臨床精神薬理
Volume 19, Issue 6, 2016
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【展望】
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統合失調症治療において第二世代抗精神病薬はどこに向かうか──「新しい」第二世代を含めて
19巻6号(2016);View Description Hide Description世界で多くの第二世代抗精神病薬(SGA)が使用され,統合失調症以外への適応拡大も図られている。SGAは陽性症状に対してはプラセボよりも有効であるが,陰性症状や認知機能障害に対する効果は小さく,第一世代抗精神病薬(FGA)と比べて明確な差を示しにくい。錐体外路症状に対してはFGAよりもわずかに優れている。体重増加や糖尿病のリスクなど代謝系への副作用はSGAのほうに多い。ただし,これらのSGAの特徴も個々の薬物によって相違点がある。米国で2009年以降に発売された「新しい」SGAは,asenapineを除いてわが国で未承認であるが,従来よりも副作用面で多少の改善があるように思われる。さまざまな剤型のSGAが開発され,利便性は向上しているものの,効果やアドヒアランスについての評価は十分でない。臨床家はSGAを全体として捉えるのではなく,個別の作用や副作用特性を踏まえ,目の前の患者に適応すべきである。 Key words : second-generation antipsychotics, efficacy, adverse effects, drug formulations
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特集【新規抗精神病薬Asenapine舌下錠とは】
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Asenapineの基礎薬理学的特徴
19巻6号(2016);View Description Hide DescriptionAsenapineは,統合失調症並びに双極Ⅰ型障害を適応症として諸外国ですでに承認されている非定型抗精神病薬である。Asenapineは,ドパミンD2受容体,セロトニン5-HT2A受容体に高い親和性を有するとともに,5-HT2A受容体に加えて他のセロトニン受容体,αアドレナリン受容体およびヒスタミン受容体に対しても高い親和性を示す。一方で,ムスカリン性アセチルコリン受容体に対する親和性は低く,既存薬とは異なる受容体結合プロファイルを有している。Asenapineは,amphetamineが誘発する運動亢進や条件回避反応などの動物モデルにおいて抗精神病作用を示し,認知障害モデル,うつ・不安モデルでも有効性を発揮する。副作用の観点では,いくつかの非定型抗精神病薬で問題となる体重増加や代謝性パラメータへの影響が比較的少ないことが特徴であり,有効投与量からの投与開始が可能である。抗精神病薬の中で唯一の舌下錠であり,asenapineは統合失調症の薬物治療の新たな選択肢となりうるものと考えられる。 Key words : asenapine, atypical antipsychotic, schizophrenia, nonclinical pharmacology -
Asenapineの薬物動態について
19巻6号(2016);View Description Hide DescriptionAsenapineはドパミンD2とセロトニン5-HT2Aに対する阻害作用を持つ新規抗精神病薬である。これまでの抗精神病薬と異なるasenapineの薬物動態における特徴は,舌下投与である。普通にasenapine錠を飲み込むと消化管から吸収されたasenapineは初回肝通過効果を強く受け,全身循環に到達しない。そのため,10分間は飲み込まず口腔内に置く必要がある。AsenapineはUGT1A4によるグルクロン酸抱合と主にCYP1A2による酸化的代謝を受け排泄される。急速に全身に分布した後,排泄相に入り,その消失半減期はおよそ24時間である。薬物相互作用ではfluvoxamineとの併用でasenapineの血中濃度が2倍以上になることが予測される。 Key words : asenapine, sublingual administration, bioavailability, pharmacokinetics, drug interacation -
Asenapineの統合失調症治療における臨床的位置づけ
19巻6号(2016);View Description Hide Description新規抗精神病薬asenapineは,舌下錠というこれまでの抗精神病薬とは異なるユニークな剤型であり,ムスカリン受容体を除く,幅広い受容体に高い親和性を有する薬剤である。有効性については他の新規抗精神病薬(clozapineを除く)と同等とされ,Tmaxが約1時間と即効性があることから,焦燥・激越に対する有効性が期待される。一方,軽度の体重増加や傾眠,アカシジア,舌下錠特有の口腔内感覚鈍麻といった副作用は認められるが,代謝系副作用,高プロラクチン血症,QTc延長,抗コリン作用といった問題は少なく,長期的な忍容性に優れている。これら特徴を鑑みれば,asenapineは統合失調症薬物治療の第一選択薬の1つとして位置づけられるだろう。飲み込むと効果が大幅に減じるため,患者の理解が求められるが,asenapineの登場は患者・医師間におけるSDM(Shared decision making)を促進する可能性がある。 Key words : asenapine, antipsychotics, efficacy, adverse event, pharmacotherapy -
統合失調症および双極性障害に対するasenapineの効果と安全性に関する系統的レビュー
19巻6号(2016);View Description Hide Description統合失調症および双極性障害の薬物治療ガイドラインでは,効果と安全性のバランスに優れた薬剤選択が推奨され,2015年に発表された本邦の統合失調症薬物治療ガイドラインでは,初発精神病性障害患者には非定型抗精神病薬を使用することが望ましいとされている。1990年代以降に非定型抗精神病薬が相次いで承認上市され,統合失調症のうつ症状,陰性症状,認知機能障害への効果が期待されている。しかし,実臨床では,定型抗精神病薬に比し明らかな改善効果を実感することは少なく,実際,メタ解析ではうつ症状,陰性症状,認知機能障害への効果について定型抗精神病薬と同程度の非定型抗精神病薬もある。一方,双極性障害躁状態に対して適応を有する抗精神病薬もあり,特に鎮静を有する症例では重宝する。この度,本邦における9種類目の非定型抗精神病薬としてasenapineが承認された。本稿では統合失調症と双極性障害へのasenapineの効果と安全性について検討する。 Key words : asenapine, schizophrenia, bipolar, antipsychotic, systematic review -
統合失調症治療における服薬指導と服薬アドヒアランスの重要性:Asenapine舌下錠に関する服薬指導について
19巻6号(2016);View Description Hide Description統合失調症の治療は,当事者の社会参加,リカバリーに目標が置かれるようになり,患者当事者と治療者とが治療同盟にもとづきShared Decision Making方式によって治療方針を決定する方向へと変わりつつある。その眼目は,患者当事者が治療の主人公であり,当事者が積極的・主体的に治療に参加することにある。服薬はリカバリーを達成する上で欠かせない治療手段であり,服薬中断は再発に結びつきリカバリーの阻害要因となる。当事者が服薬の意味を正しく理解し,主体的に服薬を自己管理できるようになることはリカバリー達成の条件である。そのために服薬指導あるいは服薬自己管理教室などの心理教育が欠かせない。Asenapine舌下錠の服用の際には当事者が新しい舌下錠という剤型に慣れ,正しく服用できるよう服薬指導の工夫が必要である。Asenapine舌下錠の場合,服薬後10分間の飲食禁止時間などを積極的に利用して効果的な服薬指導,服薬教室を実施することが勧められる。 Key words : schizophrenia, relapse, shared decision making, medication self-management, asenapine
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【原著論文】
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統合失調症患者を対象にasenapine舌下錠を52週間投与した場合の安全性及び有効性を検討する第III相延長投与試験(P06125試験)
19巻6号(2016);View Description Hide Description日本人を含むアジア人の急性増悪期統合失調症患者を対象として,asenapine舌下錠(5mg又は10mg)又はプラセボの1日2回6週間投与の二重盲検試験終了後,さらに52週間非盲検下でasenapineを可変用量で投与し,安全性及び有効性を評価した。被験者は201名で,先行試験でのプラセボ投与(P/A)群44名とasenapine投与(A/A)群157名の有害事象発現率は90.9%及び85.4%であり,重篤な有害事象の発現率は11.4%及び20.4%だった。死亡はP/A群の1例であった。体重,BMI,HbA1c,空腹時血糖,インスリン及びプロラクチンの測定値に臨床上問題となる異常はなかった。陽性・陰性評価尺度合計スコア等で評価した有効性の効果減少率は6ヵ月以降12ヵ月まで約50%で推移した。以上より,asenapineは長期投与で良好な忍容性を示し,持続的な有効性を発揮すると考えられた。 Key words : asenapine, schizophrenia, clinical trial, efficacy, tolerability -
残遺型,多剤併用,多量投与,治療抵抗性又は高齢の統合失調症患者を対象にasenapine舌下錠を52週間投与した場合の安全性及び有効性を検討する第III相試験(P06238試験)
19巻6号(2016);View Description Hide Description残遺型,多剤併用,多量投与,治療抵抗性又は高齢の統合失調症患者を対象に,新規抗精神病薬asenapine舌下錠(5mg又は10mg,1日2回)の52週間投与の安全性及び有効性を検討する第Ⅲ相試験を実施した。前治療薬は併用可で増量は不可とした。対象被験者は157名,有害事象は87.9%(副作用は58.0%)に発現した。主な有害事象は,鼻咽頭炎21.0%,統合失調症増悪13.4%,傾眠12.7%,体重増加12.7%等であった。重篤な有害事象は8.9%に発現し,死亡は5名(3.2%)だった。体重,BMI,HbA1c,空腹時血糖,インスリン及びプロラクチン等の臨床検査値に臨床上問題となる異常はみられなかった。陽性・陰性症状評価尺度合計スコアは,いずれの部分集団でもベースラインから減少した。Asenapine舌下錠の長期投与は,統合失調症の幅広い患者集団で,良好な安全性と有効性を示すと考えられた。 Key words : asenapine, schizophrenia, clinical trial, efficacy, tolerability (long-term)
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特集【双極性障害の薬物療法:病像や経過に応じて使い分けるコツ】
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双極性障害の早期治療──neuroprogressionモデルから考える双極スペクトラムの薬物療法
19巻6号(2016);View Description Hide Description双極性障害では,未治療期間の長さが機能障害や予後の悪化に繋がることが指摘されている。ゆえに,早期の薬物療法導入は合理的と言えるが,一方で早期治療に伴う諸問題も危惧される。近年,精神科領域でもneuroprogressionモデルに基づく病期分類が採用され,双極スペクトラムはStage 1に相当すると考えられる。心理社会的アプローチに加えて薬物療法の導入も検討されるが,十分なエビデンスは形成されていない。基礎研究の結果から,気分安定薬(lithiumやvalproate)および一部の非定型抗精神病薬(aripiprazole, olanzapine, quetiapine)はneuroprogressionを抑制する可能性があり,早期治療の有力な候補薬として今後の臨床的検証が待たれる。 Key words : neuroprogression, staging, atypical antipsychotics, bipolar spectrum, prodrome -
混合状態に対する薬物療法の選択肢──エビデンスと経験から
19巻6号(2016);View Description Hide Description混合状態は,躁・軽躁病ないし大うつ病に対極の症状を併存する頻度の高い状態であり,DSM-5にも採用された。気分症状の診療時は,混合状態の有無を常に査定することが必要になる。その薬物療法は,躁・うつ両症状の改善が同時に要求される困難な課題である。一方の症状の改善のみを標的とした高力価抗精神病薬や抗うつ薬の使用は回避する。質の高い治療エビデンスは非常に少ないが,混合性躁・軽躁病に対しては一部の非定型抗精神病薬が中心になり,気分安定薬との併用も有力である。混合性うつ病の薬物療法のエビデンスはさらに少ない。筆者の経験を加味すると,国内では急性期はolanzapineが第一選択,aripiprazole,perospirone,quetiapine,これらとvalproic acidやlithium(Li)の併用も選択肢になるだろう。維持期にはlamotrigineやLiを考慮する。今後,DSMの改訂に伴って混合状態に関する臨床研究がさらに行われるようになり,質の高い薬物療法のエビデンスが蓄積されることを期待したい。 Key words : mixed states, mixed features, bipolar disorder, major depressive disorder, pharmacotherapy -
高齢者の双極性障害
19巻6号(2016);View Description Hide Description高齢者の双極性障害ではうつ病極(depressive polarity)への傾性があることから,うつ病エピソードの治療と予防が中心となる。最近は高齢者では抗うつ薬による躁転のリスクが少ないことから,気分安定薬と併用の上で抗うつ薬を使用することに支持的な意見が増えている。一方高齢者の双極性障害では認知症への移行が多いことも指摘されているが,近年lithiumの神経保護作用や認知症予防効果を示唆する報告が相次ぎ,関心を集めている。しかし高齢者の双極性障害に対する薬物療法のエビデンスは極めて少なく,今後は抗うつ薬やlithiumだけでなく非定型抗精神病薬や気分安定薬についても,高齢者を対象とした病相の改善や予防,さらには認知症の予防などに関する介入研究が必要であろう。 Key words : bipolar, elderly, treatment, lithium, antidepressant -
双極性うつ病の薬物療法
19巻6号(2016);View Description Hide Description双極性うつ病は,難治例が多い,治療による賦活症候群や躁転の危険性,自殺の危険性,長期にわたる罹病期間,社会機能の障害などの特徴を持ち,最も治療の難しい気分エピソードである。治療ガイドラインで推奨される薬物療法は,quetiapine,lithium,olanzapine,lamotrigineによる単剤治療と,気分安定薬であるlithiumとlamotrigineの併用である。それらが無効な場合,抗うつ薬の追加投与も検討されるが,serotonin and noradrenaline reuptake inhibitor(SNRI),三環系,四環系抗うつ薬など躁転リスクの高い薬剤の使用は避け,selective serotonin reuptake inhibitor(SSRI)やmirtazapineなどを,最少必要量,短期間の使用が推奨される。現状では十分なエビデンスは不足しており,今後さらなるエビデンスの蓄積が期待される。 Key words : bipolar depression, pharmacotherapy, evidence, clinical guidelines
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【原著論文】
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うつ病・うつ状態に対するmirtazapineの使用実態下における安全性・有効性の検討──使用成績調査
19巻6号(2016);View Description Hide Descriptionうつ病・うつ状態に対してmirtazapine(リフレックスR錠15mgまたはレメロンR錠15mg)を投与した患者を対象に,使用成績調査を実施した(調査期間:2010年4月〜2013年3月)。574施設から調査票3,636例を回収し,安全性解析対象症例3,388例,有効性解析対象症例3,048例であった。副作用発現率は25.18%であり,承認時の82.73%よりも低く,臨床上問題となる副作用は認められなかった。有効性は,全般改善度による改善率は51.51%であり,mirtazapine 6週間以内の投与において,うつ病・うつ状態の改善に寄与すると考えられた。以上より,mirtazapineは日常診療下で,うつ病・うつ状態の治療に有用であると考えられた。 Key words : mirtazapine, safety and efficacy, antidepressant, depression or depressed state, postmarketing surveillance study -
うつ病・うつ状態に対するmirtazapineの安全性及び有効性の検討──長期投与に関する特定使用成績調査
19巻6号(2016);View Description Hide Descriptionうつ病・うつ状態に対してmirtazapine(リフレックスR錠15mgまたはレメロンR錠15mg)を投与した患者を対象に,長期投与に関する特定使用成績調査を実施した(調査期間:2010年7月〜2013年6月)。225施設から調査票1,481例を回収し,安全性解析対象症例1,396例,有効性解析対象症例1,279例,52週継続症例474例,HAM-D実施症例203例であった。副作用発現率は31.23%であり,臨床上問題となる副作用及び長期投与特有の副作用は認められなかった。最終全般改善度による改善率は,有効性解析対象症例60.20%に対し,52週継続症例で79.75%と高かった。52週継続症例での改善率は,投与6週後50.26%に対し,投与52週後は80.09%,HAM-D実施症例での寛解率は6週後44.37%に対し,52週後は69.59%であり,mirtazapineの投与期間が長くなるに従い,改善率及び寛解率も増加していた。以上より,mirtazapineは日常診療下で,うつ病・うつ状態の治療に有用であると考えられた。 Key words : mirtazapine, safety and efficacy, antidepressant, depression or depressed state, postmarketing surveillance study -
治療抵抗性統合失調症患者を対象としたclozapineの製造販売後調査結果(中間集計)
19巻6号(2016);View Description Hide DescriptionClozapineの安全性及び有効性を評価するため,製造販売開始日(2009年7月29日) から2013年12月31日までにクロザリルR錠25mg・100mgの投与を開始した治療抵抗性の統合失調症の患者を対象に製造販売後調査を実施中である。今回,2014年10月31日時点で調査票が固定された患者1,193名を対象とした安全性および有効性の中間集計を実施した。その結果,安全性解析対象患者1,192名での副作用発現率は79.4%(947/1,192名)であり,主な副作用は流涎過多(38.6%),便秘(18.5%),傾眠(14.2%),白血球数減少(8.6 %)であった。有害事象により投与を中止した患者の割合は12.8%であった。Clozapine投与時に発現が懸念される「白血球減少症,好中球減少症(無顆粒球症1.3%を含む)」の有害事象の発現率は17.2%であった。無顆粒球症を発現した16名中15名が24週までの発現で,いずれも投与中止やその他の処置により軽快または回復した。11名の死亡が確認されたが,死因は様々であった。有効性解析対象患者1,174名でCGI-Cが「有効」(中等度改善または著明改善)の割合は55.6%であり,最終時点のBPRSの総スコア及び症状別スコアとも症状の改善が認められた。最終時点のDIEPSSの概括重症度は投与開始前から低下し,薬原性錐体外路症状の改善も認められた。以上より,製造販売後調査の中間集計の結果,clozapineの治療抵抗性統合失調症患者に対する安全性及び有効性が一定レベル提示された。今後引き続き,特定使用成績調査から得られる安全性及び有効性の検討を行う予定である。 Key words : clozapine, treatment-resistant schizophrenia, post-marketing surveillance, safety, efficacy -
Solanezumabの国際共同第Ⅲ相臨床試験(EXPEDITION1およびEXPEDITION2):併合解析の日本人集団結果
19巻6号(2016);View Description Hide DescriptionSolanezumabのアルツハイマー型認知症(AD)に対する有効性と安全性を検討するため,2つの国際共同第Ⅲ相臨床試験を実施した。2試験の結果から軽度AD患者のみを対象に2試験の併合解析を実施し,日本人軽度AD患者(126例)と全軽度AD患者(1,322例)との一貫性を検討した。有効性はADAS-Cog14,ADCS-iADLおよびMMSEのベースラインから80週までの変化量を評価した。併合データを用いた解析の結果,sola-nezumabは日本人軽度AD患者の認知機能低下を抑制する可能性が示唆され,全軽度AD患者の結果と同様の傾向が認められた。安全性は日本人軽度AD患者および全軽度AD患者で大きな差異はみられず,日本人軽度患者に特異的な有害事象もみられなかった。本解析の結果は,日本人軽度AD患者に対するsolanezumabの有効性および安全性が全軽度AD患者と類似していることを裏付けるものであった。 Key words : solanezumab, Alzheimer’s disease, dementia, amyloid beta, disease-modifying treatment
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【総説】
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アルツハイマー型認知症におけるアミロイド・カスケード仮説とこれまでのsolanezumabの臨床試験成績
19巻6号(2016);View Description Hide Description日本では,高齢者人口の増加に伴いアルツハイマー型認知症(AD)患者数の増加が予想されるが,既存の治療薬では有効性に限界があり,新規治療薬の開発が望まれている。ADの神経病理学的な特徴に,アミロイドβ(Aβ)の凝集により形成される老人斑や神経原線維変化を伴う神経変性がある。現在,ADの有力な病態仮説であるアミロイド・カスケード仮説に基づき,病態進行の本質的な過程に作用する「disease-modifying treatment」の開発が進められている。抗Aβ抗体であるsolanezumabは,2つの第Ⅲ相試験(EXPEDITION1及びEXPEDITION2)で主要評価項目を達成できなかったものの,軽度AD患者に対して有効である可能性が示唆された。 Key words : Alzheimer’s disease, amyloid beta, disease-modifying treatment, solanezumab
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【シリーズ】
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【私が歩んだ向精神薬開発の道——秘話でつづる向精神薬開発の歴史】
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第59回 特異な薬理学的プロフィールを持つasenapineの開発物語──その1:Asenapineの誕生から海外で承認されるまで
19巻6号(2016);View Description Hide Description
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