エマージェンシー・ケア
Volume 21, Issue 5, 2008
Volumes & issues:
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特集
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- バイタルサインの取り方 見方 使い方
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(1)バイタルサインの取り方 見方 意識
21巻5号(2008);View Description Hide Description救急において意識レベルは緊急度・重症度を判断する上で重要な情報であり,ほかのバイタルサインと関連付けながら観察していく必要がある.意識は人間の精神活動の基本であり,脳の広い範囲が正常に機能していて保たれる.その評価は量と質で行い,量は覚醒度,質は集中力や注意力,意識の内容として評価する.また,それらは客観的な評価とともに経時的観察が重要である. -
(2)バイタルサインの取り方 見方 呼吸
21巻5号(2008);View Description Hide Description呼吸は生命維持において重要な機能であり,患者の呼吸状態の悪化が生命危機につながる場合が多い.そのため,患者の最も近くにいる看護師は,患者の呼吸状態を正確に把握する必要がある.モニターや検査結果の数値として表されるデータ以外に,実際に「見て・聞いて・触れて」得た情報も重要である.ここでは,患者の呼吸状態に関する観察ポイントと,それらの情報のアセスメントについて説明する. -
(3)バイタルサインの取り方 見方 脈拍
21巻5号(2008);View Description Hide Description脈拍とは,心臓が収縮したときに大動脈に送り出された血液が,末梢に向かって流れていく際に体表面近くの動脈で拍動として触れるものをいう.通常,心臓は生命を維持するために,1分間に60〜100回拍動して血液を全身に送り出している. -
(4)バイタルサインの取り方 見方 血圧
21巻5号(2008);View Description Hide Description血圧とは,血液が動脈を流れる際に動脈壁にかかる圧を数字で表したもので,心拍出量と末梢血管抵抗を掛け合わせた値である.血圧は心臓のポンプ機能や循環血液量,心拍数,末梢血管抵抗に左右されることから,救急領域では患者の病態把握や経過を見ていく上で基本的かつ重要な指標となる.本稿では,一般的な血圧の「取り方」と「見方」についてそのポイントを述べる. -
(5)バイタルサインの取り方 見方 体温
21巻5号(2008);View Description Hide Description体温とは身体内部の温度を指し,一般的には心臓から大動脈中を流れる血液の温度が最も正確な体温といわれている.しかし,この部分を測定することは容易ではないため,代わりに身体内部の温度を反映する体腔温として口腔内,直腸内,筋肉や皮膚で閉鎖腔を作り腋窩で測定している.体温は呼吸,脈拍,血圧とともに体内の異常を反映し,患者の状態を示すことから,各家庭で体温測定をして体調の変化を予測していくように,臨床の現場においても病態の評価・予測に有用である.頭痛は,ごくありふれた症状であり,多くの人が経験している症状である.頭痛症状の表現は「重い感じがする」「ズキズキする」「締め付けられるように痛い」などさまざまである.患者から訴えを聞いたらまず患者の表情を観察し,表情から切迫した状況かどうかを感じ取り,その後バイタルサインを測る.頭痛を訴える患者のほとんどはバイタルサインに変化を来していることはないが,逆に言うとバイタルサインに何らかの異常があれば危険な兆候かもしれないと注意深く観察していく必要がある.頭痛の中には生命に危険が及ぶ重篤な疾患もあり「危険な頭痛」の鑑別が重要になる.危険な頭痛の兆候をバイタルサインや患者の症状から見極め, いかに病態の悪化や合併症を防ぐかがポイントとなる. -
(6)症状別バイタルサインはこう読んでこう使う 頭痛
21巻5号(2008);View Description Hide Description頭痛は,ごくありふれた症状であり,多くの人が経験している症状である.頭痛症状の表現は「重い感じがする」「ズキズキする」「締め付けられるように痛い」などさまざまである.患者から訴えを聞いたらまず患者の表情を観察し,表情から切迫した状況かどうかを感じ取り,その後バイタルサインを測る.頭痛を訴える患者のほとんどはバイタルサインに変化を来していることはないが,逆に言うとバイタルサインに何らかの異常があれば危険な兆候かもしれないと注意深く観察していく必要がある.頭痛の中には生命に危険が及ぶ重篤な疾患もあり「危険な頭痛」の鑑別が重要になる.危険な頭痛の兆候をバイタルサインや患者の症状から見極め, いかに病態の悪化や合併症を防ぐかがポイントとなる. -
(7)症状別バイタルサインはこう読んでこう使う 腹痛
21巻5号(2008);View Description Hide Description腹痛を呈する疾患には腹部臓器に関するものから胸部疾患まで含まれ,その診断の遅延は致死的となる場合も少なくなく,その鑑別診断は重要である.本稿では,腹痛患者の診察においてバイタルサインをいかに生かすかについて解説する. -
(8)症状別バイタルサインはこう読んでこう使う 呼吸困難
21巻5号(2008);View Description Hide Description肺(肺胞)は酸素を取り込んで,代わりに二酸化炭素を体外に出す.このシステムは呼吸と呼ばれているが,この呼吸システムが破綻することを呼吸困難という.
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連載
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- E Word
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「おとうちゃんの命の恩人なんや」
21巻5号(2008);View Description Hide Description「おとうちゃん,この人たちがおとうちゃんの命の恩人なんや,止まってたあんたの心臓を動かしてくれて元気にしてくれたんやで」.それを聞くおとうちゃんはキョトンとしてあまり実感のわかない顔で突っ立っています.奥さんが私の手を握り締めて「先生,ほんまにお世話になったなあ」と涙を浮かべています.病院の玄関から出て行きながら振り返り振り返りお辞儀をして帰る奥さん,無理やりお辞儀をさせられているご本人.救急医になって本当によかったなあと感じる瞬間です. - スペシャリストに聞く! 救急現場のME機器
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人工呼吸器(後編)
21巻5号(2008);View Description Hide Description人工呼吸器に苦手意識を持つ看護スタッフは比較的多く見受けられます.各設定と作動状況について,どこを見れば呼吸と安全が維持されているのか,アラームはどんな場合に発するのかなど,克服すべき項目の多さとその理解に苦労されている方も多いのではないでしょうか.人工呼吸器を安全に使用し,監視や管理をすることは確かに簡単なことではありませんが,使用に当たっては重要なことです.今月号では,先月に引き続き人工呼吸器について,安全管理と環境整備のポイントを説明します.ぜひ身近なスペシャリストにも指導してもらってください. - Check out 危険な心電図 緊急度を予測してこう動く!
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脈がときどき飛ぶ
21巻5号(2008);View Description Hide Description61歳の男性です.狭心症の検査目的で入院していました.脈を取ると,ときどき脈が飛ぶので心電図モニターを装着したところ,このような心電図でした.特に自覚症状はありません. - From ExpertNurse 救急看護認定看護師からのメッセージ
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「考え行動できる看護の実践」を目指して
21巻5号(2008);View Description Hide Description救急看護認定看護師の資格を取得して5年目となり,今年は更新の年となりました.研修学校の6カ月間とこの5年を振り返って思うことは,研修を受けるまでの私に足りなかったものは「考え行動する看護」だったということです.看護専門学校を卒業してすぐ救命救急センターに配属されてからの十数年間,目の前の業務をこなし,学会参加や看護研究も“割り当てられた使命” と思い取り組んでいた私は,“頭で考えるより先に体が動く”というタイプでした.とにかく目の前の業務を滞りなくこなせること,そのための知識や技術の習得が中心で,「看護」という視点が希薄だったような気がします. - 家族
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終末期の患者・家族に対する救命医療のあり方
21巻5号(2008);View Description Hide Description救命救急センターには,原疾患の完治が見込めず終末期医療を受けている患者が心肺停止状態で搬入されることがある.終末期の患者・家族は,長い闘病生活の経過から,死生観を共有し,最期の時の迎え方について何らかの意思を持っていることが多い.しかし救命救急センターに搬入されれば終末期患者に対しても救命行為を優先的に行わざるを得ない現状があり,私は常々,ジレンマを感じていた.今回,積極的な治療は望まないと事前に意思を表明していた終末期患者が,予期せぬ急変により心肺停止となり,患者の意思とは異なる結末に至った事例を経験した.この事例を振り返り,終末期患者・家族に対する救命救急センターの役割と看護者としてのかかわり方について考えてみたい. - 誌上で検証 プレホスピタルでの患者のみかた
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「ダンプが追突,脱出不能!」
21巻5号(2008);View Description Hide Description通報内容:ダンプが追突した.症例:66歳男性.現病歴:ダンプの追突事故により,運転手が車両内に挟まれた.現場到着時の状況:ダンプ前部が潰れており,運転手はシートに座ったままの状態で,腹部にハンドルがめり込んでいた. - 図解で理解 理論で行う患者の移動・体位管理
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坐位から立位への援助
21巻5号(2008);View Description Hide Descriptionベッドから車いす,いすからストレッチャーなど,着座している患者さんをいったん立位にして,別の場所へ移動することは救急現場でも多く見られる光景だと思います.ただし,筋力の低下や全身衰弱の患者さんの場合,両脇を抱えたり,ベルトをつかんで持ち上げたりと苦労することも多くあるでしょう.そこで,今回は日常生活でも多く繰り返す着座から立位の運動について改めて考え,介助する際に有効な動き方を考察してみたいと思います. - からだのしくみで覚える 見のがさない検査値の異常
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電解質検査
21巻5号(2008);View Description Hide Description電解質は酸塩基平衡,水分の保持,細胞膜の電位差形成などの生理的役割を果たしており,水・電解質代謝は生体にとって生命を維持するために極めて重要です.臨床上,重要な電解質として,ナトリウム(Na),カリウム(K),クロール(Cl),カルシウム(Ca),マグネシウム(Mg),リン(P)などが挙げられます.人間の体重の約60%は水分で構成されていますが,約40%は細胞内液,約20%が細胞外液で,細胞外液のうち約5%が血漿で,約15%が組織液として存在しています.細胞外液には主としてNa とCl が,また細胞内液には主としてK とリン酸が存在します.電解質の調節は主に腎臓で行われ,血液中の電解質濃度は通常一定の値にコントロールされています.電解質異常を来す場合は,同時に水代謝にも異常を来していることが多く,水分管理を含めた治療が必要です. - めざせ! 救急看護認定看護師 EMERGENCY QUIZ
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抗精神病薬投与中に急変した患者のフィジカルアセスメント
21巻5号(2008);View Description Hide Description事例 アルコール依存症で通院治療中の20代,男性.自宅で興奮状態となり警察に保護され精神科病院へ入院となり,抗精神薬の内服が始まった.2日後の正午ごろよりアルコール離脱症状によるせん妄を認め,鎮静目的でブチロフェノン系抗精神薬(セレネース?)と抗コリン薬(アキネトン?)を筋注したが,その後も体動が激しかった.同日夕方より体温が39℃台まで上昇,いったんは発汗とともに37.3℃まで解熱したが,口から著明に流涎を認めた.意識レベルは繰り返しの呼名に対して辛うじて開眼する程度であり,救急センターに転院依頼があった. - EMERGENCY TOPIC
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災害救護訓練における「模擬患者研究会」の取り組み
21巻5号(2008);View Description Hide Description1995年1月に発生した阪神・淡路大震災以降,厚生労働省により,大災害時における災害医療体制のあり方に関する再検討や関係機関に対する指導が行われてきました1).また,医療機関や消防機関,行政機関などでは災害医療マニュアルの策定や災害救護訓練が実施されるようになりました.「模擬患者研究会」は,災害救護訓練において模擬患者として協力することにより,救助・救出の遅れによる死や,防ぎ得た死の確実な減少,また実践的な災害医療体制の構築に少しでも寄与したいと願う有志によって2002年に発足しました.本稿では全国規模で活動する本研究会について紹介するとともに,災害救護訓練における模擬患者の役割などについて述べます.また研究会の今後の展望についても付記します. - Emergency Case
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頸髄損傷患者の看護〜受傷後,種々の合併症を呈した患者への看護介入の実際〜
21巻5号(2008);View Description Hide Description頸髄(脊髄)損傷の患者は重篤な神経学的損傷のために,種々の合併症を併発する可能性があるばかりでなく,生命に直接影響する危機的な状況に陥る場合がある.そのため看護師は,受傷直後から起こり得るさまざまな合併症を理解し,その予防と対策に努める必要がある.今回,頸髄損傷後に種々の合併症を併発し,急性期からリハビリテーション開始までの約1カ月間,救命救急センターICUでの治療を余儀なくされた患者への看護を経験した.本症例を振り返り,実践した看護介入の効果と看護師の役割について考察する機会を得たので,ここに報告する.
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県西部浜松医療センター救命救急センター
21巻5号(2008);View Description Hide Description静岡県浜松市は,従来より「浜松方式」と呼ばれる救急医療体制を構築している.これは市運営の夜間救急室による1次救急および産婦人科などに対応する1.5次救急,8施設が輪番制で行う2次救急,そのうちの2施設が毎日24時間,重症患者に対応する3次救急の体制を取るものであり,昨今話題に上っている救急患者の「たらい回し」を防ぐためにも有効な医療体制といわれている.
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