バスキュラー・ラボ
Volume 6, Issue 1, 2009
Volumes & issues:
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対談
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血管疾患予防と治療の現在とこれから 今こそ必要なコメディカルとのハーモニー
6巻1号(2009);View Description Hide Description国立循環器病センターの新しい総長となった橋本信夫先生と,本誌編集委員長の松尾汎先生が,今後の血管疾患診療の在り方,コメディカルスタッフとの連携,国立循環器病センターの役割についてなど,熱く語り合った.
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特集
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- 全身を診る:森と木を診る
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- Knowledge
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血管疾患の病理 動脈硬化や血栓形成に部位的な特徴はあるのか?
6巻1号(2009);View Description Hide Description動脈硬化症とは動脈系に見られる一連の細胞性反応である.その反応は解剖学的局在性,年齢,性,個体が受ける危険因子などの影響を受け,脂肪線条,線維斑,複合病変など多彩な形をとる1). 病理形態学的に動脈硬化は次の3 つの病変に大別される2).㈰大量の脂質沈着を伴う粥状硬化(atherosclerosis).㈪筋型動脈の中膜に輪状の石灰沈着をきたすMonkeberg 型中膜石灰化硬化(Monkeberg ’smedial calcific sclerosis).㈫小・細胞脈壁の肥厚をきたす細小動脈硬化である(arteriolosclerosis). これらのなかでも,臨床病理学的に最も重要視されているものは粥状硬化症であり,大動脈やそれから分岐する弾性型動脈や,冠状動脈・脳底部動脈・四肢の動脈など,中型の筋型臓器動脈に好発する.以下,粥状動脈硬化症を中心に,中膜石灰化硬化,細小動脈硬化に簡単に説明する. -
動脈硬化と臨床 全身動脈硬化の頻度とその診療指針
6巻1号(2009);View Description Hide Description近年,食生活や生活様式の欧米化などにより動脈硬化性疾患は増加傾向である.動脈硬化は全身の血管に起こるものであるので,たとえば心筋梗塞を発症した場合でも,その治療を行えばそれで終わりというものではない.心筋梗塞は動脈硬化性疾患の一部分症であるので,ほかにも病変があると考えなければならない.難しいのは動脈硬化性疾患は多岐にわたるということである.脳血管疾患,頸動脈狭窄症,虚血性心疾患,大動脈・動脈瘤,腹部アンギーナ(虚血性腸炎など),腎動脈狭窄症,閉塞性動脈硬化症など,動脈の走るところに病変ありと考えられる. 現在の臓器別診療体制では局所の病変に限局する診療が基本となるが,このように全身を診察し,治療することをつねに意識しておく必要がある.ただし動脈硬化性疾患それぞれに特徴があり,頻度や重症度,致命度が異なるため全身の動脈硬化を網羅して理解しなければならない. -
- Technique
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動脈硬化の評価 どう評価するか
6巻1号(2009);View Description Hide Description超音波検査(ultrasonography:US)は,早期動脈硬化の変化から高度機能障害を示す種々の動脈硬化病変の評価を,簡便かつ非侵襲性に評価できる有用な手段である1,2).またUS は,形態と機能の両面で血管評価が可能なため,治療法の選択その効果判定など精査検査としても有用である.さらに動脈硬化は全身血管に及ぶ病態であり,US の特性から評価困難な部位があるが,多くの血管の評価が可能である.本稿では,おもに動脈硬化病変のUS 評価ポイントについて記述する. -
- Treatment
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脳血管障害と動脈硬化・血栓
6巻1号(2009);View Description Hide Description近年,脳梗塞,心筋梗塞と末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)は,動脈硬化巣の破綻に引き続いて血小板血栓が形成され,その血栓によって血管が閉塞されて発症するというメカニズムが共通していることから,アテローム血栓症(atherothrombosis)と総称されるようになっている1 〜 3).アテローム血栓症を発症した人の多くは,アテローム血栓症の再発によって死亡したり重篤な後遺症を残したりするため,危険因子の管理と抗血小板療法による治療が行われる.最近では,アテローム血栓症の発症自体を予防することが,動脈硬化性疾患の治療の最終目標として重視されており,一次予防における抗血小板療法の有効性に関する臨床研究も進行中である.本稿では,脳梗塞の予防と治療を中心に概説する. -
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新連載
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- 検査・診断に知っておきたい 血管の局所解剖アトラス
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冠動脈の解剖
6巻1号(2009);View Description Hide Description心臓は全身からの血液を受け,また全身および肺に血液を送り出すポンプ機能を行うため,一生涯,収縮拡張を繰り返す横紋筋からなる臓器である.その生命維持に最も重要とも言える心臓を栄養する血管は冠(状)動脈がある(図1).通常は左冠動脈,右冠動脈の2 本が別々に大動脈弁直上の大動脈バルサルバ洞から分岐する.左冠動脈は左バルサルバ洞,右冠動脈は右バルサルバ洞内に開口している.大動脈弁が閉鎖する心拡張期にバルサルバ洞内に残った血液が冠動脈に灌流する.右冠動脈入口部は時にバルサルバ洞を越えて1cm ぐらい高位(遠位側)に位置することがある.臨床的に高位起始(high take off)と呼ばれ,冠動脈造影などのときに問題となる. - 超入門 血管エコー これであなたもエキスパート
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はじめての血管エコー:検査前に準備すること
6巻1号(2009);View Description Hide Description日ごろ感じている疑問点や,何から手を付ければよいのかと悩んでいる読者も多いはず.しかし,気軽に質問でき,かつ容易に回答が得られる環境にいるという方は,必ずしも多くないであろう.どこの施設でも,そしてだれでも最初はかならず初心者であるので,その時期を経験しなければならない.この連載では,初心者が上級者になる過程に遭遇するさまざまな難問に対して,どのように対処していくのかを再現していく.身に覚えのある方も,今から遭遇するであろう方もぜひ参考にしてください.そして,楽しみながらエコー技術を習得していただければと思う.ここでは日常診療の場ではありえない設定になっているかもしれないが,あればいいなという環境をイメージしながら進めていくことにするので読者の皆さんの参考になれば幸いである. - こんな時どうしてる? これでラボでの悩みすっきり解消!!
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- 日常診療に役立つ 最新!血管疾患の生理と病理
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血圧の成り立ち
6巻1号(2009);View Description Hide Descriptionあなたの血圧はいくつですか? と聞かれると,ほとんどの人は「上が140 で下が90 です」というように答えるであろう.長い間,血圧は上の収縮期血圧と下の拡張期血圧の2 つの数値で代表されてきた.しかしながら今,この2 つの値の使い方,解釈に大きな問題があることがわかってきた.ここではその内容とともに血圧の本質について述べることする. - Vascular Lab技師長日記
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- Vascular Lab流 わたしのリラックスタイム
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連載
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- 決め手の一枚
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- 初心者のためのバスキュラー・ラボ検査法講座−血管エコー職人を目指して−
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プローブ(探触子)を使い分ける
6巻1号(2009);View Description Hide Description血管エコーに日々励んでいる皆さん,こんにちは!今回は“ プローブを使い分ける” というテーマで,最適なプローブを使いスムーズな血管エコー検査を行うための方法を解説していくことにする. さて,一口に“ プローブの使い分け” と言っても単純に“ 見えやすいプローブで診る” というだけでは血管エコーのうまみは引き出せません!一つのプローブにもさまざまな特徴や機能があり,それを最大限使いこなしてこそほかのプローブの特徴も生きるというもの.また,最適なプローブ選択は“ 診断上の観察ポイントは何か” などによっても変化します.血管エコー職人は,それらを熟知しながらプローブを使い分けて検査を行っているはずである. さあ,あなたもこの連載を読んで実行すれば,どんな血管が相手でもプローブ選択に迷うことはありません!最適なプローブを最適な条件で使いこなし,スムーズに検査がこなせるようになるはず.レッツ・トライ! - モダリティーをきわめる−血管画像診断の適応と限界
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骨盤・下肢動脈(疾患編)
6巻1号(2009);View Description Hide Description超音波は,下肢動脈領域の全体像把握や病変部位の再現性を不得意とするが,今後CT 画像との融合でこれらの問題を解決できる可能性がある.動脈疾患では,閉塞・狭窄や瘤形成のみならず,解離の有無にも留意する必要がある.動脈解離はCT の3D 画像では表示困難な場合があり, 条件の適した元画像を確認する必要がある. - 血管疾患診療ガイドライン−血管疾患診療の際に知っておくべき基礎知識−
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ルリッシュ(Leriche)症候群
6巻1号(2009);View Description Hide Descriptionルリッシュ(Leriche)症候群(血栓性大動脈分岐閉塞症)の概念について述べることにする.腎動脈分岐部以下の腹部大動脈から動脈閉塞が始まり,総腸骨動脈分岐部周辺までに限局した慢性の大動脈閉塞症であり,症例によっては外腸骨動脈ないし浅大腿動脈にまで閉塞は及ぶことがある.1814 年,英国のグラスゴーの医師RobertGraham が初めてその病状を報告したと言われるが,100 年以上経て1940 年にフランス人外科医Rene Leriche(図1)は三徴を含めた病態解剖生理を報告したため,その名前が付けられようになった.近年,その病態をより明確に表す大動脈閉塞症(aortoiliac occlusive disease)の名称で呼ばれることも多い. - 血管診断の医用機器
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- CVT 認定試験情報− Clinical Vascular Technologist への道−
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