整形外科看護

Volume 15, Issue 2, 2010
Volumes & issues:
-
特集
-
- 患者さんに説明できる! 全身の人工関節置換術 メリット・デメリット
-
-
人工関節の基礎知識
15巻2号(2010);View Description
Hide Description
人工関節置換術は,変形性関節症や関節リウマチなどで関節が高度に変形し,関節機能が著しく損なわれた場合に施行されます.除痛効果に優れ,機能的な可動域が得られることで関節機能が再獲得されます.現在,人工肩関節置換術,人工肘関節置換術,人工指関節置換術,人工股関節置換術,人工膝関節置換術,人工足関節置換術などが,日常診療で行われています.本稿では,上記の人工関節の構造とその特徴について概説します. -
人工股関節置換術 メリット・デメリット
15巻2号(2010);View Description
Hide Description
股関節は体のなかで最も大きく,大きな荷重のかかる関節で,人間が2 本足で歩く生活を営むうえで大きな役割を果たしています.健康な股関節では関節可動域が大きく安定しているので,痛みなく歩いたり,しゃがんだり,振り向いたりできます.しかし股関節に問題が生じると,歩行などの動作時に痛むようになり,疾患が進行すると夜間痛も出現します.股関節が破壊され機能を失った状態は,患者の日常生活上で大きな障害となります. 人工股関節置換術(total hip arthroplasty:以下,THA)は,股関節痛の苦痛を取り除いて機能を回復させ得る整形外科の代表的手術で,最も早い時期から実用化された人工臓器の一つです(図1).THA の発達は,股関節機能再建の革命を起こしたといえます.現在その適応は,変形性股関節症や関節リウマチなどの炎症性疾患,特発性大腿骨頭壊死症や臼蓋骨折などの外傷後股関節症など,幅広い範囲にわたります.日本では,先天性股関節脱臼や亜脱臼,臼蓋形成不全を原因とした脱臼性および亜脱臼性(亜脱性)股関節症が変形性股関節症のなかで最も多く約80%を占め,THA が行われる頻度の最も高い疾患です. -
人工膝関節置換術 メリット・デメリット
15巻2号(2010);View Description
Hide Description
人工膝関節置換術(total knee arthroplasty;以下,TKA)は,摩耗した関節軟骨や軟骨下骨を削り,金属と特殊ポリエチレンのインプラントに入れ替える手術手技です(図1,2). 膝関節を固定することなく可動性を残して関節機能を回復する試みは,1861 年のFergussonの報告に始まりますが,1973 年にInsall らが開発したTotal Condylar Knee からTKA が全世界に広まりました.現在は,各メーカーから販売されているどの機種を使用してもおおむね良好な臨床成績は得られ,整形外科の最も一般的な手術手技の一つとなってきています. -
人工肩関節置換術 メリット・デメリット
15巻2号(2010);View Description
Hide Description
関節リウマチ(rheumatoid arthritis;以下,RA)の患者では,発症1 年以内に50%が肩関節周辺に圧痛を感じ,30%で少なくとも片方の肩関節の機能が低下するといわれます.肩関節は手関節,肘関節とともに上肢全体として機能を発揮するため,高度に障害されると日常生活動作に著しい制限が生じます.高度に破壊されたRA の関節再建では,肘・膝・股関節に対する人工関節置換術が一般化しつつあり,安定した良好な長期成績が報告されています(図11),2). 一方,肩関節や足関節の人工関節はまだ歴史が浅く,長期の成績も少ないことから,限られた施設で行われているのが現状です.本稿では人工肩関節置換術を受ける患者に説明する要点をまとめます. -
人工肘関節置換術 メリット・デメリット
15巻2号(2010);View Description
Hide Description
上肢の人工関節のなかで,人工肘関節置換術は最も多く施行されています.それはほかの関節に比べ,人工肘関節はいちばん安定した成績が示されていること,さらに肘関節は無痛性とともに可動性,安定性が求められ,人工関節のメリットが大きい関節であることなどが挙げられます.人工肘関節は外傷や変形性肘関節症の患者に行われることもありますが,重労働には不向きであるため,ほとんどが関節リウマチ(rheumatoid arthritis:以下,RA)の患者に施行されています.ここでは肘関節の役割,人工肘関節置換術の適応,種類,メリット・デメリットについて述べます. -
そのほかの人工関節置換術 メリット・デメリット
15巻2号(2010);View Description
Hide Description
股関節,膝関節,肩関節,肘関節以外の人工関節は,主に手指のMP 関節(metacarpophalangealjoint:中手指節関節),PIP 関節(proximalinterphalangeal joint:近位指節間関節),母指のCM 関節(carpometacarpal joint:手根中手関節),母趾のMP 関節,足関節に行われています.手関節に対する人工関節は,かつては何種類かの人工関節が試みられてきましたが,良好な長期成績をあげたものはなく,現在ではほとんど行われていません.そこで,本稿では手指の人工関節と足関節の人工関節について概説します. -
-
特集2
-
- 写真と図でよくわかる 股関節の骨切り術と術前・術後ケア
-
-
-
-
-
-
-
骨切り術の術前・術後ケア
15巻2号(2010);View Description
Hide Description
成人の股関節疾患で骨切り術を施行された患者に対するケアは,手術の種類によっても異なるので,その注意点について述べます.
-
新連載
-
- ちょっとお仕事拝見! 整形外科にかかわるひとたち
-
- 整形外科疾患の保存療法 手術入院までどんな治療を受けてきたのか?
-
-
教育講座
-
- パスで流れがわかる! 整形外科の周術期ケア
-
-
連載
-
- あなたの笑顔が見たいから
-
- Let’s try くふうモノ
-
- 私のおすすめ本
-
- らくらく♪ 美医食同源さおりレシピ
-
- Medical Quiz
-
- 3ステップで学ぶ ナースのための整形外科日帰り手術
-
- 研究発表に役立つ 医学写真ワンポイントアドバイス
-
- 部位別でわかる 整形外科「要」語集
-
- 整形外科看護をもっと追究したいあなたへ 文献ナビゲーション
-
- 整形外科の歴史
-
20 世紀初期から中後期へ アメリカ整形外科の近代(2)アメリカ整形外科近代化のパイオニアたち(1)
15巻2号(2010);View Description
Hide Description
ヨーロッパの整形外科,特に,近代化しつつあったイギリスの整形外科は,アメリカの整形外科の近代化に影響を与えた.アメリカ整形外科近代化のパイオニアの第一に挙げられるのが,リドロン(John Ridlon,1852-1936,図1)で,第一次世界大戦のはるか前からイギリス整形外科,特にトーマス(H. O.Thomas),ロバート・ジョーンズ(Robert Jones)と続くリバプール学派の整形外科を忠実に学んだ.アメリカ整形外科学会創立にも関係し,しかも第一次世界大戦には陸軍軍医少佐として働いた彼は,整形外科のニューヨーク学派とは一味違うシカゴ学派の人脈を形成することとなる.