糖尿病ケア

Volume 7, Issue 5, 2010
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目次
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特集
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- たとえで病態・ケアがわかる! そのまま指導に使える! 糖尿病細小血管障害
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1.総論:糖尿病と細小血管障害
7巻5号(2010);View Description
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2007 年度の糖尿病実態調査により、わが国には糖尿病予備軍を含めると推定2,210 万人の糖尿病患者さんが存在することがあきらかとなりました。今や成人の約20%、なんと5 人に1人が何らかの糖代謝異常をもつ時代を迎えたことになります。 糖尿病は、インスリンの分泌障害や標的臓器における作用不全によって慢性の高血糖がひき起こされる代謝の病気です。しかしながら、糖尿病では体中の血管が障害され、特有の臓器合併症が現れるため、患者さんの生活の質(QOL)や生命予後の観点からみれば、糖尿病は血管病であるともいえます。 糖尿病性血管合併症は、冒される血管の大きさにより「細小血管障害」と「大血管障害」に分けられ、前者の代表的な疾患として網膜症、腎症、神経障害が、後者では心筋梗塞、脳血管障害、末梢動脈性疾患(PAD)などがあげられます。どちらかというと、細小血管障害は患者さんのQOL に影響を与える合併症だと考えられています。 代表格である糖尿病腎症は、1998 年以降新規透析導入の原因疾患の第1 位を占めており、その罹患人口は増加の一途を辿っています。実際、新たに透析導入になる患者さんの約43%に糖尿病の原疾患があります。また、糖尿病網膜症によって年間約3,500 人が失明に至っています。糖尿病患者さんのケアを行うにあたって細小血管障害の病態を十分に理解し、その予防と治療に努めていくことが大切です。 -
2.糖尿病網膜症
7巻5号(2010);View Description
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糖尿病が原因で、目の奥の膜「網膜」(カメラでいうとフィルムにあたる)の血管に異常が起き、出血や浮腫、血管の増殖(新生血管)などが発生した状態が糖尿病網膜症です。まず右ページで目のしくみを理解してください。 糖尿病網膜症は、現在、日本人の失明原因の第2 位です(平成17 年厚生労働省の調査による)。年間約4,000 人が糖尿病網膜症のために、あらたに失明状態になっているといわれています。 糖尿病網膜症は単純網膜症、増殖前網膜症、増殖網膜症と進んでいきますが、糖尿病になったからといってすぐ糖尿病網膜症が出るわけではありません。網膜症が出るのには血糖のコントロールの状態、高血圧などの全身の状態に加え、糖尿病になってからの期間も重要です。筆者らは2001 年に北海道の12 眼科医療機関に初診した糖尿病患者さん(2,325 名)の網膜症の実態調査を行いました1)。それにより、糖尿病と診断されてからの期間が長くなるほど網膜症のある人の頻度が増えることがわかりました。糖尿病を発症して5 年以上たつと、約半数の患者さんに網膜症が出てきます。増殖前網膜症以上の病期の人は糖尿病発症後11年以上になると約30%、糖尿病発症後20 年を超えると半数以上を占めるようになります。もちろん網膜症が重症になるほど視力が下がる人は増えます。 では、糖尿病網膜症になると目のなかでどのようなことが起きるのでしょうか。網膜血管を川、網膜をその周りの花畑、黄斑を花畑中央のひときわ大きな花に例え、詳しく解説します。 -
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連載
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- 巻頭言
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- その案いただき! 糖尿病患者さん指導用アイデアグッズ
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- ドコみる? どうみる? フットケア誌上検討会
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- Dr.サトーがアドバイス! 療養指導おなやみ解決塾
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- 知っておきたい! 深めたい! 糖尿病の用語解説
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