Volume 13,
Issue 10,
2008
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特集
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ケアがワンランクアップ!整形外科の麻酔の知識と術後観察スケジュール
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整形外科看護 13巻10号, 977-977 (2008);
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知っておきたい麻酔の知識
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整形外科看護 13巻10号, 978-983 (2008);
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麻酔には全身麻酔と局所麻酔があります.さらに局所麻酔には,脊髄くも膜下麻酔,硬膜外麻酔,静脈内局所麻酔,神経叢ブロック,末梢神経ブロック,局所浸潤麻酔があります. 整形外科でよく使用する麻酔法として,以下のものが挙げられます. ①気管挿管下に呼吸管理する全身麻酔 ② ラリンジアルマスク(LMA)による自発呼吸を維持した全身麻酔 ③ 脊髄くも膜下麻酔・硬膜外麻酔(脊硬麻〔combined spinal and epidural anesthesia〕を含む) ④ 静脈内局所麻酔・神経叢ブロック・末梢神経ブロック・局所浸潤麻酔 本稿では,これらの麻酔法について解説します.
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整形外科看護 13巻10号, 984-992 (2008);
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全身麻酔後の合併症は起因・誘因より表11)のように分類されます.発症頻度で最も多いのは悪心・嘔吐であり,次に上気道の障害,心血管系の問題(特に低血圧)となります2,3). 本稿では,一般的な全身麻酔後の合併症について,特に術当日と術翌日以降に注意することについて解説します.
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整形外科看護 13巻10号, 993-999 (2008);
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麻酔記録は術中の患者の状態を記録したカルテです.主に記録される項目は,アメリカ麻酔学会(American Society of Anesthesiologist;ASA)のASA 分類(表1),麻酔方法,術式,麻酔時間,手術時間,バイタルサイン,投薬,出血や輸液・輸血,尿量などの出すい納とうです.病棟での熱型表とは異なり,手術や麻酔に伴い刻一刻と患者の状態は変化していくため,最低でも5 分間隔でバイタルサインの記録を行います.イベント(処置,不整脈,手術操作,合併症など)が生じたときには詳細に記録を行っています. 本稿では,兵庫医科大学病院で実際に使用している麻酔記録(図1)を用いて,術中経過の見かた,よく利用する略語などを解説します.
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整形外科看護 13巻10号, 1000-1006 (2008);
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喘息発作の頻度や重症度,日常および発作時の治療内容,最終の発作,術前の症状,呼吸音を十分に確認しておくことが重要です.緊急性を要さない手術の場合は喘息発作や上気道感染の後,4 週間以上の期間を空けて手術をするべきです.常用薬を術当日も少量の水で内服することは発作の予防になるかもしれません.発作はストレスに誘発されるので,前投薬による適度な鎮静は効果的です.
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麻酔法別! 術後観察スケジュール
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整形外科看護 13巻10号, 1007-1014 (2008);
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バイタルサインとは,vaital(生きている)sign(徴候)という意味です.通常の生活をしている場合には,心臓が拍動して血圧が一定以上に保たれ,呼吸をし,体温を維持し,排尿・排便を行い,意識状態に応じて反応し,特定の脳波パターンを示すことから,通常バイタルサインの測定という場合には,血圧,脈拍,呼吸,体温の測定を指すことになります. 術後,病棟に戻ったときに,点滴ルートやドレーンの確認,血圧測定も大事ですが,まず確認すべきなのは意識状態です.これは,精神機能や知覚が十分に回復しているかを確認するためです. 意識障害の原因として,無酸素症,低血糖,脳の虚血などの代謝性のものと,外傷,薬物,腫瘍といった器質性のものがあります.術後に抜管した後で多いのは,低酸素症・無酸素症(術後に起こるので術後低酸素血症という)です. 低酸素症・無酸素症の原因は,①呼吸抑制②声門(喉頭)浮腫③無気肺——が挙げられます(表1). 本症例では,抜管後・病棟帰室後の意識状態は問題ありませんでした.
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整形外科看護 13巻10号, 1015-1020 (2008);
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脊椎麻酔* 1 で使われる局所麻酔薬の比重とは,脳脊髄液の比重(約1.003 〜 1.009)と比べて等しいか高いかで示されます.等比重製剤は高比重製剤に比べて, ・ 麻酔範囲の広がりが緩徐で,急な循環動態の変動をきたしにくい ・ 作用発現時間が遅く,作用持続時間が長いのが特徴です. 本症例のように患肢を牽けん引いんしているときや痛みで患肢を下にできないときは,手術部位を上にして等比重の局所麻酔薬を用います.痛みがなく脊椎麻酔時に手術部位を下側にすることが可能な場合は,高比重の局所麻酔薬を使用します.
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整形外科看護 13巻10号, 1021-1026 (2008);
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硬膜外麻酔の優れた術後鎮痛効果を期待し,硬膜外麻酔を全身麻酔あるいは脊椎麻酔と併用することが行われるようになっています. 硬膜は脊髄を取り囲んでいるいちばん外側の膜で,その硬膜と黄色靱帯の数ミリのすきまを硬膜外腔といいます(図1).硬膜外麻酔とはこの数ミリの硬膜外腔に局所麻酔薬などを注入することによって,交感神経や知覚神経の機能を抑制し,疼痛や血行障害などを緩和する治療法です.局所麻酔薬で知覚神経をブロックして疼痛緩和をもたらし,運動神経をブロックすることで筋きん弛し緩かん作用をもたらし,術中・術後ともに有効な手段として用いられます. 術中は,全身麻酔と併用する全硬麻(術中・術後の鎮痛目的),脊髄くも膜下麻酔と併用する脊硬麻(長時間手術になった場合,脊髄くも膜下麻酔の補助,また術後鎮痛目的),単独で使用されるケースがあります. 本症例の場合,脊硬麻でも手術侵襲への麻酔は可能ですが,患者の不安感が強いため全身麻酔を併用しました.術後の管理としては,全身麻酔後の合併症と硬膜外麻酔後の合併症の両方に注意が必要となります.
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教育講座
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病棟ナースにしてほしい 整形外科リハビリテーション
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整形外科看護 13巻10号, 972-976 (2008);
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適応……下肢や体幹の筋力低下によりトランスファーが困難な患者禁忌……循環動態が不安定な患者,両下肢が免荷の患者,座位保持が不安定な患者
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説明できる整形外科疾患 患者はココがわからない!!
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整形外科看護 13巻10号, 1057-1063 (2008);
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背骨(脊柱)は椎骨が積み重なってできており,一つひとつの椎骨をつないで支えているのが靱帯です.積み重なっている椎骨は,椎体と椎弓の間に脊柱管という筒状の空間があり,この中に脊髄が通り,またその間隙には神経根があります.この脊柱管の前方に位置して椎体の後ろ側を縦に走っているのが後縦靱帯です(図1).この靱帯に骨化が起こり,固く厚くなって神経障害を起こすのが後縦靱帯骨化症で,頚椎によく起こります.したがって,頚椎後縦靱帯骨化症は,靱帯骨化の存在と,それによる臨床症状があるという2 つの条件が必要となります.
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ミニ特集
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整形外科看護 13巻10号, 1041-1049 (2008);
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近年,本邦でも日帰り手術が多くの医療スタッフにとって身近となりましたが,クリティカルパスの作成方法や疼痛管理の観点から実践に踏み込めない施設も多いかと思います.本稿では筆者が行ってきた日帰り膝関節鏡視下手術の実際を中心に解説し,その問題点から,日帰り手術の適応と限界について取り上げたいと思います.海外事情も踏まえ,日帰り手術の適応の拡大の参考に,そして日帰り手術をこれから導入予定の施設にも参考となれば幸いです.
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連載
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これが私の生きる道
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整形外科看護 13巻10号, 969-969 (2008);
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私は准看護師時代も含め,看護師生活13 年を迎えています.当院に就職したのは,訪問診療介助を行っていたころ,「このままでいいのか?」という漠然とした不安から,病院内(病棟)看護の経験も積んでおきたいと思ったからでした. しかし,就職してみると高度な技術や知識を要求され,覚えないといけないことばかりで,思い描いていた看護ができなくなっていく自分を感じるようになっていました.ちょうどそのころ,通信制課程ができ進学を決意しました.仕事と学業の両立は簡単なものではありませんでしたが,職場の理解と仲間のスタッフの励ましで,なんとか乗り越えることができ,現在も就職時と同じ整形外科病棟で日々奮闘しています.
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施設訪問 編集部がおじゃまします!!
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整形外科看護 13巻10号, 1029-1032 (2008);
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湘南鎌倉総合病院を訪れたのは,6月も始まったばかりだというのに,なんとも蒸し暑い日だった.外来にあふれる患者のビーチサンダルやよく日に焼けた肌は,夏の海を連想させる.そんな同院の整形外科病棟と外来の取り組みをうかがってきた.●2008 年6 月6 日・綾目
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私のおすすめ本
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整形外科看護 13巻10号, 1033-1033 (2008);
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この本はシリーズ第3 作まで出されています.そのなかでも,私は第1 作目に書かれている「心」と「躰」と「暮らし」にある21 個の「忘れもの」は,非常に考えさせられる内容だと感じています.この本が発行された2001 年からすでに7 年も経過していますが,作者が当時から警告している物質的な視点から物事を考える傾向はさらに広がっているように感じます.
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NURSING LIFE
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整形外科看護 13巻10号, 1034-1035 (2008);
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今、高齢者を取り巻く環境は複雑化しており、後期高齢者医療制度や年金問題、独居者の増加など、多くの人々が生活に不安を感じています。しかし、いろいろな制度について患者様が理解できているとは限りません。整形外科疾患は、大なり小なり機能障害を残すことが多く、ADL に支障をきたしますが、受傷前に近い生活レベルに戻す必要があり、有効な社会資源の活用によって、退院後の生活に安心感をもたらすことが必要になります。
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Medical Quiz
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整形外科看護 13巻10号, 1040-1040 (2008);
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NEW 基礎疾患をもつ患者はココがキケン 全身管理ができるナースになろう!
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整形外科看護 13巻10号, 1050-1053 (2008);
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当然のことながら患者にとって入院生活は非日常的で,食事の内容や量,あるいは運動量などふだんと異なった状況下に置かれることになります.なかでも,ふだんから血糖コントロールが良好な患者や,血糖コントロールに波がある(低血糖と高めの血糖値の混在している)患者については,入院当初から血糖変動に留意します.低血糖が続くようであれば,担当医に報告し,経口血糖降下薬やインスリン量を調整する必要があります. また,入院中の手術や検査のために,食事を抜いたり時間が遅れることも珍しくありません.入院中の服薬やインスリン注射を患者の自己管理としている場合は十分に注意し,スムーズに検査や手術が行われるよう配慮する必要があります.
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Let's try くふうモノ
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整形外科看護 13巻10号, 1054-1054 (2008);
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当院では,上肢の手術後やギプス固定患者のシャワー浴の際,ビニール袋とガムテープを使用し患部が濡れないように保護していました.しかし,この方法ではガムテープを.がす際に起こる痛み,皮膚への影響,使い捨てるためコストがかかるなどのデメリットがありました. そこで,皮膚への影響が少なく,耐久性があって再利用できるものを考えました.
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部位別でわかる 整形外科「要」語集
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整形外科看護 13巻10号, 1055-1056 (2008);
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整形外科看護をもっと追究したいあなたへ
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整形外科看護 13巻10号, 1064-1065 (2008);
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今回は人工膝関節全置換術(以下,TKA)後の冷却療法の有効性についての研究をご紹介します.
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整形外科の歴史
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整形外科看護 13巻10号, 1066-1067 (2008);
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第1 次世界大戦中に,軍医として働いたシェファード・ブッシュ陸軍病院で,ロバート・ジョーンズの指導を受けた外科医は整形外科に転向したが,1920 年にシドニーの王立プリンス・アルフレッド病院(RoyalPrince Alfred Hospital)に整形外科を独立させたテーセ(LennoxTeece,1889-1959.図1)もその1 人である.1916 〜 1918 年にかけて,ロバート・ジョーンズのもとで膝半月板損傷・足疾患の手術を研修した.テーセはオーストラリア生まれの最初の専門医として,カリスマ的存在となった.膝半月板損傷の徴候を明らかにし,テーセ徴候としてマックスレ徴候よりも簡便であると好評を得た.