呼吸器ケア
継続後誌:みんなの呼吸器RespicaVolume 6, Issue 7, 2008
Volumes & issues:
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連載
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- FRONT ESSAY
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- 呼吸器ケアレポート
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結果を出すチーム活動の実践
6巻7号(2008);View Description Hide Description東京都立広尾病院では,特に救急医療に力を入れており,「東京ER・広尾」を開設.三次救急を担う救命救急センターの体制を強化する一方,初期救急および二次救急初療を担当する救急診療科を設置し,1 施設の中に一次から三次までの救急体制を整えている. 今回取材した救命救急センター後方病棟は,三次救急患者をはじめ,さまざまな患者が昼夜を問わず入院する病棟である.院内では最も人工呼吸器稼働台数が多い上,熱傷や重症外傷,長期抜管困難の患者など,呼吸管理に細心の注意を払わなければならない病態も多い. 今回は,感染管理・救急看護・集中ケアの各認定看護師を中心に組織されているRCT( 人工呼吸ケアチーム)の活動と,呼吸管理に関連する教育などについて,中心となって活動している集中ケア認定看護師の三田村英美さんに話を聞いた. - 呼吸ケアスタッフがマスターしておきたい! 呼吸リハビリテーションBasic Lecture
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有効な腹式呼吸の指導とは?腹式呼吸の効果と指導方法について
6巻7号(2008);View Description Hide Description腹式呼吸は口すぼめ呼吸と並んで,呼吸リハビリテーションにおける有名な呼吸方法です.しかし,「なかなかうまく指導ができない」という声をよく耳にします.効果的な指導法や効果の判定はあるのでしょうか? 横隔膜が平低化した重症のCOPD 患者さんに腹式呼吸は有効なのでしょうか? 本稿では,腹式呼吸について改めて考えてみたいと思います. - 研究のヒントは臨床にある! 実況で学ぶ事例研究HOW TO
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事例研究の進め方(1)
6巻7号(2008);View Description Hide Description事例研究とは,一般に解決すべき内容を含む事実について,その状況・原因・対策を明らかにするために具体的な報告や記録を素材として研究していく方法1)です.事例を通してその中にある共通性や相違性★ 1 などに注目し,一般的なパターンを見つけることを目的としています.事例における共通性や相違性は,個々の事例をあらゆる面から観察することで明らかになります. しかし,個々の事例は複雑に絡み合った要素からなっている「人」であるため,1 人の観察者による事例の観察や検討のみで,その複雑さをとらえることは難しいのです.事例をより適切に理解し効果的な援助を導くには,研究という手法が必要となります.事例研究を通して原理・原則を探し,個別性・特殊性に応じた援助を明らかにしていくことで看護の質向上を目指すことができるのです. - わたしたちの呼吸ケア向上計画 Effort&Education for Respiratory Care
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- 患者さんと医療従事者のための闘病記ガイド
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「31 歳ガン漂流」
6巻7号(2008);View Description Hide Description大阪府立大学看護学部では,「患者の語りを看護に生かそう」という呼びかけのもと看護教員・学生・図書館司書らが集まり,2006 年7月より「闘病記読もう会」(現在22 名)として活動しています.健康情報棚プロジェクトからの闘病記800 冊寄贈がきっかけでした. 本連載|では,「闘病記とは何であるかを知り,患者さん当事者の声に耳を傾けるヒントにしていただきたい…」,そんな思いを込めて,会のメンバーが毎月1 冊ずつ呼吸器疾患に関連した闘病記をご紹介していきます. - 症例から学ぶ呼吸ケア Respiratory Care Case Study
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救命救急センターに入院した重症肺炎患者の看護を通して看護師の呼吸リハビリへの援助を振り返る
6巻7号(2008);View Description Hide Description当救命救急センターでは,昨年より緊急入院による急性期疾患(主に呼吸器疾患,脳神経内科・外科,多発外傷,熱傷など)の患者が最大2 週間まで入院するようになった.疾患が多岐にわたるため,現在,各疾患に標準看護計画を使用しているが,個別性が出ないこと,看護計画が日々の看護に生かされていないことが問題となっている.今回,重症細菌性肺炎で急性期にIPPV,気管挿管抜管後にNPPV を装着した男性の看護を通して,緊急入院での看護過程を前期と後期に分類し,呼吸ケアの視点で看護介入をまとめた.これにより,急性期の有効な呼吸リハビリテーションの必要性と変化する患者に対して,個別性のある看護が必要だと改めて認識できたので報告する. - 投稿
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自宅復帰を実現できた重症肺炎患者に対する包括的呼吸リハビリテーション −チームアプローチの重要性と作業療法士の必要性について−
6巻7号(2008);View Description Hide Description肺炎から呼吸不全となり人工呼吸管理下に置かれ,重度の皮下気腫・心房細動などの合併症を併発し,人工呼吸器離脱困難・自宅復帰困難と予測された症例を担当し,人工呼吸器離脱・自宅復帰を実現することができたので報告する.約8 カ月にわたる長期入院フォローの末,在宅復帰を実現できた要因,呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)におけるチームアプローチの重要性, 作業療法士(occupational therapist;OT)の必要性について,若干の考察を加える.
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Journal in Journal
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- 応援します! 呼吸療法認定士
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Respiratory Care Now 呼吸療法認定士の現在 呼吸療法認定士として、急性期から在宅へ向けての取り組み
6巻7号(2008);View Description Hide Description -
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特集
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- エキスパートの実践から学ぶ「やや難しい症例」への呼吸理学療法
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エキスパートの実践から学ぶ「やや難しい症例」への呼吸理学療法
6巻7号(2008);View Description Hide Description呼吸理学療法は,小児から高齢者,急性期から慢性期まで幅広い領域で実施されており,適応症例では一定の効果が示されています.しかし,臨床現場では一筋縄ではいかない難渋症例が少なくなく,解決の糸口がつかめないまま苦戦している方も多いと思われます.難渋症例を目の前にしたとき,わたしたちはどのような視点で,どこからアプローチして,その反応をどのように評価したらよいのでしょうか? わたしたち臨床家の力量が問われるところです. 本特集では,臨床で遭遇する頻度が高い疾患あるいは病態において,難渋する症例への介入の考え方と実際,またtips などについて,その領域の第一線で活躍される気鋭のエキスパートにご解説いただくこととしました.本特集が,臨床で悪戦苦闘する読者の皆さまのヒントになることを願います. -
総論 難渋する症例にいかに向き合うか
6巻7号(2008);View Description Hide Description診断群分類別包括評価(diagnosis procedure combination;以下,DPC)が導入され,医療費の抑制に向けて国を挙げた取り組みが始まっています.医療界を取り囲む経済状況は年々悪化の一途をたどり,すべての医療関係者にとって,大変厳しい,困難な時代を迎えてすでに久しくなりました.一方で,医療の現場の最前線に目を向ければ,高齢化による病態の複雑化が進み,これまでのような縦割り偏重の専門思考だけでは対応できない状況が広がっています.困難な時代に,困難な症例に,いかに立ち向かっていくかが問われています.外科系急性期医療を例に取れば,DPC の導入に伴い,術後在院日数の短縮が病院の存亡に直接結び付く急務の課題となっています.しかしながら,病院の経営原理に基づいて術後の在院日数を操作することは,本来あってはならないはずであると筆者は考えてきました.手術という大きなリスクを背負わされた患者が,精神・認知機能,身体機能を十分に回復させて,元の暮らしに元気に復帰できるまでを診る医療サービスの提供こそが,本来の外科系急性期医療の真の姿ではないかと信じてきました. 本稿では,はじめに,このような観点から筆者らが取り組んできたチーム医療による腹部大動脈瘤術後に対する早期理学療法の実際を紹介します.そこから,本稿のテーマである「難渋する症例」にいかに立ち向かうかについて議論を深めたいと思います. -
1 急性呼吸不全(食道癌根治術後の患者)
6巻7号(2008);View Description Hide Description食道癌根治術は侵襲が大きく,術後に呼吸器合併症が生じやすいとされています.当院では周術期管理の一環として,全身炎症反応を抑制し,呼吸器合併症,術後早期からの循環動態安定を目的にステロイド剤,好中球エラスターゼ阻害薬が投与されています.呼吸理学療法を実施していく上では,このような周術期管理,refilling の影響,術後の呼吸機能に着目して「離床」と「肺気量増大」を図り,必要に応じた気道内分泌物の喀出を実施していく必要があります. -
2 慢性呼吸不全急性増悪
6巻7号(2008);View Description Hide Description慢性呼吸不全の急性増悪の原因としては,感染症・心不全などがあり,そのなかには人工呼吸管理となるケースも少なからずあります.急性増悪を起因に,呼吸機能・身体機能の悪化が強いられ,二次的にADL やQOL,さらには生存率を低下させる重大な要因となります.その病態の改善と二次的な低下を予防し,増悪前のADL・QOL をできるだけ維持するためにも,可及的早期からの呼吸理学療法の介入は必要不可欠なものです.そのためには,チーム医療の充実が重要です. -
3 慢性呼吸不全
6巻7号(2008);View Description Hide Description労作時の低酸素血症と呼吸困難が強い間質性肺炎症例に対し,呼吸リハビリテーションとして運動療法を中心とした理学療法に加え,個人の行動特性や環境を詳細に把握した上でADL 動作練習や環境整備などの作業療法を実施しました.結果,ADL 能力や運動耐容能の改善を認め,自宅退院に結び付きました.間質性肺炎のように低酸素血症と呼吸困難が強い患者においても,個々に合わせた包括的呼吸リハビリテーションは有効であることが示唆されました. -
4 小児呼吸障害
6巻7号(2008);View Description Hide Description重症心身障害児(以下,重症児)の呼吸理学療法における体位管理は,胸郭の変形拘縮の特徴を考慮する必要があります.重度な胸郭変形では,気管・気管支走行の変位により通常の体位排痰だけでは排痰が困難になります.さらに,乳児期から繰り返す誤嚥性肺炎は右中下葉に好発し,側彎症凸側の心臓裏に膿胸が発症しやすいなどの特徴もあります.体位管理は,個々の病態や臨床像を十分に把握し,体位依存性の酸素化能の変化にも柔軟に対応しながら個別対応する必要があります. また,慢性期では積極的な呼吸器感染予防も重要ですが,急性期治療を想定した体位づくりや腹臥位保持具などを作成し,急性期治療に備える必要があります.以上の視点に立ち,本稿では,慢性呼吸障害で徐々に悪化し気管切開となり,術後に増悪した気管軟化症と肺炎罹患時の対応を紹介したいと思います. -
5 高齢者肺炎
6巻7号(2008);View Description Hide Description高齢者肺炎の多くは誤嚥性肺炎であり,肺炎に対する呼吸理学療法だけでは,反復する誤嚥性肺炎を予防することは困難です.活動性低下により嚥下や呼吸の筋力強化が困難な場合でも,全身の姿勢筋緊張や嚥下器官各部のアライメントを改善することで,嚥下運動を改善しながら安全な食塊通過経路および気道防御を保証し,唾液誤嚥を改善することが可能な場合があります.異常姿勢筋緊張や努力性呼吸による嚥下運動阻害を最低限にするためのアプローチとして,全身の姿勢および呼吸管理を基本に,局所機能としての嚥下筋への介入を行う視点が必要です.嚥下運動阻害因子に関する指標を整備し,対症療法ではなく,予防を目指していく必要があります.
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第2特集
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- 総復習! 酸素投与器具の使い方
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総復習! 酸素投与器具の使い方
6巻7号(2008);View Description Hide Description酸素療法は呼吸療法のなかでも,幅広い場面で行われる治療であり,救急外来,一般病棟,集中治療室など病院内では日常的に行われています.酸素療法は簡便で有効な治療ですが,効果的に行うためには,患者の状態に合わせて多くのインターフェイスの中から適切なものを選択していくことが大切であり,呼吸ケアスタッフは各インターフェイスの特徴や使用方法に通じていなければなりません.また,酸素供給装置である酸素ボンベや施設全体の酸素供給システムについても知っておく必要があります. 本特集では,酸素療法を行うに当たり知っておきたい,酸素投与器具の使用方法を中心にご解説いただきます. -
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3 酸素ボンベ・酸素供給システムについての基礎知識
6巻7号(2008);View Description Hide Description酸素療法は,幅広い場面で日常的に行われていますが,安全に使用するためには,酸素ボンベや酸素供給システムについて理解を深めることが重要です.本稿では,酸素流量計や中央配管の仕組み,酸素ボンベの管理,在宅酸素療法器具についての基礎知識を述べます.特に酸素ボンベ残量の計算方法は,簡便な計算式を覚えてしまえば難しいことではないので,ぜひ理解していただきたいと思います.在宅酸素療法で使用する器具についても,近年は対象疾患が拡大されており,患者を指導する際に必要となる知識であるため,基本的な知識を身に付けておきましょう.