眼科ケア

　オートレフラクトメータ（以下、オートレフ）は、他覚的屈折検査を行う機器であり、検査結果を球面レンズ度数、円柱レンズ度数で表します。短時間で容易に測定できるため、日常診療でも高い頻度で使われています。オートレフの測定結果は、自覚的屈折検査の参考になります。患者さんのなかには、自覚的屈折検査が困難な幼児や検査の応答が難しい人もいます。この場合オートレフで出た結果を重視して視力検査を行ったり、矯正眼鏡の度数を合わせたりすることもあります。

　視力検査（自覚的屈折検査）は、眼科を訪れる患者さんのほとんどが受ける大切な検査の一つです。視力は、物の形や存在を認識する能力です。成人の場合、視力検査で屈折異常や眼疾患の有無などを知ることができます。乳幼児の場合は、視力の発達過程であるため、屈折異常や眼疾患の有無だけでなく弱視の有無を知るための検査でもあります。　視力検査は、最も基本的な検査であるものの、患者さんとのコミュニケーションが結果に影響したり、検査目的や症例によってさまざまな知識や技術が要求されたりする非常に奥深い検査です。本章を眼科に勤務する新人スタッフの方に少しでも役立ててもらい、検査をしてもらえたら幸いだと思っています。

　眼圧検査は、眼科の、とくに緑内障の診療においては欠かせない検査です。世間の眼圧に対する認識も高まり、人間ドッグなどの健診でも眼圧は測定されるようになりました。　眼圧の測定には、いくつかの方法がありますが、今回は非接触式眼圧計（ノンコンタクトトノメータ；通称ノンコン）にしぼって問題を作りました。　ノンコンの操作は複雑なものではありませんが、正しい測定値を得るためには、いくつか押さえるべきポイントがあります。患者さんに負担をかけずに、正しく測定できるようになりましょう。

　眼底写真は網膜疾患を客観的に記録する手段であり、今日の眼科診療には必要不可欠です。客観的な画像は、疾患の正確な診断だけではなく治療効果判定や治療方針の決定のためにきわめて重要な情報となります。そのため画像は鮮明であることが必須です。実際の臨床においては、自分の撮影した画像が鮮明でなかった場合には「どうしてうまく撮影できなかったのか？」を考え、問題点をすぐに見つけ出し、その場で修正できるようにならなければなりません。つまり撮影者は、装置や撮影方法をしっかりと習熟することが求められます。本稿では新人のみなさんが、知っていなければならない基礎知識やコツを、Q&A 方式でわかりやすく解説していきます。

　ハンフリー視野計は自動視野計の代表であり、眼科診療でたいへん重要となる検査の一つです。検査結果が患者さんの診断や治療方針に影響する重要なデータとなりますが、検査方法の説明不足やセッティング（器械の高さ、矯正レンズ、アイパッチRの貼りかたなど）が検査結果に影響します。患者さんがスムーズに正確な検査が施行できるような配慮が必要です。

　1945 年にゴールドマン視野計が開発され、動的視野検査のスタンダードとして世界中で用いられてきました。手動による検査方法であるため、測定結果が検者の技量に大きく左右される問題点があり、その後、自動視野計による静的視野検査が視野検査の標準として施行されるようになりました。しかし、現在でも周辺視野を含めた視野全体の形状を把握したり、神経眼科疾患や後期の緑内障を評価したりするには必要です。また、検査に対する理解が困難な場合は検者とコミュニケーションをとりながら測定できるため、有益な場合が多いです。ゴールドマン視野検査の正しい検査方法をマスターしてください。