Volume 20,
Issue 11,
2007
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特集
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徹底解説! JNTEC TM
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エマージェンシー・ケア 20巻11号, 1077-1077 (2007);
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エマージェンシー・ケア 20巻11号, 1078-1081 (2007);
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外傷患者の重症度を決定するための基準としてInjury Severity Score(ISS)がある.これを元に外傷のアウトカムを評価する基準として,Trauma and Injury Severity Score(TRISS)があり,解剖学的重症度,生理学的重症度,年齢,および外傷の重傷度から予測救命率(Probability of survival; Ps)を計算できる.Psが0.5 以上,つまり,50%以上にもかかわらず死亡した例を防ぎ得た外傷死(PreventableTrauma Death;PTD〈予測外死亡症例〉)といい,外傷患者に適切な医療処置が施されたかどうかの指標とされている.このTRISS法は,欧米を含む諸外国においても外傷医療の評価基準として採用されているが,欧米では1960年代後半でPTDが25.6%〜51.5%であるとの報告がなされ,社会的な問題となった.その後,外傷初期診療システムの整備や外傷診療教育が急速に発展し,1980 年後半には欧米におけるPTD は,0.9〜20.7%と大幅な改善に成功している.
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エマージェンシー・ケア 20巻11号, 1082-1087 (2007);
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日本における看護師の外傷患者への対応については,看護師養成学校(専門学校・短期大学・大学を含む)での教育に「外傷看護学」という特化した科目はなく,成人看護学で少し触れる程度である.しかしながら卒後の臨床では,急性期・慢性期にかかわらず,外科系医療現場に従事する看護師は外傷患者(乳児〜高齢者)に遭遇し,看護を行う機会は多い.
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エマージェンシー・ケア 20巻11号, 1089-1095 (2007);
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「防ぎ得る外傷死」を回避するために看護師が寄与する看護実践の一つに「受け入れ準備」がある.「受け入れ準備」とは,ただ単に治療・処置に必要な物品を準備するだけでなく,搬送されてくる患者の病態や,行われる治療や処置の予測といったアセスメントに基づく物品と人員の準備・調整を含んでいる.人的・物的資源を最大限に活用できるように準備を整えることによって,初期診療を迅速かつ円滑に進めることが可能となる.準備不足は,時として一刻を争うような緊急処置に悪影響を及ぼし,患者の生命を左右する事態を招く.また医療スタッフの焦りや緊張を増大させる.従って,外傷患者にかかわる看護師は外傷初期病態,治療・処置,診療の流れに精通し,受け入れ準備を行うことが求められる.本稿では外傷初期看護ガイドライン(JNTECTM)にのっとり,迅速かつ万全な受け入れ準備を行うために知っておくべき基本的知識およびアセスメントとスキルについて解説する.
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エマージェンシー・ケア 20巻11号, 1097-1101 (2007);
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外傷死亡は病院前での死亡群(第1ピーク),呼吸や出血が原因で2 〜 3 時間後に死亡する群(第2ピーク),多臓器不全などが原因で数日〜2,3 週間で死亡する群(第3 ピーク)がある.外傷初期診療の目標は第2ピークの死亡を防ぐことにある.呼吸が維持されていないことが原因で,初療室で患者が死亡する可能性があり,気道確保と呼吸管理は最優先に行われなければならない.看護師も外傷患者の救命のために,気道と呼吸の評価,診療の介助および気道確保の技術を習得し実践する必要がある.本稿では,JNTECTM における気道と呼吸管理のスキルステーションでの指導内容について紹介する.
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エマージェンシー・ケア 20巻11号, 1102-1105 (2007);
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外傷患者の循環障害は生命危機に至る一つの要因であるため,循環の異常を早期に察知することと,循環回復,“蘇生”に必要な処置に対応することは看護師の重要な役割である.JNTECTM における循環管理では,①外傷患者の循環障害の背景,②循環異常をとらえるための観察視点,③循環障害の原因検索はどのように進められるか,④循環回復の初期対応・処置を理解することを座学で習得し,実技ではシナリオを通してさらに循環管理の理解を深める学習内容になっている.
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エマージェンシー・ケア 20巻11号, 1106-1111 (2007);
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JNTECTMにおける「GCS/切迫するD」では,表1のようなタイムスケジュールで講義・演習が行われる.
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エマージェンシー・ケア 20巻11号, 1112-1117 (2007);
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外傷患者の初期治療においては,すべての患者に脊椎・脊髄損傷の可能性を常に念頭に置きながら対応しなくてはならない.これらの損傷は,患者の生命や予後に大きく影響を及ぼすにもかかわらず,その損傷の多くは,移動時に発生している可能性が高いことが指摘されている.現在,プレホスピタルの段階から,高エネルギー事故の傷病者に対しては頸椎を保護して搬送されるようになった.病院内での外傷診療においても,頸椎の安静と保護は強調され,客観的評価を行うまで慎重に対応されるようになっている.そこで,看護師もこの点に留意して看護を実践することが重要である.ここでは,主に病院に到着後病院内での,移動と体位管理について学び,全脊柱固定で搬送されてきた患者の固定を除去し外傷診療を進めるために,必要なスキルを身に付けることを目標としている.
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エマージェンシー・ケア 20巻11号, 1118-1121 (2007);
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外傷患者の家族は,突然のアクシデントによって救急処置や緊急入院を余儀なくされた身内の危機的状況を目の当たりにし,心理的な動揺が激しく,精神的に不安定な状態になる.その上本人だけでなく,ほかの事故当事者(加害者や仕事場の責任者など)や警察など第3者の介入がある.
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エマージェンシー・ケア 20巻11号, 1122-1125 (2007);
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今までの看護教育の中で,「外傷看護」というカテゴリーがはっきりと存在しなかったことから,このJNTECTM という外傷を専門的に学習するコースの出発は看護界にとって新たなジャンルをもたらすものになり得る可能性を持っている.JNTECTMは,“けが人の手当て”という,古くから行われていることを,今改めて医療の標準化の時代に合わせて再構築していくことの必要性を示していくものである.始まったばかりの外傷看護コースは,「防ぎ得た外傷死」回避のステップを踏みながら,外傷患者看護の質の向上へと導いていくための第一歩である.今後の展開とJNTECTM の可能性も交え,これからのJNTECTM について述べていきたい.
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連載
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救急医療の横顔 〜For Emergency Members
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エマージェンシー・ケア 20巻11号, 1061-1061 (2007);
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2005年に設立されたNGO「日本国際救急救助技術支援会」(Japan InternationalParamedical Rescue TechnicalCooperation Corps;JPR).救急救助技術が十分に普及していない国や地域への指導を主な活動目的としたこのNGOは,救急救助のプロにより設立された日本で初めてのNGOである.今回は,JPR会長の正井潔氏にお話を伺った.
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Re-Birth
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エマージェンシー・ケア 20巻11号, 1064-1064 (2007);
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旭川のビジネスホテルに滞在していたとき,思わぬ光景に出くわした.
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Check out 危険な心電図 緊急度を予測してこう動く!
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エマージェンシー・ケア 20巻11号, 1065-1068 (2007);
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From ExpertNurse 救急看護認定看護師からのメッセージ
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エマージェンシー・ケア 20巻11号, 1069-1069 (2007);
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私が認定看護師を目指したのは,自分の病院で行っている看護が本当に患者のニーズに合っているのか疑問に思ったことがきっかけです.当救命救急センターが開設されて4年目のことでした.必死で行ってきたセンターの基盤作りも少し落ち着き,患者にとって良いケア,質の高いケアとは何かを模索していたときに認定看護師の資格が目に入りました.認定看護師になるにはどのようにすればよいかなどあまり理解しないまま,未知の状態で研修学校へ入学しました.
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家族
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エマージェンシー・ケア 20巻11号, 1074-1076 (2007);
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私は現在,集中治療室に勤務しています.救急や急変場面では,患者・家族が医師から状態や治療方針について説明を受け,治療継続の有無について選択を委ねられる場面が数多くあります.またその選択は,その場で決定しなければならない緊急の場合がほとんどです.そのような状況に遭遇したときに,私はいつも何の力にもなれない自分に,看護師としてどのようなかかわりをしていけばよいのだろうと,ジレンマや鐚藤で頭を悩ませてしまいます.今回,自分で意思決定のできない患者さんのご家族が,代理で決定した判断に対し思い悩んでいた場面にかかわる機会を持ちました.そのケースについて記したいと思います
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誌上で検証 プレホスピタルでの患者のみかた
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エマージェンシー・ケア 20巻11号, 1126-1132 (2007);
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標準感染予防策(スタンダードプリコーション)をとり,気道管理・外傷・脊柱固定セットを携行して現場に到着した.まずは現場の安全を確認.傷病者は1名で,意識清明,会話可能であり,両手足の麻痺と呼吸困難,嘔気を訴えていた.頭部を用手固定,呼吸がやや弱く,酸素10L投与.皮膚は温かく,橈骨動脈は触知したが,脈は遅く弱かった.外出血はなし.呼吸不全とショックでロード・アンド・ゴーの適応と判断したが,二次・三次医療施設までの距離が遠く,ドクターヘリを要請した.
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Emergency Case
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エマージェンシー・ケア 20巻11号, 1145-1150 (2007);
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今回,肛門周囲から臀部にかけての広範囲な壊死性筋膜炎により,創部の保清管理が必要な患者の看護を経験した.壊死性筋膜炎患者の創管理の最も重要な目的は感染拡大防止であり,そのためには排便のコントロール,創部の保清が重要である.特に肛門周囲に創部がある場合は便汚染の防止に苦渋する.排便は人間の重要な生理機能の一つであり,栄養管理上も重要な意味を持っているが,排便コントロールに配慮しなければ,患者に便秘の苦痛,創感染による治癒遅延などの悪影響を与えることとなる.本事例では,創の感染拡大防止目的でフレキシシールRを使用した排便管理を行った.また入院早期より院内のNST チームとの連帯で便の性状コントロール,栄養管理を行い,創部の保清管理を行った結果,創部は徐々に縮小傾向となり,転院を迎えることができた.そのかかわりと創管理の看護を振り返り,考察を加えてここに報告する.
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めざせ! 救急看護認定看護師 EMERGENCY QUIZ
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エマージェンシー・ケア 20巻11号, 1152-1158 (2007);
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Q&Aで学ぶ 救急現場の精神症状
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エマージェンシー・ケア 20巻11号, 1159-1163 (2007);
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「先生,暴れています.急いで来てください」.他科から精神科医が呼ばれるとき,こんな呼ばれ方が多いのではないでしょうか.誰が,どこで,どのような状態で,一体なぜ暴れているのかほとんど情報がないまま飛んで行けば,患者さんのご家族が何らかの理由で主治医にくってかかっていたりします.この場合「暴力を振るわれたら警察へ,暴力ざたになりそうだったら警備室へ,そうでなければ医療安全部に連絡してください」とアドバイスをします.嘘のようで本当の話,総合病院の精神科医ならば似たような経験があるはずです.「暴れる」理由はさまざまですが,その行動が予測できる範囲を超えたとき,「得体の知れないもの」と認識され,反射的に精神科に相談してしまう——「得体の知れない行動」=「精神科に相談」——といった行動様式が無意識に展開されているのではないかと想像します.その底流には,「精神科」と「身体科」といった名称を付けて無意識にも意識的にも分けられてきた近代医療の歴史がありますが,本来精神症状はすべての人間に起こり得る,同じ医学の中で語られるべき症状なのです.今回は,「暴れる人」を見たときに精神科の専門医療を必要と判断するポイントと,精神科医に伝えてほしい点について説明したいと思います.