エマージェンシー・ケア
Volume 20, Issue 1, 2007
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特集
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- これでカンペキ!気管挿管
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1 再認識 気管挿管の必須知識
20巻1号(2007);View Description Hide Description気道管理は,生命維持管理を行う上で欠かすことのできない基本的項目の一つである.気管挿管は,この気道管理において行われる最も確実でよく使われる気道確保の方法である.本稿では,気管挿管を行うに当たり必要とされる基本的知識について述べたい.「すでに知っている」と思う方も,再確認の機会としていただければ幸いである. -
2 写真で確認 気管挿管の実際
20巻1号(2007);View Description Hide Descriptionスニッフィングポジションとは,においをかぐときのような姿勢だが,気管挿管する際には,頭・頸部の位置がとても重要で,この姿勢を取るようにする.この姿勢を取ることで喉頭展開したときに声門部が見えやすくなるためである.スニッフィングポジションは少し高めの枕やタオルを用いて頭部を挙上させるとともに後屈位にして,鼻を突き出したような感じにする(図1).このことで,口腔軸・咽頭軸・喉頭軸が直線に近付き,頭部後屈位に比べ咽頭部の視野が良くなると一般的にいわれている. -
3 写真で確認 気管挿管の準備と介助のポイント
20巻1号(2007);View Description Hide Description気管挿管をスムーズに行うためには,施行者のみならず介助者が①気管挿管の目的,②気管挿管の適応,③気管挿管の合併症と禁忌,④気管挿管困難例と対処法を認識しておくことが必要である.介助を行うに当たって必要な知識について表1にまとめる.それぞれの項目についての詳細は他稿をご参照いただきたい. -
4 気管挿管中の患者ケア−合併症とその対策−
20巻1号(2007);View Description Hide Description自力呼吸が不安定または不可能な患者にとって,気管挿管は気道確保ひいては生命維持に必要不可欠な手段であり,命綱ともいえる.人工気道の使用管理法を誤ると,さまざまな合併症(表1)を引き起こし,命綱のはずが生命の危機すら招きかねない.気管挿管が行われている患者では,人工気道を上手に活用し,これらの合併症を防ぐ慎重な管理が求められる.本稿では気管挿管が行われている患者の合併症予防のために必要とされるカフ圧調整法,加温加湿法および肺炎予防策について概説したい. -
5 気管挿管中の患者ケア−看護のポイント−
20巻1号(2007);View Description Hide Description気管挿管は人工呼吸などの治療を行う際,気道確保のために必要な処置である.しかし患者にとっては発声できないことによるストレスや喀痰吸引などの苦痛は大きく,また気管チューブの圧迫による潰瘍やテープ固定に伴う表皮餝離などの合併症も起こりやすい.臨床現場において最も患者の近くにいる看護師は,病態のみならず気管挿管に伴う合併症について理解し,患者の安全・安楽を確保するよう努める必要がある.当センターでも気管挿管中に先述のような合併症が発生することが多く,さまざまな工夫を行っている.本稿では,それらのケアの一部を紹介する. -
6 気管挿管が難しい患者とその対応
20巻1号(2007);View Description Hide Description気管挿管が難しい患者は声門から口側に問題があることが多い.声門下の気管に問題がある場合もあるが,本稿では前者について中心に述べる. -
COLUMN 救急救命士と気管挿管
20巻1号(2007);View Description Hide Description救急救命士は,1991 年に制度が創設され今年で早くも15 年が過ぎようとしています.この間,救急救命士の処置範囲拡大に関する国レベルでの検討はいくつかありましたが,なかなか前へ進まなかったのが実情です.それが10 年目の節目に当たる2001 年3 月に消防庁から示された「救急業務高度化推進委員会」報告書により,救急業務の高度化への本格的な動きが始まることとなり,その後,総務省消防庁と厚生労働省が合同で立ち上げた「救急救命士の業務のあり方等に関する検討会」を踏まえ,2002年12月および2003年12月の報告書に基づき,病院前救護体制の充実に向けて救急救命士の処置範囲の拡大と業務の高度化を図ることとなり現在に至っています.このような経緯で,気管挿管は「2004年7月を目途に必要な講習および実習(30 例以上の成功症例)を修了するなどの諸条件を満たした者に認めるべき」とされ,2004年7月1日より救急救命士による気管挿管の救急救命処置が可能となりました.
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新連載
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- 救急医療の横顔 〜For Emergency Members
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NPO法人救急ヘリ病院ネットワーク國松孝次
20巻1号(2007);View Description Hide Description1995年,日本中を震撼させた警察庁長官狙撃事件から12 年.重傷を負いながらも奇跡的に一命を取り留めた國松氏は現在,NPO法人救急ヘリ病院ネットワークの理事長として,一つでも多くの命を救うために救急ヘリコプターの普及を目指して日々奔走している.多様な経験を経て今,氏が救急ヘリに託す思いとは——. - 誌上で検証 プレホスピタルでの患者のみかた
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病院前での患者の見方
20巻1号(2007);View Description Hide Description各地域でメディカルコントロール体制が整備され,オフラインメディカルコントロールとしての活動記録票を基にした救急活動の事後検証も盛んに行われています.救急活動においては,適切な観察・判断なくして適切な処置・搬送はあり得ません.本連載では,適切な観察・判断を行うために必要な知識,考え方を実際の事例を通じて皆さんと一緒に勉強していきたいと思います. - Q&Aで学ぶ 救急現場の精神症状
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せん妄の場合
20巻1号(2007);View Description Hide Description「精神科医が救命救急センターで働いている」と聞いて,「えっ! 何のために?」と思う方もいるかもしれません.当院では,2001年から精神科医が救命救急センターに常駐しています.所属も精神科から移動して救命救急センターのスタッフの一員として勤務し,せん妄,抑うつ,不安症状や自殺未遂,薬物乱用の患者さんの対応などを看護スタッフとともに行っています.本連載では,私たちの経験を元に救急医療現場で遭遇することの多い精神症状について述べていきます.誌面の都合上,十分にお伝えすることは難しいかもしれませんが,日々奮闘されている救急医療スタッフの方々のお役に立てればと思います.
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連載
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- Re-Birth
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ハンデを超えて
20巻1号(2007);View Description Hide Descriptionパキスタン大地震から1 年後,カシミール地方ムザファラバード郊外の村を訪ね,アクタル・ジャンさん(39)と出会った.彼女の15歳の娘さんは,震災発生から3時間半ほど鉄筋コンクリートの下敷きとなり大けがを負ったという. - シーン別 救急現場のホントにOK?Returns
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頭部打撲
20巻1号(2007);View Description Hide Description初療段階ではすべての外傷患者に脊椎脊髄損傷があるものとして取り扱います.脊髄損傷は単純X線写真のみでは診断し難く,受傷機転や症状,身体所見が重要となります.本例では頭を強く打ち,上肢(右肩)の痛みがあります.上肢の痛みは本当に打撲のせいなのでしょうか?高齢者で前額部を強く打った場合は特に要注意! 脊椎管狭窄症が元々ある場合などは頸部の過伸展で比較的高率に,脊髄中心部での出血性挫傷,機械的損傷,二次的虚血などが引き起こされることがあります.本例では,脊髄損傷が見つかりました(写真1). - From ExpertNurse 救急看護認定看護師からのメッセージ
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救急看護認定看護師としての5年間と今後の課題
20巻1号(2007);View Description Hide Description救急看護認定看護師として,はや5年が過ぎようとしている.当院では2001年に救命救急センターが開設された.当時,救急看護経験7年目であった私は2つの悩みを抱えていた. - 家族
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「もしも自分の大切な人だったら」と考えて
20巻1号(2007);View Description Hide DescriptionAさんは救命救急センターの処置室に案内されるなり叫んだ.「一体何なんですか! 何をしているんですか!」患者はB氏,82歳.心肺停止状態で救急搬送され,40分間心肺蘇生が行われていた.B氏は認知症の妻と二人暮らしで,夕方になっても電気のつかない家を近所の人が心配して訪問したところ,倒れているB氏を見つけ救急車を要請した.近所に住む孫のAさんにも連絡がいき,Aさんが急遽来院しての第一声だった. - めざせ! 救急看護認定看護師 EMERGENCY QUIZ
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- 一目でわかる! 救急患者のプロトコル
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心臓喘息(左心不全に伴う発作性呼吸困難)
20巻1号(2007);View Description Hide Description藤井さん,75歳女性.気管支喘息の既往あり.何年も喘息発作はない.高血圧を指摘され,内服していたが勝手に中止していた.5日ほど前から咳嗽あり,痰がからんで苦しくなったりするような症状があったが,受診はしていなかった.23:00ごろ,飲酒し,就寝しようとしたところ,突然,呼吸困難が出現したため来院. - Emergency Case
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急性期医療における危機的状況下の家族に対する看護〜危機理論を活用した看護過程から分析した事例〜
20巻1号(2007);View Description Hide Description最も身近にいる家族が突然生命の危機に直面したとき,誰もがショックを受け,耐え難い脅威やストレスに陥る.山勢1)は,「危機は好機をもたらす転換期ととらえることによって,成長を促進させる可能性がある」とし,危機介入の方法を危機理論(主にAguileraとMessickの問題解決型危機モデル)を活用し看護過程に沿った方法で展開することを提唱している.しかしながら,患者の生命や身体的状態が家族の危機的状況に直結する急性期の医療現場では,家族の危機的状況を多角的に情報収集することは難しく,適切なタイミングで家族の成長を促すような効果的な看護介入が実践しにくい.そのため,当センターでは「どのように看護介入すれば家族の対処機能が有効に働くか」を課題に,毎月数例の事例検討に取り組んでいる.今回,息子が心肺停止状態で当センターに搬入された母親へ看護援助を行ったが,母親の表出した危機的な行動に対し適切な看護介入が行われず課題を残した.そこで,看護スタッフが判断に苦慮した主な看護場面を抽出し,山勢2)の看護過程に沿った危機介入において㈰情報収集,㈪アセスメント,㈫原因探求,㈬問題の明確化までを分析し,今後直面する危機的状況下の家族に対し即時的な危機介入が実践できることを目的とした. - EMERGENCY TOPIC
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救急隊員の重症度評価
20巻1号(2007);View Description Hide Description質の高い救急医療を提供するためには,病院前救護の質の維持と向上が欠かせない.病院前救護を担う救急隊員には,救急傷病に適切に対応するための知識と技術が要求される.救急傷病への適切な対応には適切な重症度評価が含まれる.救急隊員の行う重症度評価に関する科学的検討は,病院前救護の質の維持と向上に必須の条件である.わが国の救急医療体制や救急医学はその歴史的背景や役割がほかの先進諸国とは異なるため,わが国独自の検討が必須である.しかし,その科学的検討は現在のところあまりに不足している.本稿では,救急隊員の重症度評価に関して考察を行う.救急患者に対する重症度評価は救急看護師にも求められる役割であるので,北米型の救急医療体制におけるトリアージに関しても付記したい.
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大阪府済生会千里病院千里救命救急センター
20巻1号(2007);View Description Hide Description「これまでは三次の救急患者様を主に診ていましたが,これからは初期〜三次のすべての患者様を受け入れるようになったため,現場が落ち着くにはもう少しかかると思います.各部署のスタッフへの教育やスタッフが少しでも働きやすくなるような体制作りをどのように行うか,まだ試行錯誤の段階でもあります」とは前身の大阪府立千里救命救急センター時代は総看護師長であり,2006年4月に大阪府済生会千里病院千里救命救急センターとなってからは副看護部長となった寺師榮さん.
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