エマージェンシー・ケア
Volume 23, Issue 8, 2010
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目次
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特集
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- チームで取り組む治療戦略【後編】 t-PA時代の脳卒中
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(1) 脳卒中の病態と治療を理解する
23巻8号(2010);View Description Hide Description一方,わが国初のエビデンスに基づいた脳卒中治療GL20043) の策定・公表後5 年を経た2009 年末,脳卒中関連5 学会合同による脳卒中合同GL 委員会(事務局責任者:筆者)が『脳卒中治療ガイドライン2009』4,5)を公表した.本稿では,この新たなGL2009 を踏まえて,脳卒中,特に脳梗塞急性期について紹介する. -
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(4)-1 倉敷病院前脳卒中スケール(KPSS)
23巻8号(2010);View Description Hide Descriptionわれわれは2005(平成17)年7 月から倉敷市消防局と協議し,病院前脳卒中スケールとして倉敷病院前脳卒中スケール(Kurashiki PrehospitalStroke Scale;KPSS)1)を考案し,現場で使用している.本稿では,このKPSS について概説する. -
(4)-2 マリア病院前脳卒中スケール(MPSS)
23巻8号(2010);View Description Hide Descriptionマリア病院前脳卒中スケール(Maria PrehospitalStroke Scale;MPSS)は,シンシナティ病院前脳卒中スケール(CPSS)の診断精度を温存しつつも地域に存在する多彩な脳卒中医療資源を効率よく利用するツールとして,川崎市と横浜市とで利用されている病院前トリアージスケールである.MPSS は脳卒中診断スケールというだけでなく,t-PA 静注療法のためのバイパス搬送フローチャート,カレンダー方式によるt-PA 施行施設選定方法と連動して使用されている. -
(4)-3 湘南病院前脳卒中スケール(SPSS)
23巻8号(2010);View Description Hide Description病院前救護における脳卒中判定法として,シンシナティ病院前脳卒中スケール(CPSS)1)や倉敷病院前脳卒中スケール(KPSS)2)が考案され,一部の地域で導入されている.しかしこれらは片麻痺や言語の異常などの局所症状を示す脳卒中症例を対象としており,突然の意識障害や頭痛を呈し,局所症状を示すことが少ないくも膜下出血を含む脳卒中全般を対象とした簡便な脳卒中スケールは,これまで作成されていない.そこで,湘南地区メディカルコントロール協議会では,簡便でくも膜下出血も対象に入れた湘南病院前脳卒中スケール(Shonan PrehospitalStroke Scale;SPSS)を開発し,それに基づく脳卒中救急活動プロトコールとガイドラインとを策定し,2009 年度から運用を開始している. -
(5)-1 初療室における看護師の役割と看護技術
23巻8号(2010);View Description Hide Description近年,救急搬送による受診は増加傾向にあり,当院でも救急患者数は年々増加し,2009 年度は2 万1,181 人を受け入れた.その中で脳卒中患者は全体の26.2%を占めている.このように多くの脳卒中患者に対応する看護師には,トリアージ能力や高いアセスメント力,また,急変時に迅速に対応できる技術や意思決定支援を含めた患者・家族ケアも必要とされている.本稿では,脳卒中における初療室での看護師の役割と看護技術について述べる. -
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(7) SCU/ICUにおける脳卒中クリニカルパスの実例と効果
23巻8号(2010);View Description Hide Description2005 年10 月に超急性期脳梗塞患者に対するt-PA 静注療法が承認され,脳卒中診療は適確で迅速な診断に基づいた緊迫感のある治療へと変貌した1 〜 3).本剤使用の適応となるのは,脳梗塞患者のごく一部であり,適応を誤ると出血性合併症を発現する危険性が高まることが知られている.したがって,本剤は十分な設備,体制の整った施設において,適応・禁忌などを熟知し,また,十分な経験を持つ医師の下で,しかも厳格にプロトコールを遵守した状態で使用されなければならない. 超急性期脳梗塞患者に対するt-PA 静注療法の適応は,厳密に3 時間以内に治療開始可能な患者に限られている.来院からt-PA 投与までには60 分程度の時間を要するため,患者情報として発症から3 時間以内(特に2 時間以内)に救急搬送の連絡が入った場合には,t-PA 静注療法の緊急応需体制をとるようにしている.本稿では実際に経験した症例を紹介しながら,当センターでのt-PA 静注療法の体制やt-PA治療後の管理について説明する.
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連載
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麻痺・脱力●
23巻8号(2010);View Description Hide Description救急現場では,いったん患者さんが運ばれてくれば,すべてのことが患者さんに集中します.チームの足手まといにならないために,知識も経験もがむしゃらに詰め込む……そんな新人スタッフの方もいるかもしれません. でも,救急外来で見逃してはいけない症状と疾患の特徴,その緊急度・重症度・頻度をおさえておくだけでも,ずいぶんとスキルが上がります.あわせて,救急外来はすべての患者さんの診断を行う場所ではなく,「鑑別すべき疾患と鑑別手段を整理する」いわば関所の役割を持つ,と理解しておきましょう. - 家族
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AHTの画像診断(1)画像は口ほどにものを言う?!
23巻8号(2010);View Description Hide Description2009(平成21)年,厚生労働省・神経疾患研究班によって「『虐待が疑われる乳幼児頭部外傷(Abusive head trauma in infants and young children;AHT)』診断・治療・予防の手引き」がまとめられた.子どもの虐待の背景にはさまざまな社会的・心理的背景が存在し,その診断には最大限の慎重さと正確性が求められる.医療現場での対応が,子どもとその家族の将来を左右することから,虐待の発見と再発予防において,救急医療スタッフの果たす役割は大きい.本連載では,乳幼児の初期診療にあたる救急医療チームがAHTが疑われる症例に遭遇したとき,何を念頭に置き,何をなすべきかについて6回に分けて解説する.