Volume 10,
Issue 10,
2008
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保存版 覚えておきたい!視野異常パターン集
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眼科ケア 10巻10号, 945-945 (2008);
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第一特集
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眼科ケア 10巻10号, 946-957 (2008);
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視野とは、目を動かさずに見ることのできる範囲のことをいいます。目を動かさないで見る一点を「固視点」と言いますが、視野はその固視点を中心として角度で表します。一眼の正常視野の範囲は上方60°、下方70°、耳側100°、鼻側60°前後です(図1)。見ることのできる範囲といっても、そのすべてが同じ調子で見えるわけではないことは、皆さんご存じの通りです。視野の中心付近は良く見え、周辺にいくにつれて見えかたはぼんやりしていきます。つまり、それぞれの場所で視覚の感度が異なるということです。より正確にいうと、黄斑の中心(中心窩)での視覚感度はずばぬけて良く、それを中心として周辺に向かって、最初は緩やかな傾斜で視覚感度が低下し、最周辺部になると急に大きな低下があり、最終的に視覚感度は0 になります。この様子は、「盲目の海に囲まれた視覚の島」と例えられています(図2)。この「島」には、中心から耳側に約15°の付近に、大きさ約5°の縦長だ円の穴があり、垂直に海面まで達しています。これがマリオット盲点であり、ご存じの通り、眼底の視神経乳頭の部位に相当します。 このように視野は、単なる平面的な広がりとしてだけとらえるのではなく、各部位の視覚感度の強弱も含めた立体的な「島」と考えて評価する必要があります。
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眼科ケア 10巻10号, 958-962 (2008);
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これは、上方の網膜剥離の視野です。網膜疾患による視野障害は、疾患部位と視野異常の位置関係が上下左右で逆になりますので、下方の周辺視野に欠損が示されます。網膜剥離は、感覚網膜と網膜色素上皮の間に解離が起こる疾患で、その場所に一致した部位に視野欠損が生じます。代表的な網膜周辺部裂孔による裂孔原性網膜剥離において、視野欠損は初期症状として重要です。通常、視野欠損は片眼性で進行性のものとして生じますが、その進行度は年齢などによって違ってきます。一般に、硝子体液化の進行した中高年では弁状裂孔から網膜剥離を形成しやすく、その進行も早いため、視野欠損を自覚する場合が多いといえるでしょう。初めは周辺部の視野欠損として現れ、網膜剥離の進行に伴って中心部に向かって拡大していきます。一方、有形硝子体の多い若年者の場合は、症状の進行が緩やかな場合も多く、網膜剥離が下方に位置し緩徐に進んだ場合などは、視野欠損が自覚されにくいこともあります。
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眼科ケア 10巻10号, 964-970 (2008);
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上の視野(左眼)は緑内障中期によくみられるものです。慢性緑内障は、通常末期に至るまで視力が保たれる疾患です。慢性緑内障の視機能障害は、主として視野障害の形で発症します。そのため、病期が進行するまで自覚症状がまったくないことが特徴です。緑内障を原因とする視野変化には、好発部位と進行様式に決まった特徴的パターンがあります。そのため、緑内障の診断と管理にあたり、視野検査はきわめて有用な検査です。
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眼科ケア 10巻10号, 972-977 (2008);
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上のように、片眼の中心暗点と他眼の上耳側半盲を特徴とする視野は、「接合部暗点(連合暗点)」と呼ばれます。この接合部暗点は、視交叉前部での障害で起こることがよく知られています。視交叉では視神経が「交差線維(鼻側網膜由来)」と「非交差線維(耳側網膜由来)」に分離し、交差線維は対側の中枢に向かって走行します。また、視交叉近傍には下垂体、内頸動脈などの構造物があり、占拠性病変の好発部位でもあります。視交叉における最も有名な視野異常は「両耳側半盲」です。下垂体腺腫などにより視交叉の内側の両交差線維(鼻側網膜由来)が障害を受けると、両側の耳側視野に障害が生じます。ただし下垂体と視交叉との位置関係には個人差があり、必ずしも下垂体腺腫が両耳側半盲を生じるわけではありません。
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眼科ケア 10巻10号, 978-983 (2008);
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この症例では盲点の拡大が著明です。盲点拡大はほかの視野異常と同様に、中枢性・視神経性・網膜性を鑑別する必要があります。まず、純粋な中枢性疾患での盲点拡大は通常ありません。視神経疾患では視神経乳頭浮腫をきたす疾患が盲点拡大を起こします。視神経乳頭浮腫をみた場合は、頭蓋内圧亢進によるうっ血乳頭、特発性視神経炎、視神経乳頭炎などを鑑別する必要があります。うっ血乳頭は通常、両眼性であることが特徴です。
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第二特集 目に良い食べ物
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眼科ケア 10巻10号, 1003-1003 (2008);
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眼科ケア 10巻10号, 1004-1008 (2008);
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現代に蔓延している病気の大半は活性酸素という、いわば「悪玉酸素」が関与して発症すると考えられています。活性酸素は分子構造が不安定であるため、すぐにほかの物質と結合し、その物質を変性させる、つまり「酸化」とよばれる現象をひき起こします。 活性酸素が体内に大量に発生すると、細胞膜を酸化して、細胞機能を大幅に弱めるほか、ときには活性酸素が細胞内の遺伝子に影響を与え、細胞の突然変異を促す場合もあります。こうした酸化現象が、ガン・生活習慣病の発生につながっていると考えられています。
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眼科ケア 10巻10号, 1009-1012 (2008);
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生活習慣の変化に伴い、日本でも加齢黄斑変性(AMD・図1)で眼科を受診する人が増えてきました。高血圧や肥満(BMI 高値)、喫煙などはAMD のリスクファクターであり、これらの刺激により蓄積した酸化ストレスが発症の根底にあるといわれています。最近になって、光線力学療法(PDT)や抗VEGF 製剤の硝子体内注射による治療が始まりましたが、適応や効果には限度があるのも実状です。患者さんは「何か気をつけることはないですか」「何かやったほうがよいことはありますか」と、必ずといってよいほど聞いてきます。その答えの一つが「野菜の色素で目を守る」なのです。
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眼科ケア 10巻10号, 1013-1015 (2008);
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今日本では生活習慣病(メタボリックシンドローム)の予防が大きな話題となっていますが、食事を含む生活習慣が病気と密接な関係があることは広く知られています。日本でも戦後食生活が欧米型になり、日本人のかかる病気もまた欧米化してきたといわれます。欧米型の食事はとにかく動物性脂肪が多いのが特徴ですが、これは動脈硬化をひき起こすため、欧米では動脈硬化による心臓病の死亡率が高く、肉消費量や乳脂肪消費量と心臓病による死亡率の間には、明らかに相関関係があることがわかっています。ところが、たっぷりと動物性脂肪を含んだフランス料理を食べるフランス人になぜか心臓病が非常に少ないことが古くから知られており、これが「フレンチ・パラドックス」と呼ばれ、長い間謎とされてきました。
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新連載
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知っておこう 役立てよう 見えにくい人の福祉サービス
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眼科ケア 10巻10号, 1030-1032 (2008);
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見えない・見えにくいかたが福祉サービスを受ける場合には、身体障害者手帳の交付を受ける必要があります。「視覚障害」では1 級から6 級まで障害の等級が分けられています。医療機関で身体障害者手帳の取得を勧められても、患者さんご本人が乗り気でない場合もあります。それは、身体障害者手帳がどのようなことに利用できるのかわからないということや、障害を受け入れられないからだと思います。この連載では、京都ライトハウスのロービジョン相談に来られたかたの事例を紹介することで、身体障害者手帳の果たす役割を医療スタッフの皆さんにも知っていただき、患者さんへの情報提供に役立てていただけたらと思います。
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連載
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こんげつの眼底
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眼科ケア 10巻10号, 937-937 (2008);
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症例データ33 歳、女性。高血圧の精査中。降圧薬内服にもかかわらず、収縮期圧200 mm Hg、拡張期圧130 mm Hgとコントロール不良。眼底検査目的に眼科を紹介受診。RV=(1.5)LV=(1.5)。自覚症状はありません。
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ポイントチェック!眼科手術の説明・準備・介助
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眼科ケア 10巻10号, 940-944 (2008);
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近視手術とは、波長193nm のエキシマレーザーを用いて角膜を削り薄くすることによって、角膜の屈折を変化させて近視を矯正する方法です。
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最終回 患者さんへの説明に生かすやさしい眼科用語集
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眼科ケア 10巻10号, 986-986 (2008);
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3-9 ステイニングとは、水平方向にみられる目の表面の傷のことです。目を時計に見立てたとき、傷が3 時と9 時方向にみられることから、この名で呼ばれるようになりました(図1)。
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インタビュー 眼科ケアな人たち
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眼科ケア 10巻10号, 987-989 (2008);
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私自身子どものころから目が悪く、いじめられたこともあり、「目に関係あるところは極力避けて生きたい」と思っていました。ところが、ある医師に「いずれ失明するからライトハウスへ行きなさい」と言われ、相談に行ったところ「ここで働きませんか?」と誘われて(笑)。「アルバイトなら……」と入職したのですが、結局長く勤めました。ライトハウスに勤めながらも、いろんな視覚障害者の団体にかかわってきました。
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施設紹介 となりの眼科に聞いちゃいました 教えて! 眼科クリニック
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眼科ケア 10巻10号, 990-991 (2008);
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住宅街に位置する当院の近隣には、ほかにもいくつか眼科医院があります。しかし手術を行っている施設は少ないため、当院では日帰り白内障手術と緑内障診療にとくに力を入れています。近所の気軽に受診できる眼科医院で手術を受けることができれば、たいへん便利でいろいろな負担が軽減できると思います。しかし、いざ手術となると目を切ることに対する不安や恐怖感、抵抗感はたいへん大きいと思います。そのような「人生の一大事」を託していただけるための緊張感と責任感をスタッフ全員で共有していることが患者さんにそれとなく伝わり、手術・検査を安心してお任せいただけるように、つねに気を配っています。
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アロマセラピーでeyeを癒そう!
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眼科ケア 10巻10号, 995-995 (2008);
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今、眼科領域でもアロマセラピーが注目されています。正しい知識を身に付けて、患者さんだけでなく、自分も癒していきましょう。
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転んでもタダでは起きるな!ORTのベリーズ体験記
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眼科ケア 10巻10号, 996-997 (2008);
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カリブ海の小さな国、ベリーズ。日本から来たORT として、できる仕事って? 眼科の現状は? 困難にめげず、前向きな活動を綴った体験記です。
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私の提言、苦言、放言
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眼科ケア 10巻10号, 998-999 (2008);
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私は、このエッセイでしばしば引用する拙著『目は快適でなくてはいけない』(人間と歴史社)の続編ともいえる『目力の秘密』(同社、写真)をこのたび上梓した。毎日新聞の「余禄」はそれを先取りしてというわけでもないだろうが、「目力」の宣伝をしてくれた。「目によって生じた愛のみが魂にまでいたるのである」というヘロドトスの言葉で始まるこの記事には、古代も現代も、目力こそ恋愛成就のカギを握ると書いてある。
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ごきげんナースとごきげんドクター
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眼科ケア 10巻10号, 1000-1001 (2008);
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思ったことが起こり、夢を持った人が夢を実現する。思ってもいない「いいこと」が、降ってわいたように起こることもあるかもしれないけど、偶然を期待して生きていくのは怖い。こんなストーリーで生きている。もっと正確に表現すれば、「あることを強く思っていればその思いが現実化する確率は、思わないでいるよりも大きい」という仮説のもとに自分は生きている。体に良いことをしていれば健康でいられる確率は高くなるし、投資を真剣に考えていればお金持ちになる確率は高くなる。「でも、将来を考えるのは面倒くさい。今楽しければいいじゃない」という考えかたもある。たしかにそうだ。でも僕たち医療従事者は、患者さんの健康や病気について未来も含めて一生懸命考えて対応する。だったら自分のためにも時間を使って人生の設計をしたほうがいい。
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どうぶつの目医者さん
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眼科ケア 10巻10号, 1002-1002 (2008);
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全国でも数少ない、動物専門の眼科ケアセンター。ここに来院するさまざまな“ 患者さん” にまつわるエピソードを紹介します。
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最終回 眼科検査よみかた入門
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眼科ケア 10巻10号, 1016-1024 (2008);
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コントラストとは、「明るい部分と暗い部分との明暗の差」(大辞泉)を指します。通常の視力検査は明暗の差が大きい指標を用いて、どのくらい細かいものを識別できるか調べる検査ですが、コントラスト感度はどれくらい明暗の差が少ないものを識別できるかを調べる検査です。やりかたとしては図1のような指標を用いて、患者さんが粗い縞模様から細かい縞模様まで、どのくらい小さいコントラストを判別できるかを調べます。実生活では、本やパソコンのディスプレイ、道路の標識は高コントラストですが、風景や人の顔、料理のディテールは低コントラストであり、コントラスト感度の検査は客観的に日常生活に近い視覚の質(Quality of Vision)を評価するものといえます。ここでは、コントラスト感度の基礎から臨床現場での結果の読みかたまでを、わかりやすく解説したいと思います。
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メがでる話
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眼科ケア 10巻10号, 1025-1025 (2008);
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「えー! 何で私が眼科に配属なの!? 眼科って入院の患者さんにどんなことをするの!?」1992 年に福岡大学病院に就職し、眼科病棟に配属が決まった時に、同期に言った私の最初の言葉です。「外科系の病棟でバリバリ働きたい!」という思いの強かった私は、希望でない病棟への配属に戸惑いと強い不満を感じていました。学生のころは眼科病棟での実習経験がなかった私です。思いつく眼科疾患といえば白内障、近視、ものもらい?ぐらいで(今考えると本当にお恥ずかしい)、入院しなければならない眼科疾患についてはまったくの無知でした。
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めざせ!快適なメガネこんなときどうしよう?
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眼科ケア 10巻10号, 1026-1029 (2008);
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患者さんの背景 1 年くらい前から眼精疲労が強くなって近医を受診したが、アレルギー性結膜炎と診断を受け近用眼鏡の処方箋をもらった。その眼鏡はこれまでのものよりも、もっと見づらく装用できない。かかりつけの整形外科より別の総合病院の眼科を紹介してもらったが、「まったく問題がない」と言われ、不安になって当科を受診した。