エマージェンシー・ケア
Volume 20, Issue 5, 2007
Volumes & issues:
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特集
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- スキルアップ! 呼吸・循環管理に必要なカテーテル&ドレーン管理
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1 救急・集中治療現場で使用されるカテーテルの基本
20巻5号(2007);View Description Hide Description初療での輸液の第一選択は末梢静脈路だが,末梢静脈路の確保が困難な場合は中心静脈カテーテルを挿入することもある.また,集中治療の場面では長期的な輸液管理,十分な栄養(カロリー)の投与,浸透圧の高い輸液製剤投与のため,中心静脈カテーテルの留置が多く行われている.中心静脈カテーテルのほかによく使用されるカテーテルはスワン・ガンツカテーテルであり,循環動態の不安定な時期に心機能の評価の指標として留置される.本稿では中心静脈カテーテルとスワン・ガンツカテーテルの使用目的,基本構造,挿入方法,挿入時・挿入中・抜去時・抜去後の観察とケアのポイントについて述べる. -
2 救急・集中治療現場で使用されるドレーンの基本
20巻5号(2007);View Description Hide Description救急・集中治療領域の看護においてドレーンを管理することは重要であり,不適切なドレーンの管理方法は,患者の生命を脅かす可能性がある.そのため看護師は,多種多様なドレーンについての専門的知識と的確な技術を要求される.本稿では救急・集中治療領域で治療上,使用される頻度が高い頭蓋内ドレーン(脳室/脳槽ドレーン)と胸腔ドレーンを管理する際に必要な基本的知識について述べる. -
3 これでスキルアップ!事例から学ぶカテーテルの安全管理
20巻5号(2007);View Description Hide Description救急現場では,状態を的確に判断し治療のため多数のルート・カテーテルが迅速に挿入される.安全に患者を看護するためには,そのルート・カテーテルの挿入目的や位置,構造をきちんと理解しておくことが重要である.さらに,患者の状況から起こり得るトラブルを予測しトラブルを未然に防止していくこと,不幸にもトラブルが発生してしまった場合には速やかに適切な対処が求められる.ここでは,ルート・カテーテルのトラブルの事例を提示し,安全なルート管理のポイントについて述べる. -
4 これでスキルアップ!事例から学ぶドレーンの安全管理
20巻5号(2007);View Description Hide Descriptionドレナージとは,体内に貯留した血液や滲出液,空気などを体外へ排出させることであり,治療において重要な役割を持っている.しかし,ドレーントラブルが起き,その対応が遅れると患者の容態を悪化させたり,生命の危機に陥る可能性もある.看護師が安全にドレーンを管理するためには,ドレーンの部位や病態,目的を理解し,観察することが重要であり,事故防止対策を考えてケアを行う必要がある.今回,事例を挙げて事故発生時の原因や対応,安全管理について解説する. -
5 徹底解説 カテーテル&ドレーンの感染対策
20巻5号(2007);View Description Hide Description救急・集中治療領域における各種カテーテルやドレーンなどは,診断,治療を行う上で必要不可欠である.しかし,患者の命を救うために必要なカテーテルやドレーンも,適切に取り扱わなければ感染を起こし,その感染症が患者の命を奪う結果になり得る.私たち医療従事者は,自分の操作によって感染を起こしてはならないことを十分認識していても,実際の行動が伴わないことがある.特に救急領域は,緊急性が高いことから迅速な処置が優先され,清潔操作が破綻しやすいという背景がある.しかし,果たして本当に清潔操作が破綻しても“仕方がない”と言える状況はどれくらいあるのだろうか.救急搬入されてくる患者のほとんどが,清潔操作が破綻する状況に置かれるような救急医療機関はそれほど多くないであろう.重篤な患者であっても,清潔操作などの感染予防を適切に行いつつ救命するという目的を果たすケースと,清潔操作が多少破綻してでも,救命処置を最優先しなければ救命できないというケースがある.救急医療のエキスパートとしてそれを見極め,緊急性を判断することは実践可能であると考える. -
COLUMN 患者指導と精神面へのケア〜不安な所に看護の手が届く!〜
20巻5号(2007);View Description Hide Description「あ〜かゆい!」と背中を靨く.手が届かないところがかゆいときに,誰かが靨いてくれる,そのときの爽快感は,誰しも一度は味わったことがあるだろう.救急入院する患者は,突然の事故・慢性疾患の急性増悪による環境への不適応やサーカディアンリズム(日内リズム)の急激な変化から精神状態に悪影響を及ぼしやすい.また,ドレーンやカテーテルは患者の回復を助ける命綱でもあるが,時にその“命綱”自体が患者のストレス因子となる.従って,その安全管理は救急・集中治療領域の看護に不可欠なものといえる.つまり,救急・集中治療領域の看護師は「手が届かないところがかゆいときに誰かが靨いてくれる」その“誰か”になるということだ.
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連載
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- 救急医療の横顔 〜For Emergency Members
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救急医療への恩返しを——JR福知山線脱線事故からの生還 吉田恭一
20巻5号(2007);View Description Hide Description2005年4月25日に起こったJR福知山線脱線事故.負傷者500名以上,死者107名という大惨事となった今回の事故で,線路脇のマンション1階部分に衝突し,大破した一両目の車両に乗りながらも奇跡的に救出された吉田恭一さん.奇しくもそれは,日本でのがれきの下の医療( C o n f i n e dSpace Medicine;CSM)による最初の救助者になった瞬間でもあった.吉田さんに当時の状況などについて語っていただいた. - Re-Birth
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微笑ましい宴卓
20巻5号(2007);View Description Hide Descriptionパキスタン滞在中,中級ホテルのレストランにて,パキスタン地震の支援関係者のパキスタン人と日本人のメンバー数名にて会食する機会があった.運転手でパキスタン人のMさん(30歳)も居合わせたので,日ごろの感謝を込めて彼にも同席してもらった. - シーン別 救急現場のホントにOK?Returns
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意識消失
20巻5号(2007);View Description Hide Description75歳,男性.自宅で意識を失った,ということで救急搬送されました.搬入時,意識レベルJCS100.血圧79/43mmHg,心拍数74 回/min,酸素飽和度75%.呼吸は浅く,ややイビキ様,10回/min.末梢静脈路確保の後,意識障害の鑑別のためCTへ行こうとしているところです.さてこの場面,ホントにOK? - From ExpertNurse 救急看護認定看護師からのメッセージ
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学ぶ姿勢を忘れずに
20巻5号(2007);View Description Hide Description救急関連の病棟で働いて5年が経過しようとしたころ,看護の難しさや自分の知識のなさを感じ,“日々行っている看護には根拠があるのだろうか”という不安や疑問を持つようになりました.そして,救急看護についてもっと学びたいという気持ちから認定看護師を目指しました. - 家族
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心理的危機状態にある家族に変化が……きっかけは
20巻5号(2007);View Description Hide Description当救命救急センターには,突然の発病や事故による患者が毎日搬送されてきます.緊急入院する患者の多くは生命の危機状態にあり,同時に家族も脅威の出来事として混乱し心理的に危機状態となる場面があります.その中で,私たち看護師には患者・家族の一番そばにいる者として,患者への援助とともに家族へのアプローチが重要となります.今回,突然の事故で家族の中心的存在である父親(A氏)が入院したことで心理的な混乱を示した家族の思いに対して介入し,家族自らが変化していったケースについて記したいと思います. - Q&Aで学ぶ 救急現場の精神症状
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アルコール乱用(物質乱用)に関連した精神症状の場
20巻5号(2007);View Description Hide Description“物質(薬物)乱用”と聞いて,皆さんは何を想像されるでしょうか? 覚せい剤や大麻,睡眠導入剤や安定剤などの薬物を想像される方もいるでしょうし,大量服薬や自殺企図,または不穏状態などの精神症状を想像される方もいるでしょう.そもそも,“○○乱用”とは,本来どのような意味を持った言葉でしょうか? 医療現場でさえ,“急性○○中毒”,“慢性○○中毒”,“○○依存”などと混同されて用いられている印象があります.一方,乱用の結果として生じる精神症状にはどのようなものがあるでしょうか? 当救命救急センターではあまり急性アルコール中毒の患者さんは見掛けませんが,二次救急施設では卒業式や入学式の時期,花見の季節などに急性アルコール中毒により酩酊した患者さんが搬入されることもあるでしょう.そのため急性アルコール中毒はよく知られていると思います.しかし,注意深く観察すれば救急施設ではアルコールを中断したことで生じる離脱症状や,長期に摂取したことで生じるコルサコフ症候群などの精神症状も見掛けます.そこで今回は,分かっていそうで分かっていないアルコール乱用に関連した精神症状について述べていきます. - 一目でわかる! 救急患者のプロトコル
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アナフィラキシー
20巻5号(2007);View Description Hide Description沢井さん,18歳女性.喘息の既往あり.夕飯後しばらくテレビを見ているうちに鼻炎様症状が出現したが,風邪だろうと思い,そのまま様子を見ていた.しかし,徐々に息苦しさが出現し,母親より電話があった. - めざせ! 救急看護認定看護師 EMERGENCY QUIZ
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- 誌上で検証 プレホスピタルでの患者のみかた
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「脳卒中です」(2)
20巻5号(2007);View Description Hide Description通報内容:68歳の男性.右手足の麻痺があり動けない.既往歴:糖尿病,高血圧で3年前より内服治療中.現病歴:前夜,友人と深夜まで飲酒し夕食を摂取せず就寝した.7時30分ごろ,一人でトイレに行ったのを家族が目撃している.8時20分ごろ部屋で「オーオー」と声がするので,様子を見に行くとソファーに倒れこんでいた.家族の呼び掛けに声を出すが言葉にならず,右手足に力が入らず自力では動けなかった.家族がソファーに寝かせ,救急車を要請した.現場到着時の状況:自宅のソファーに仰臥していた. - Emergency Case
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外傷によりフレイルチェストを来したCOPD患者への看護介入 —抜管でき,再挿管を予防できた一症例—
20巻5号(2007);View Description Hide Description多発肋骨骨折に伴ってフレイルチェストが起こると,呼吸とともに胸郭が奇異性に動き,低換気を来す.また,緊張性気胸や血胸などを伴うことも多く,迅速に診断し,適切な治療を行なわなければ致命的となる.今回,既往に慢性閉塞性肺疾患(COPD)を持ち,交通外傷によりフレイルチェストを発症した症例を経験した.呼吸器からの離脱困難を予測して積極的除痛を図り非挿管下での呼吸管理を行ったが,CO2ナルコーシスとなり,内固定法(internal pneumatic stabilization)による人工呼吸管理が導入された.しかし早期から栄養管理を行い呼吸筋力の保持に努め,積極的に呼吸理学療法を取り入れた結果,人工呼吸器を離脱し再挿管を予防できた症例を報告する.