内科

日常診療に直結したテーマを精選して特集として掲載し、タイムリーな情報をクオリティの高い編集で提供する内科総合誌です。総合診療の現代において広く横断的な知識を得るのに最適で、とくに年2回の増大号は他の内科系雑誌の追随を許さない情報量です。
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特集【プライマリケア医に必要な情報をまるっと整理 くすりの使い方便利帳】
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- 第8章 ビタミン製剤,輸液・栄養製剤
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[止血薬]:抗プラスミン薬
131, 4(2023);View Description
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• 抗プラスミン薬であるtranexamic acid は,プラスミノゲンのリジン結合部位と結合することでフィブリンへの結合を阻害し,抗線溶作用を発揮する.• tranexamic acid が最も効果を発揮する病態は,全身性もしくは局所の線溶亢進に伴う出血傾向である.• 外傷診療や外科手術などの外科系領域のほか,産科領域や内科系疾患など,さまざまな臨床現場で出血量の減少を目的として使用されている.• tranexamic acid 投与の有害事象として,血栓症や痙攣に注意が必要である. -
[抗血栓薬]:直接経口抗凝固薬(DOAC)
131, 4(2023);View Description
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• 直接経口抗凝固薬(DOAC)には,直接トロンビン阻害薬のdabigatran と,直接Xa 阻害薬のrivaroxaban,apixaban,edoxaban の4 種類がある.• DOAC は,warfarin とは異なり,一定量の内服で安定した抗凝固効果が期待できる.• すべてのDOAC は,「非弁膜症性心房細動(NVAF)患者における虚血性脳卒中および全身塞栓症の発症抑制」の適応を有しており,rivaroxaban,apixaban,edoxaban は「静脈血栓塞栓症(VTE)の治療および再発抑制」の適応を有する.• edoxaban のみ下肢整形外科手術施行後のVTE 予防に使用することができる. -
[抗血栓薬]:抗血小板薬
131, 4(2023);View Description
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• 抗血小板薬は血小板機能に関する種々の分子を阻害し,機能を減弱させる薬剤である.• 心血管疾患・脳梗塞・末梢動脈疾患の予防・治療に適応を有する.これらの疾患は高齢化などによる影響で増加しており,抗血小板薬を内服中の患者も増加傾向にある.• 出血,とくに消化管出血の発生率が高く,酸分泌抑制薬またはプロトンポンプ阻害薬(PPI)の併用を行う.• 抗血小板薬2 剤併用療法(DAPT)や抗凝固薬との併用は患者背景を考慮したうえで最小限の期間とし,出血リスクを減少させることが重要である. - 第9章 神経系に作用する薬剤
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非麻薬性オピオイド(tramadol)
131, 4(2023);View Description
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• オピオイド鎮痛薬は,WHO の分類では鎮痛効果の違いから弱オピオイドと強オピオイドに分けられる.弱オピオイドのtramadol は,codeine 類似の合成化合物である.• 弱オピオイドは,一定以上に増量しても鎮痛効果が比例して増強しなくなる“天井効果(ceiling effect)”が知られている.天井効果の目安は,tramadol 300~400 mg/日である.• tramadol は,肝臓で作用するCYP2D6 の遺伝子多型により,鎮痛効果が減弱する場合がある.とくに代謝酵素をほとんどもたないpoor metabolizer では,鎮痛作用が発揮されないため注意を要する. -
ベンゾジアゼピン系抗不安薬
131, 4(2023);View Description
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• ベンゾジアゼピン系抗不安薬は催眠・鎮静作用,抗不安作用,抗痙攣作用などがあり,作用効果,作用時間,作用強度の違いなどによって分類される.• 治療適応としては,不安症やうつ病などであるが,抗うつ薬との併用で治療初期の効果が出やすい.• 治療は耐性・依存の生じにくいものを単剤・最少量で短期間(1 ヵ月間が目安)処方するようにする.• 副作用には鎮静作用による眠気,ふらつき,筋弛緩作用による脱力,転倒,長期間服用による常用量依存などがあり,定期的な処方内容の見直しが必要である. -
睡眠薬
131, 4(2023);View Description
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• 不眠症治療のゴールは単純な睡眠時間の延長ではなく,日中機能の改善を目指すことである.• 睡眠薬は適正使用で安全性を高められることを説明し,患者の睡眠状態を確認しながら症状に合わせた適切な睡眠薬を選択する.• 不眠症状の改善が確認された場合,睡眠薬の減量・休薬を検討することも重要である. -
抗認知症薬
131, 4(2023);View Description
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• 2022 年11 月現在,本邦で承認されている抗認知症薬はコリンエステラーゼ阻害薬(ChEI)3種(donepezil,galantamine,rivastigmine)と,N—メチル—D—アスパラギン酸(NMDA)受容体拮抗薬1 種(memantine)の計4 種である.• いずれの薬剤もAlzheimer 病(AD)への使用が認可されており,重症度に応じてそれぞれの薬剤を使い分ける,あるいは併用する.• 注意すべき副作用として,ChEI には消化器症状や循環器症状があり,memantine にはめまいや傾眠がある.• donepezil に関してはLewy 小体型認知症(DLB)にも適応を有する. -
Parkinson病治療薬
131, 4(2023);View Description
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• Parkinson 病の進行を止める治療は,現在のところ存在しないため,対症療法が基本となるが,適切な薬物治療により,ある一定期間は,QOL を良好に維持できることが多い.• Parkinson 病の症状,とくに運動症状をコントロールするためには,服薬アドヒアランスを良好に維持することが重要である.• Parkinson 病の症状や進行に応じた薬剤調整が重要である.• 「パーキンソン病診療ガイドライン2018」における治療アルゴリズムが治療の基本となるが,個別化医療を意識した治療が重要である. -
片頭痛治療薬
131, 4(2023);View Description
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• 急性期治療として,軽症例においてはアセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が推奨されるが,薬物乱用頭痛に注意する.• 中等症以上で心血管系の疾患や脳卒中の既往,コントロール不良の高血圧のない患者において5—HT1B/1D受容体作動薬(トリプタン系薬)の処方を検討する.2022 年に承認された新薬である5—HT1F受容体作動薬は上記基礎疾患のある患者でも投与できる.• 1 ヵ月に平均4 日以上の片頭痛,または生活支障度が高い患者において,まず従来の予防内服薬の導入を検討する.• 従来の片頭痛予防内服薬でも改善しない場合に,頭痛診療に精通している医師のもとでCGRP 関連抗体薬(抗CGRP 抗体薬や抗CGRP 受容体抗体薬)の開始を検討する.• 制吐薬は悪心・嘔吐,消化管吸収障害に効果があり,鎮痛薬と併用投与すると効果的である.
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