バスキュラー・ラボ
Volume 7, Issue 4, 2010
Volumes & issues:
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目次
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特集
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- 症例で見る血栓・塞栓症の最新情報!
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- Knowledge
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線溶系因子関連
7巻4号(2010);View Description Hide Description食生活の欧米化に伴い,心筋梗塞や脳梗塞などの病的血栓症の発症が増加傾向にある.平成21年度の厚生労働省発表の人口動態統計によれば,日本人の死因の第1 位は悪性新生物(がん)であるが,第2 位と第3 位はそれぞれ心疾患と脳血管疾患であり,これら2 つの疾患を合わせた死亡率は,悪性新生物の死亡率にほぼ匹敵する(図1). 脳血管疾患のなかでおもな死亡原因となる疾患は脳梗塞であり,心疾患においても急性心筋梗塞が心不全に次いで死亡率の高い疾患である.このように,血管内に血栓が形成されることによって発症する血栓性疾患は,社会的にも非常に重要視されている.この血栓性疾患の治療に,ヒトの線溶系因子が血栓溶解薬として用いられている. -
血流,血管内皮関連
7巻4号(2010);View Description Hide Description血管の恒常性を維持するには,血管壁の機能動態,血球成分(血小板の大きさと数),血流が複雑微妙に関与している.血流は直接物理的に血管内皮細胞に対して,ずり応力刺激を与える.ずり応力刺激に反応して内皮細胞はNO(一酸化窒素)を産生して,局所の抗血栓維持に寄与する.ずり応力の低い部位にはコレステロールが蓄積して,動脈硬化が起こりやすいことも広く知られている. また,血流は血球細胞の動態に影響を及ぼす.サイズの大きな赤血球が血管の中心部を流れ,血小板などが血管壁近傍を流れるのが一般的である.血小板サイズが変化すれば血管内皮細胞と血小板の相互作用も影響を受ける.血流,血球細胞,血管内皮細胞は相互に作用し合って血管機能の恒常性維持に寄与するが,そのメカニズムの詳細はいまだに未知である. - Technique
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脳・頚動脈への超音波検査の応用
7巻4号(2010);View Description Hide Description近年,人口動態の高齢化と生活様式の欧米化によって,頚動脈病変や冠動脈病変を有する患者が著しく増加している1).虚血性脳血管障害の診療では,その臨床病型や発症機序を迅速に診断し,早期再発リスクや心血管合併症を評価して,発症早期から適切な治療を行うことが重要である.この際,超音波検査はベッドサイドで簡便に施行可能な非侵襲的検査であり,迅速な診断と治療が必要な脳血管障害の診療において非常に有用である2). ここではとくに頭頚部主幹動脈を評価するための超音波検査について,自験例を織り交ぜて概説する. -
冠動脈疾患を超音波検査でどこまで診られるか?
7巻4号(2010);View Description Hide Description冠動脈疾患の超音波検査では,形態と血流速度の評価が主体となる.侵襲的な検査では,血管内超音波により直接,粥腫や血栓などを診たり,ドプラーワイヤーやプレッシャーワイヤーにより,冠動脈の血流や圧を計測する方法がある.ここでは非侵襲的に冠動脈疾患を診る超音波検査として,経胸壁心エコー法による評価方法について実際の症例を提示しながら紹介する. -
大動脈・末梢動脈疾患への超音波検査応用
7巻4号(2010);View Description Hide Description近年,超音波検査は飛躍的な技術の進歩により,局所の詳細な観察が可能になってきた.塞栓症に対しては,心臓内での塞栓源の検索であれば経食道エコーにより左房内や弁,経胸壁超音波検査で左室内血栓,弁などに付着する異常構造物の検出が行われる.血管エコーにおいても,瘤の有無や血管内血栓の有無,血管閉塞部位を正確に診断できることから,早期診断に役立つことは言うまでもない. 今回は,心臓由来の塞栓症,大動脈由来の塞栓症,カテーテル治療中の塞栓症について症例を提示する. - Treatment
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大動脈・末梢動脈疾患と血栓症
7巻4号(2010);View Description Hide Description血栓症とは,血管内で血液が凝固し血管壁に付着し,その血栓の進展により血管内腔の狭窄・閉塞を生じ,血流低下をきたすことによって臓器や組織の虚血による循環障害を生じることである.動脈血栓症は急性血栓症,慢性血栓症に分けられる.そして,その病因としては粥状硬化症,血栓性血管炎,大動脈炎症候群などが挙げられる. 急性動脈閉塞症と同様に,高齢者における下肢慢性動脈閉塞症の急性増悪は,虚血症状も強くなり治療に緊急性を有する疾患である. -
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連載
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- 検査・診断に知っておきたい 血管の局所解剖アトラス
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- 決め手の一枚
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- バスキュラーアクセスを知る・学ぶ- これで納得!シャントエコーの基本と実際
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- 超入門 血管エコー これであなたもエキスパート
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- 症例から学ぶ血管疾患
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- 脈管専門医・血管診療技師・脳神経超音波検査士認定試験対策ゼミナール Let's challenge!認定試験対策オリジナル問題
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- なぜ?からわかる放射線基礎講座 ーワンランクアップの血管診療を目指してー
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- 日常診療に役立つ 最新!血管疾患の生理と病理
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運動療法の効果とメカニズム
7巻4号(2010);View Description Hide Description末梢動脈疾患を取り巻く疾病構造は,ここ数10 年で大きく様変わりした.かつて多かったバージャー病は減少し,その代わりに動脈硬化性の閉塞症が急増し,大半を占めるようになった.飽食と運動不足により,生活習慣病のまん延が招いた結果と考えられる. 最近の国際コホート研究REACH1 〜 3)によれば,末梢動脈疾患患者は心筋梗塞や脳卒中既往患者と比較して,より高い心血管死亡率を示している,これを受けて末梢動脈疾患の診断と治療において,さらなる改善の必要性が指摘された.跛行を伴う末梢動脈疾患患者の最高酸素摂取量(peak VO2)は同一年齢健常者の約50 % と報告されており,これはニューヨーク心臓協会(New York HeartAssociation:NYHA)の心機能分類の III に相当し,この運動量の減少はさらに全身の動脈硬化進展を促進する.国際ガイドラインTASC II (TransAtlantic Inter-Society Consensus II )4)では,中等症以下の末梢動脈疾患に対して,運動療法を初期治療として強く推奨している(クラス1). 運動療法は,末梢動脈疾患の生命予後とQOL を改善する土台となる治療方法であり,本稿では末梢動脈疾患における運動の効果とその機序について整理する. - モダリティーをきわめる−血管画像診断の適応と限界
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- こんな時どうしてる? これでラボでの悩みすっきり解消!!
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- ラボ探訪Vascular Labおじゃまします!
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JR 仙台病院 血管診療センター
7巻4号(2010);View Description Hide Description1921 年開設の仙台鉄道病院を前身とする,歴史あるJR 仙台病院.同院の脈管診療は,1979 年よりスタートし,すでに30 年を超えて歩み続けている.2001 年には,血管外科外来の一室に血管検査室(バスキュラーラボ)を設けた.さらには増え続ける脈管診療への迅速な対応を目指し,2008 年,バスキュラーラボ単独の血管診療センターを立ち上げた.そこでは,若手の血管診療技師(ClinicalVascular Technologist:CVT)が検査の中心を担う.2009 年には「脳と血管ドック」も開始するなど,つねに先を見据えた脈管診療態勢づくりを仕掛ける同院院長の市来正隆先生にお話を伺った.(編集部) - 学びのひろば 小波も,いずれは大きな波動へ
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- Vascular Lab流 わたしのリラックスタイム
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- 松尾塾入門-CVT・脈管専門医の育成に向けて
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- 血管診断の医用機器
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- Vascular Lab技師長日記
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