呼吸器ケア
継続後誌:みんなの呼吸器RespicaVolume 6, Issue 9, 2008
Volumes & issues:
-
連載
-
- FRONT ESSAY
-
- 呼吸器ケアレポート
-
知識とともに“ 伝え方” を学ぶ勉強会
6巻9号(2008);View Description Hide Description北野病院では,呼吸器疾患患者に対して,内科・外科の枠を超えて連携した診療を実施すべく,平成19年6 月に呼吸器内科・外科を統合し,呼吸器センターを設立した.その中で外科系部門を担う9 階東病棟では,呼吸器外科副部長の大政 貢医師の協力の下,2008 年から病棟独自の新人勉強会を実施している.資料作成から講義に至るすべての運営を病棟スタッフが担当しており,各勉強会のテーマは,胸腔ドレーンや気管支鏡など,呼吸器分野における主要な処置や検査を中心にピックアップし,「これを優先してやってほしい」という医師や看護師の希望を聞き入れながら年間プログラムを組み立てている.今回は,そのうちの「胸腔ドレーンの管理について」を取材するとともに,病棟における新人指導の実際について,指導者・新人それぞれの立場から話を伺った. - 呼吸ケアスタッフがマスターしておきたい!呼吸リハビリテーションBasic Lecture
-
呼吸介助(2)始める前に押さえておきたい胸郭の動きの診かた・体表解剖について
6巻9号(2008);View Description Hide Description呼吸介助は,患者さんの呼吸パターンを確認し,徒手的に胸郭を触って,他動的に呼吸を介助する手技です.肺に直接アプローチすることはできないので,胸郭の中にある肺をイメージしながら,十分なフィジカルアセスメントのもとに行います.本稿では,呼吸介助を習得するために知っておくべき体表解剖と胸郭の動きについて,復習したいと思います. - わたしたちの呼吸ケア向上計画 Effort&Education for Respiratory Care
-
- 研究のヒントは臨床にある! 実況で学ぶ事例研究HOW TO
-
文献検討と文献クリティーク
6巻9号(2008);View Description Hide Description研究を行おうとする時点で,自分にとって関心のある領域(関心領域)はすでに誰かによってあるところまで研究され,明らかにされているという場合の方が多いものです.さまざまな研究方法や研究デザインが用いられることによって,あなたの関心領域にも種々の結果がもたらされています.新しい研究は,それまで行われていた研究結果を前提として行われるべきであり,研究はすでに明らかにされていることに立脚して着手されるべきです.これが,研究が「積み重ねの活動であり,無から始まるものではない」といわれるゆえんです. これまでの研究で,何がどこまで明らかになっているかを知るには,先行(既存の)研究の内容を吟味する必要があり,これを文献検討(または文献レビュー)と言います.文献検討では,報告された研究方法や結果をそのまま受け入れるのではなく,「クリティーク」という方法を用いて吟味していきます.クリティークは批判的思考,批判的評価とかかわるもので,研究の質や信用度を検討するプロセスといえます. - 患者さんと医療従事者のための闘病記ガイド
-
「妻のぬくもり 蘭の紅」
6巻9号(2008);View Description Hide Description大阪府立大学看護学部では,「患者の語りを看護に生かそう」という呼びかけのもと看護教員・学生・図書館司書らが集まり,2006 年7月より「闘病記読もう会」(現在22 名)として活動しています.健康情報棚プロジェクトからの闘病記800 冊寄贈がきっかけでした. 本連載では,「闘病記とは何であるかを知り,患者さん当事者の声に耳を傾けるヒントにしていただきたい…」,そんな思いを込めて,会のメンバーが毎月1 冊ずつ呼吸器疾患に関連した闘病記をご紹介していきます.
-
Journal in Journal
-
- 応援します!呼吸療法認定士
-
Respiratory Care Now 呼吸療法認定士の現在 病棟での活動と人工呼吸器チームの一員としての役割
6巻9号(2008);View Description Hide Description -
-
-
特集
-
- 今年こそ苦手克服!一問一答でわかる血液ガス・酸塩基平衡
-
今年こそ苦手克服!一問一答でわかる血液ガス・酸塩基平衡
6巻9号(2008);View Description Hide Description血液ガス・酸塩基平衡は呼吸ケアにおいて必須の指標です.しかしいざ1 人で勉強しようとすると,見慣れない記号や数式が出てきて,多くの人にとって難しさを感じる項目の1つであり「大事だということは分かっているけど,どうも苦手…」と思われている方も多いのではないでしょうか. 今回の特集では「今年こそ苦手克服!」と銘打って,血液ガス・酸塩基平衡への苦手意識を払拭していただくことを目的に,一問一答形式の分かりやすい特集を企画しました.断片的で曖昧になりがちな血液ガス・酸塩基平衡の基礎知識からデータの読み方まで,初心者でも理解しやすいように基本的なところからご解説いただきました. -
序 論 血液ガスと酸塩基平衡を考えるための基礎知識/Information
6巻9号(2008);View Description Hide Description血液ガスと酸塩基平衡を理解していくと,誰もが生体が持つ素晴らしい機能に驚きます.美しい絵を観るのと同じように,絵を学習するのではなく,人体の精緻な生理機能を堪能する気持ちで本特集に向き合ってみてください.きっと,これまで見たくなかったデータを,ちょっと考えてみようかなと思われるはずです.そして,そのやってみようかという気持ちこそが,臨床生理学の学習の入り口に立つことを意味するのです.本特集を通じて,皆さんが最もくじけやすい血液ガスと酸塩基平衡をどの解説書よりも分かりやすく解説します. -
1 患者の肺酸素化能:PaO2はこう読む(1)
6巻9号(2008);View Description Hide Description動脈血酸素分圧であるPaO2 は「動脈血中にどれだけの酸素が溶け込んでいるのか」という肺の酸素化能を表現しています.そのPaO2 は吸入酸素濃度,機械的な換気補助の有無,あるいは肺自身の状態(病態)などによって左右されます.普段の臨床現場では血液ガス分析装置が出すPaO2の数値と患者状態の確認をするのみで,“ ナゼ” そのような数値になるのかはあまり考えられていないと思われます.ここではその“ ナゼ” を知ることによって,PaO2 データを読む際により深く理論的に考えることができるようになっていただきたいと思います. -
1 患者の肺酸素化能:PaO2はこう読む(2)/Information
6巻9号(2008);View Description Hide Description患者の肺酸素化能を血液ガスのデータだけで判断すると,時に誤った判断を犯すことがあります.それは,酸素療法が一律に同じ状況で行われているわけではなく,患者個々に状態が異なることに起因します.患者の呼吸パターンや呼吸回数,呼吸の速さや大きさなどをよく観察・評価し,データを読むことが重要です.また,酸素がどのような条件で投与されているか,その投与方法は正しいかの判断も重要です.それらを踏まえて,得られた数値を分析する必要があります.数字にとらわれないよう注意しましょう. -
2 簡単明瞭! 酸塩基平衡の考え方
6巻9号(2008);View Description Hide Description酸塩基平衡を数学で使用する関数計算で解釈することは,不慣れな方には非常に難解であるだけでなく,臨床的な意味合いも理解しにくいために学習意欲がわかないという方が多いのではないでしょうか? しかし,今現在もあなたの身体の中で営まれている現象であり,その理解は呼吸療法スタッフには不可欠です.本稿では,酸塩基平衡を皆さんが日常的に使用するお金の収支(銭勘定)に置き換えて,分かりやすく解説します. -
3 酸塩基平衡の呼吸性変化:呼吸性アシドーシス・呼吸性アルカローシス/Information
6巻9号(2008);View Description Hide Description血液のpH は7.40 ± 0.05 という狭い範囲にコントロールされています.肺は,体内で産生される酸(CO2)を排出する作用により,血液のpH を調節しています.仮にもし換気量が少な過ぎると血中CO2 濃度が上昇して呼吸性アシドーシスとなり,pH は酸性に傾きます.逆に,もし換気量が多過ぎると血中CO2 濃度は減少して呼吸性アルカローシスとなり,pH はアルカリ性に傾きます.呼吸性アシドーシス/アルカローシスは,この変化が急性か慢性かによって,さらに急性と慢性に区別されます.慢性の場合には腎による代償が働き,呼吸性アシドーシス/アルカローシスであっても血液のpH はほぼ正常範囲に戻ります. -
4 酸塩基平衡の代謝性変化:代謝性アシドーシス
6巻9号(2008);View Description Hide Description緩衝系はいくつもあって複雑ですが,ある程度単純化して考えましょう.代謝性といえば,まず重炭酸イオンに注目してください.BE(ベースエクセス)を参照すれば簡単に理解できるような気がしますが,重炭酸イオン値そのものを評価することも大切です.アシドーシスでなくとも代償機構の働き具合を知るのに重要です.重炭酸以外にカリウムや塩素イオンの動きにも注目してください. -
5 酸塩基平衡の代謝性変化:代謝性アルカローシス
6巻9号(2008);View Description Hide Description代謝性アルカローシスは,①酸・Cl(クロール)排泄の増加(細胞外液減少,Cl 反応性),②重炭酸排泄の減少(細胞外液正常・増加,Cl 不応性),③重炭酸や重炭酸に代謝されるクエン酸などの過剰投与によって発生します.血液pH 7.45 以上,過剰塩基 +2mEq/L 以上への上昇で診断されます.脳血管,冠血管や末梢血管が収縮し,意識障害,けいれん,知覚障害,心収縮力低下が見られ,低カリウム血症,イオン化カルシウム低下によるテタニーや不整脈が出現します.治療は原因の除去が原則ですが,アルカローシスが高度な場合や症状を伴うときは尿中Cl 濃度をもとに生理食塩液,塩化カリウム,抗アルドステロン薬,炭酸脱水酵素阻害薬,プロトンポンプ阻害薬やH2 ブロッカー,時に塩酸塩を含むアミノ酸剤などから選択し使用します. -
-
第2特集
-
- 訪問呼吸リハビリプログラムをどうつくるか?
-
訪問呼吸リハビリプログラムをどうつくるか?
6巻9号(2008);View Description Hide Description慢性呼吸器疾患の患者の増加や,在宅酸素療法,在宅人工呼吸療法などの普及に伴って,訪問呼吸リハビリテーションのニーズは高まっています.呼吸リハビリテーションを患者さんの自宅で実施するに当たっては,実際にリハビリを行う環境や日常生活状況などを加味した訪問呼吸リハビリプログラムを作る必要があります.しかし,実際に理学療法士が患者さんの自宅に出向いて行う呼吸リハビリテーションはまだまだメジャーではなく,参考書なども少ないのが実態です.本特集ではこれから訪問呼吸リハビリテーションを実践していこうとしている,あるいは訪問リハの部門に配属されたものの,プログラムをどのように作っていったらよいか分からないといったコメディカルスタッフを対象に,運動処方,療養生活指導,排痰法などについて分かりやすくご解説いただきます. -
運動処方
6巻9号(2008);View Description Hide Description慢性呼吸器疾患に対する運動療法の有効性はマニュアル上でも認められていますが,決められた内容をある程度の強度・期間をもって実施したことに対する効果であり,在宅で同じような効果を得ようとする場合,それなりの運動を自分で管理しながら継続し続ける必要があります.しかし,決して容易でもないため,生活の中で展開していく運動上の工夫や精神的サポートについて考えていく必要性があります. -
療養生活と生活環境の整備
6巻9号(2008);View Description Hide Description在宅での生活には,身体的要因だけなく生活環境による影響は大きく,実際の在宅生活を考慮した細やかな指導が必要です.息切れの状態を詳細に評価し,動作要領や呼吸方法に加えて生活環境を整備・工夫することで,息切れを軽減することができます. -
在宅での排痰に関する基礎知識
6巻9号(2008);View Description Hide Description在宅で排痰を行うに当たっては,呼吸機能に関する基礎知識を理解した上で,病院と同様に他職種と情報連携を行い,事前に各種検査データや使用薬剤の状況などを把握する必要があります.訪問時は,加温・加湿などの環境調整や体位排痰などの日常生活が行えているかを確認します.排痰法は自己喀痰を指導するか,介助による方法で実施するか,状況を見て判断し,選択します.選択した排痰法でも実施,継続可能かをモニタリングし,必要な修正,指導を行います.気管切開患者など,気管内吸引を必要とする場合は吸引に関する同意書などが必要になります.