は他の消化器がんに比較してきわめて不良である.根治切除には大量肝切除,または,膵頭十二指腸切除が行われることが多いが,両者の併施が必要となる場合もあり,その手術侵襲は大きい.外科的切除のみが唯一治癒を得られる治療法であるが,画像診断では切除可能と考えられる症例でも,全身状態あるいは肝機能が不良のため,根治切除の適応にならない場合も少なくない.本稿では,膵胆道がんに対する緩和的手術療法すなわち胆道バイパスを含めた減黄術と消化管のバイパス手術につき概説する. -
大腸がんに対する緩和的手術療法
7巻2号(2002);View Description Hide Description大腸がんは比較的限局した発育様式を示し,原発がんだけでなく再発がんや転移巣に対する切除が有効な唯一の消化器がんであり,隣接臓器合併切除,拡大リンパ節郭清,肝・肺転移巣の切除,局所再発がんの切除がしばしば根治的に行われうる.手術効果が最も高いがんといっても過言ではない.しかし,逆に完全切除が不可能ならば放射線,化学療法など他の集学的治療を行っても根治は望めない.こうしたステージの大腸がん患者に対して延命,良好なQOL のための緩和的外科治療が必要となることがあるが,その適応や時期についての決定は難しいこともある.本稿では根治が期待できない大腸がんに対する緩和的外科療法の役割と実際について述べる. -
泌尿器科領域における緩和的手術療法~腎瘻,TURP,膀胱出血~
7巻2号(2002);View Description Hide Description泌尿器科領域における緩和医療は目的,手技ともに多岐にわたり,観血的治療を必要とする患者は,必ずしも原疾患が泌尿器にあるとは限らない.したがって,泌尿器科を専門としない部門に所属する医療従事者にも,ある程度の知識が必要となる.本稿では代表的な3 つの緩和的手術療法につき概説する. -
整形外科領域における緩和的手術療法
7巻2号(2002);View Description Hide Description近年がん治療の進歩により,根治が得られなくても,担がんで生存する患者が増加している.QOL を重視する考えも普及し緩和治療にも医療者の関心が向くようになった.骨転移は病的骨折あるいは脊椎転移による麻痺により,著しい疼痛やADL 制限をきたし,精神的苦痛を招く.これらを緩和する治療はQOL の維持改善に重要な役割を果たしている.今回は骨転移に対する手術療法を中心とした緩和治療について述べる.
-
-
連載講座:JJCCレクチャー
-
-
今日のがん治療と看護:子宮がん
7巻2号(2002);View Description Hide Description1. 子宮がんには子宮頸がんと子宮体がんがあり,前者は若い世代より発症し頻度的にも多いが,ごく早期のがんが主体であり全体として減少傾向にある.これに対して,後者は50~60歳を中心に発症し増加傾向にある.2. 子宮頸がんの原因はヒトパピローマウイルスによる感染であり,子宮体がんの原因はホルモン環境の異常が主たる因子とされる.3. 子宮がんのスクリーニグにおける細胞診の役割はきわめて大きいが,子宮体がんに関しては,頸部のみの検索では不十分で,体部の細胞診も必要である.4. 早期の子宮頸がんに対しては,円錐切除あるいはレーザー治療などの子宮温存治療が主流になりつつあるが,子宮体がんでの保存的治療はまだ一部の症例に限られている.5. ある程度進行した症例では,子宮全摘に加えてリンパ節郭清が基本術式なので,術後リンパ浮腫,リンパ管炎などへの配慮が必要である.また子宮頸がんでは広汎性子宮全摘術が行われるため,排便排尿障害や性交障害に対するケアも重要となる.
-
-
新連載
-
-
-
連載
-
-
-
投稿
-
-
研究報告:手術によって容貌が変容した頭頸部がん患者の社会参加とその関連要因
7巻2号(2002);View Description Hide Description手術により容貌が著しく変化した頭頸部がん患者の社会参加の実態と関連要因を明らかにする目的で,12例を対象に自由回答式の面接調査を行い,WHO の新障害概念を用いて分析した結果,以下の知見が得られた.(1) 術後容貌が著しく変容した人々の社会参加は縮小閉鎖型と不変拡大型に二分され,不変拡大型は縮小閉鎖型の約1.5倍であった.(2) 社会参加の不変拡大型と縮小閉鎖型の2群間で年齢,性別,術後の生存期間,構音障害を除く咀嚼障害などの機能障害,および活動の制約に顕著な差は示されなかった.(3) 社会参加の2群間で差を示すのは障害の受け止め方であった.拡大不変型は障害を肯定的に受け止め,縮小閉鎖型は否定的に受け止める傾向が顕著に示された.(4) 障害の肯定的な受け止めは,術前における手術の説明と自己決定の有無,ソーシャルサポート,および術後の生存期間の関与が大きいと示唆された.
-
-
海外誌から
-
-
老年期がん患者の疼痛を減少させる教育的介入の効果 Oncology Nursing Forum 26(1), 1999から
7巻2号(2002);View Description Hide Description目的:疼痛管理に関する教育的介入により,老年期がん患者の疼痛を減少させることができるかを明らかにする.研究デザイン:準実験研究背景:フロリダ中西部都市にある民間のがん診療所被験者:65 歳以上の告知されたがん患者36 名方法:実験群,コントロール群に無作為に分けられた被験者はVisual Analog Scale (VAS)に記入した.研究者はパンフレット「がん疼痛を管理する」の内容に即して14 分のビデオを作成した.実験群はこのパンフレットを受け取り,ビデオをみた.コントロール群は,診療所スタッフから,疼痛管理指導を受けた.2 週間後,被験者は同日で2 回,VAS に痛みの程度を記入し,郵送した.結果:共分散分析により,コントロール群と実験群の間で,痛みの程度に統計的な有意差がみられた.結論:老年期がん患者における疼痛管理の文献は少なく,十分に研究されていない.この研究は,老年期がん患者を対象とした教育的介入が効果的であり,教育的介入が老年期のがん患者の痛みの予防と管理において,中心的役割をなすことを示唆した.実践への示唆:看護婦は疼痛予防と管理に対して,老年期がん患者を教育するために,あらゆる努力をするべきである.また,看護婦は,老年期がん患者に対する疼痛管理や副作用コントロールへの教育的対策を明確にし,実行することにおいて先導的役割を果たさなければならない.
-
-
REPORT
-
-
-
ひと
-
-
-
心に残る看護
-
-
-
がんになって考えたこと(3)
-
-
-
職場だより
-
-
-
今月のことば
-
-
-
BOOK
-
-