ナーシングビジネス

本稿では、アメリカの医療制度を日本と比較しながら紹介する。今後、DRG/PPSの時代を迎えるにあたり、日本の医療をさらに良いものにするにはどうすべきかについての議論の参考に供したい。

1983年、アメリカは医療費削減策として、メディケア入院患者を対象に診断群別定額払い方式（DRG/PPS＊）を導入した。その目的は、単に病院にコストを支払うことではなく、効率化のインセンティブを与えることにあった。このコンセプトは、その後の病院の運営と経営、およびスタッフの関係に大きな影響を与え、今も変転を遂げている。

DRG/PPSの導入によって、医療現場に「コスト意識」が持ち込まれ、治療のあり方にも変化が生じている。本稿では、がん化学療法を例に、変化の実際を解説する。

DPC包括評価の時代、それは看護の力量が病院に大きく貢献する時代でもある。そのために欠かせない取り組みが、看護を表現し、説明責任を果たし、広く社会に情報発信をしていくことである。

医療・福祉分野における障害者の雇用数は、年々増加傾向にある。しかし、医療機関は人命に関わるリスクが大きいこともあって、障害者に任せる仕事は洗濯や備品の管理などの、いわゆる「裏方」の仕事になるケースが多い。その点、北野病院は急性期病院でありながら、専門職チームの一員として働く看護補助として、障害者を雇用している。その取り組みについてお話を伺った。

働く意欲を持つ障害者の方々が、その能力や適性を十分に発揮して働くことができるようにするためには、障害者を雇用する事業主をはじめ、ともに働く上司や同僚の理解と支援が欠かせません。国では、障害のある方々の「働きたい」という思いの実現に向けて、誰もが安心して働き続けられる社会を目指し、事業主や障害者に対するさまざまなサポートを提供するとともに、障害者雇用に対する理解の促進に取り組んでいます。

適切で安全にケアを提供するためには、チーム間の情報共有が不可欠である。このため、勤務交代時の情報伝達にも正確性、確実性が求められる。しかし、申し送りを行うこと自体が時間の浪費になり、時間管理の視点で考えると問題点が生じていることも少なくない。そのようななか、申し送りを廃止して、ウォーキング・カンファレンスを導入し、看護記録を充実させることで成果を上げている病院がある。その取り組みを取材した。

バランスト・スコアカード（Balanced Scorecard；BSC）は、経営トップの経営の道具であり、経営トップの理解と継続的支援がないと導入、運用がうまくできない。同時に、BSCを作成するのは現場を熟知している現場であり、ミドルが経営トップの方向や意図をしっかり理解して、アップ・アンド・ダウンしながら行うものである。したがって、皆で考える、考え抜く、コミュニケーション・プラットホームを構築するということが重要になる。

医業費用のうち、減価償却費を理解することは一般の事務職においても困難である。減価償却費とは、材料費、人件費などのような短期間の費用ではなく、長期間にわたる費用のことである。病棟建築や高額な医療機器などは、1 年間で使用が終わるわけではなく数年にわたり償却する。たとえば、1 億円の医療機器を購入した場合、購入した年度にすべてを使用してしまえば、その年度の費用は莫大に増加し、翌年度以降は全く費用が発生しなくなる。しかし、実際は翌年度以降もその医療機器を使用し続けるわけであり、購入に要した費用は使用期間にあたる通年に配分して計上すべきである。このように、建物や医療機器、車輌などを購入した場合、使用する期間に応じて使用分を配分し費用化する考え方を減価償却といい、その金額が減価償却費である。この減価償却費の医業収益に占める割合を、減価償却費率と呼ぶ。

ポーターは、競争戦略の目標は、業界の競争要因からうまく身を守り、自社に有利なようにそれらの要因を動かせる位置（position）を業界内に見つけ出すことにあるとしている。したがって、適切な競争戦略を構築するためには、企業が相互に競争をしかけたり、しかけられたりしている業界の競争構造を理解することが、戦略分析の出発点になると強調している。そうした業界分析のための基本的な思考ツールが「ファイブ・フォース・フレームワーク」である〔図-01〕。この枠組みの特徴は、まず、既存の競争業者だけでなく、顧客、供給業者、代替製品・サービス、予想される新規参入業者まで含む“広義の敵対関係”を分析の対象としている点、次に、競争環境を形成するそれらの主体が生み出す影響力が強くなるほど、業界の競争は激しくなり収益率が低下していくとする点にある。以下、各主体が生み出す影響力—五つの競争要因についてポイントを整理する。

前号までは、目標管理の中身や設定、ミーティングの行い方について説明してきた。P. F.ドラッカーが目標管理を提唱してから、現在その形態は、企業経営、組織運営における重要な機能としての認知を得ながら、当初の目的に限られることなくその活用範囲を大きく広げてきた。今回はこれまでの整理の意味も含め、目標管理の活用について、「二つの目標」と「人事評価への活用」という二つの視点を交えながら紹介する。

これまで、病院のホームページで優秀な人材を惹きつける方法について、〈病院・看護部情報〉〈職場・教育情報〉をお伝えしてきました。これらの情報は、病院の内情をオープンにして、読み手が自分で解釈し、“自分が働いている”イメージを膨らませるというものでした。今回お届けするのは〈採用情報〉です。この情報は、読み手の〈応募行動〉に関わってくる内容です。そのため、できるだけ具体的に、読み手に直接的なメッセージを語りかけることが必要です。優秀な人材が「応募しよう！」と背中を押されるメッセージとは、どのような情報なのかを考えてみましょう。

相談内容を伺うと、おそらく典型的な「バーンアウト」であると考えます。バーンアウトは、「燃えつき症候群」とも訳されており、看護の分野ではひょっとしたらなじみのある事柄かもしれませんが、今一度考えてみましょう。

最近、次のような報道がありました。Ａ病院（600床）が、2005年に同病院で女性が重い脳障害を負った長男を出産したケースについて、調査報告書をまとめていたにもかかわらず、女性の開示請求を退けていた（参考：毎日新聞、2007年8 月12日）。

今働いている職場のストレスレベルはいかがですか？　「もう毎日仕事は忙しいし、問題山積みでストレスだらけよ。上司とは相性悪いし、管理主義もいいところだわ」なんて、ストレスをたくさんため込んでいる人もいるだろう。一方、「この仕事がしたかったのよ。そのために一生懸命勉強したし就職試験にもパスして、こうやって毎日元気に仕事ができるなんて幸せだわ。職場の環境はベストとはいえないけれど、まあそんな理想ばかり求めても仕方ないわね。よしとしましょう」という人もいる。同じ状況にあっても、とらえ方が全く違う。この場合、当然、後者のほうがストレスレベルは低いだろう。昔からストレスは健康によくないと言われていた。それは事実なのだろうか？

今回は、看護職員のベネフィット（各種手当・福利厚生）についてご紹介します。病院・施設によって違ってくるとは思いますが、ここでは、私の勤務する病院において、フルタイム（勤務時間36時間／週以上）の職員に支給されているベネフィットの例をあげます（パートタイムの場合は、その契約時間数によって、ベネフィットの割合も計算されます）。

十年前のある日のことです。突然電話がかかってきました。「私、生きてるからね」。少し弾んだ、明るいその声は、私の記憶している声でした。彼女は、色白できれいな二十八歳の患者さん。大きな目をして元気な、小学校一年生の男の子を持つお母さんでした。彼女とは、転院先の病院を退院して以来、音信不通となって二年近くが経とうとしていました。

舛添厚生労働大臣の安倍改造内閣での初仕事、それは8 月28日に行われた自由民主党厚生労働部会への出席でした。ここでの議論のテーマは、平成20年度の国家予算概算要求についてです。

皆さん、お元気でしたか？　またまた餅田の登場です。臨床とはどうしてこんなに忙しいのでしょうか？　いま出勤したと思ったら、次の瞬間には帰宅時間をとっくに過ぎています。超過勤務に翻弄され、体を休めるためだけに帰宅を急ぐ毎日。このまま歳を取っていくのだろうかと思うと、「人生って何？　生きるって何？」と考えてしまいます。

前回、〈同僚を助ける・誠実に取り組む〉などの〈文脈的業績〉には〈性格的要素〉が深く関係している、ということをお話ししました。経営心理学では、この〈性格〉と〈職務パフォーマンス（仕事の遂行と成果）〉についての研究が盛んなのですが、ここでいう〈性格〉とは、一体どういったものなのでしょうか。今回は、性格の5 因子モデル（Five Factor Model）とも呼ばれるビッグファイブ（Big Five）をご紹介します。

去る7月27日、厚生労働省より「平成18年保健・衛生行政業務報告（衛生行政報告例）結果（就業医療関係者）の概況」が発表された。就業医療関係者の報告は2年に1回行われており、業務に従事する就業地の都道府県知事に届け出のあった数値などをまとめたものである。就業保健師は40,191人で前回より996人増え、就業助産師は25,775人で前回より518人増加、就業看護師は811,972人で前回より51,751人増加している。

現在デンマークでは、医療施設における医師および看護師不足への対応策として、外国人医師および看護師の受け入れについて、地方議会内で議論が活発化している。