外科
・1937年創刊。外科領域の月刊誌では、いちばん長い歴史と伝統を誇る。
・毎号特集形式で、外科領域全般にかかわるup to dateなテーマを選び最先端の情報を充実した執筆陣により分かりやすい内容で提供。
・一般外科医にとって必要な知識をテーマした連載が3~4篇、また投稿論文も多数掲載し、充実した誌面を構成。
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目次
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特集【消化器良性疾患に対する外科治療update】
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- Ⅰ.上部消化管
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1.食道裂孔ヘルニア・逆流性食道炎に対する外科治療update
86, 4(2024);View Description Hide Description高齢化社会の到来により,巨大食道裂孔ヘルニアを有する患者が増加した.2021 年以降,われわれの施設で食道裂孔ヘルニアもしくは逆流性食道炎で手術適応となった患者の半数以上が傍食道型や混合型の巨大食道裂孔ヘルニア患者であった.一方,高解像度食道内圧検査やインピーダンス・pH モニタリング検査の普及により,胃食道逆流症(GERD)ばかりでなく非びらん性逆流症(NERD)や咽頭喉頭逆流症(LPRD)に関してもより詳細な病態を把握できるようになった. -
2.食道アカラシアに対する経口内視鏡的筋層切開術―粘膜下層内視鏡への展開
86, 4(2024);View Description Hide Description経口内視鏡的筋層切開術(POEM)は,アカラシアに対する治療法であり,2008 年に世界第一例が本邦で施行されて以来15 年以上が経過した.昭和大学のみで3,100 例超が施行されており,日本全体で6,000 例以上に施行されている.日本での成功率は97%を超える.国際的にも,Heller-Dor 手術とのランダム化比較試験(RCT)において,その効果は外科手術と同等以上であることが示された.またバルーン拡張術とのRCT では,POEM の優位性が証明された.この二つのRCT の結果に基づき,POEM はアカラシアに対する標準治療,そして第一選択の治療となった.さらにPOEMとHeller-Dor 手術を比較した場合に,筋層切開を食道側に容易に延長できるという決定的な長所があり,体表に傷がないという利点もある.特にChicago 分類のtypeⅢにおいては,特にPOEM が第一選択となる.技術的にはdouble scope technique により胃側の筋層切開を2 cm とすることで,incomplete myotomy とpost-POEMGERD(POEM 後の胃食道逆流症)の両方を防げる.また,POEM は粘膜下層内視鏡(submucosal endoscopy)という領域を確立し,食道粘膜下腫瘍に対する経口内視鏡的粘膜下腫瘍切除術(POET)やZenker 憩室に対するZ-POEM(POES)や傍横隔膜憩室,胃不全麻痺に対するG-POEM(gastric POEM)など,新しい治療内視鏡手技を生んだ. -
3.肥満症に対する外科治療update
86, 4(2024);View Description Hide Description減量・代謝改善手術はわが国でも右肩上がりに症例数が増えている.そのような中で米国では新しいガイドラインが出され,わが国でも日本肥満症治療学会,日本肥満学会,日本糖尿病学会の3 学会合同委員会から新たなコンセンサスステートメントが発出された.このステートメントでは新たに適応基準や術式選択基準が示されており,今後このステートメントに沿って健全に普及していくことが期待される. - Ⅱ.下部消化管
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1.潰瘍性大腸炎に対する外科治療update
86, 4(2024);View Description Hide Description潰瘍性大腸炎は,急速に進行する劇症型症例や,内科的治療が無効あるいは治療抵抗性の重症・難治症例および発癌症例に対しては外科的治療が必要であり,適切な外科治療戦略が望まれる.外科的治療には術後合併症を避ける安全な術式と機能面での両立が必要であり,2 期ないし3 期での分割手術が行われることが多い.当科では劇症型や重症・難治症例に対する緊急・準緊急手術では基本的に1 期目で結腸亜全摘・回腸人工肛門造設・S 状結腸粘液瘻造設を行い,2 期目で回腸人工肛門造設を併せた残存大腸全摘・回腸囊肛門(管)吻合を行い,最後に人工肛門閉鎖を行う3 期分割手術を行っているが,炎症の比較的コントロールされた発癌症例などに対しては,まず回腸人工肛門造設を併せた大腸全摘・回腸囊肛門(管)吻合を行い,後に人工肛門閉鎖を行う2 期分割手術を行っている.また腹腔鏡下手術に代表されるより低侵襲な治療も広まってきており,症例に応じた適切な治療法の選択が重要である. -
2.Crohn病に対する外科治療update
86, 4(2024);View Description Hide Description内科的治療の進歩により,Crohn 病(以下「CD」と略記)の治療成績は著しく向上したが,外科的治療の介入を必要とする症例は依然として存在する.昨今の動向としては,Kono-S 吻合の出現,腹腔鏡手術への適応拡大,短腸症候群に対するteduglutideや肛門周囲瘻孔に対するdarvadstrocel の使用が注目されている.またCD に合併する大腸癌,特に予後不良である直腸肛門管癌の増加が問題となっており,サーベイランス法の確立が望まれている. -
3.直腸脱に対する外科治療update
86, 4(2024);View Description Hide DescriptionLaparoscopic ventral rectopexy は直腸の固定が下部直腸腹側と仙骨岬角の間でメッシュにより縫合固定される自律神経完全温存術である.適応は骨盤内に顕著な癒着がなく,生殖能のある患者を除いた直腸脱である.手技で重要な点は,直腸腟中隔を尾側に骨盤底まで剝離することと,子宮脱・腟脱・小腸瘤の予防・治療のために,腟壁とメッシュを吸収糸で追加固定することである.本法は合併症が少なく,入院期間が短く,排便機能が改善する理想的な手術である. -
4.消化管緊急手術(急性虫垂炎および絞扼性腸閉塞)における腹腔鏡手術の適応と限界
86, 4(2024);View Description Hide Description消化管緊急手術として高頻度の急性虫垂炎と絞扼性腸閉塞に対する腹腔鏡手術の選択過程を示す.急性虫垂炎の治療方針決定には,炎症の程度,患者の全身状態と治療希望を考慮のうえ,緊急手術体制の整備が必要である.絞扼性腸閉塞は腸管の血流障害を伴い,診断・治療の遅れが生命にかかわるため,早期診断を行うことで腸管切除を回避し良好な予後を提供できる.腹腔鏡手術の適応と限界のバランスを考慮した治療をめざさなければならない.
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連載
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- 外科医の私論
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特集【消化器良性疾患に対する外科治療update】
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- Ⅲ.肝胆膵
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1.巨大肝囊胞に対する外科治療update
86, 4(2024);View Description Hide Description単純性肝囊胞のほとんどは治療を要しないが,巨大な囊胞では周囲臓器の圧排による症状を認めることがあり治療介入が行われる.腹腔鏡下囊胞開窓術は侵襲も少なく短期成績が良好で第一選択として広く行われている.開窓部の閉鎖による再発を防ぐためには十分な囊胞壁切開が必要であり,インドシアニングリーン蛍光法を用いた術中ナビゲーションが胆道損傷回避に有用である.