整形外科

・1950年創刊。整形外科領域でいちばんの伝統と読者を持つ専門誌。
読者と常に対話しながら企画・編集していくという編集方針のもと、年間約250篇にのぼる論文を掲載。
・その内容は、オリジナル論文、教育研修講座、基礎領域の知識、肩の凝らない読み物、学会関連記事まで幅広く、整形外科医の日常に密着したさまざまな情報が、これ1冊で得られる。
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論説
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Balloon kyphoplasty 後の続発性骨折
73, 8(2022);View Description
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近年,高齢者の増加とともに骨粗鬆症性椎体骨折(osteoporotic vertebral fracture:OVF)が増加している.その多くは保存的治療で良好な経過をたどり治癒していくが,疼痛の改善が乏しい場合や不安定性が強く早期に著明な椎体圧潰の進行が予測される場合には手術的治療が選択される.その一つにballoon kyphoplasty(BKP)があり,低侵襲かつ除痛に有効な治療法である.しかし,その適応は,「十分な保存的治療で改善が認められない症例」となっており,明確な定義はされていない. BKP にはセメントの漏出や隣接椎体の続発性骨折など,手術的治療に特有の合併症の問題がある.セメント漏出に関しては,前壁欠損例や後壁損傷例にBKP を行わないことである程度の予防策は講じられるが,BKP 続発性骨折に関しては保存的治療より発生率が高いとも考えられている.その原因についてもさまざまな考察がなされているが,現状,統一した見解がない. 受傷早期のMRI T2 強調画像で低輝度広範型のOVFは早期に椎体圧潰が進行し予後不良である1).そのため当院では,受傷早期のMRI T2 強調画像で低輝度広範型のOVF 患者に対して早期よりBKP を行っている.われわれは,BKP に伴う続発性骨折の危険因子を検討した.
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誌説
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経験と考察
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活性型ビタミンD3製剤内服中に生じた高カルシウム血症
73, 8(2022);View Description
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活性型ビタミンD3製剤は,骨密度上昇効果や椎体骨折抑制効果を有する骨粗鬆症治療薬であり,臨床で広く用いられている1).その一方で高カルシウム(Ca)血症を引き起こすことが報告されており,血清Ca 値の定期的な測定が推奨されている2).活性型ビタミンD3製剤内服中に高Ca 血症を生じた症例の報告は散見されるが3~5),高Ca 血症の頻度や背景因子についての具体的な報告は少ない. われわれは骨粗鬆症患者に対して,活性型ビタミンD3製剤内服中に生じた高Ca 血症の頻度や背景因子を検討した. -
骨粗鬆症患者におけるリセドロネート休薬後の骨代謝マーカーの変動と骨折例
73, 8(2022);View Description
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骨粗鬆症治療において,ビスホスホネート製剤を長期使用した患者の同剤休薬時期については一定の見解がない.一方で同剤を長期使用した患者で骨代謝の過剰抑制状態(severe suppression of bone turnover:SSBT)や顎骨壊死などを発症する報告がなされてきている1,2). 本稿では,当院においてリセドロネート(risedronate:RIS)とビタミンD3(VD3),ビタミンK2(VK2)製剤内服を5 年以上継続した34 例にRIS を休薬し,休薬後のTRACP—5b,骨密度(BMD)[腰椎,大腿骨],大腿骨骨強度指標などの変動を検討し,休薬後発生した骨折例について報告する.
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私論
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経験と考察
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画像からみた腰椎後峡部および椎弓根部疲労骨折の発生機転
73, 8(2022);View Description
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腰椎分離は成長期のスポーツ活動によって発生する疲労骨折で,通常は関節突起間部に発生する.しかし,分離が関節突起間部以外の椎弓にもみられることは骨格標本や画像上から提示されており(図1)1,2),これらの分離も後天性の疲労骨折であることを報告してきた3).椎弓根部や後峡部疲労骨折の不全型が椎弓の内側にあり,対側椎弓に先行する骨折があることからその発生機転を次のように考えた. 片側の骨折を生じさせた運動が継続すれば骨折部は開大を繰り返し,非骨折側の椎弓根部から後峡部にかけての椎弓内側もしくは内腹側に引っぱり応力が働き,疲労骨折が生じる(図2)4,5). 近年,関節突起間部骨折が骨癒合した後で同側下関節突起部に骨折が生じた症例を経験し6),さらに下関節突起部疲労骨折側椎弓の約32%に関節突起間部骨折の骨癒合の痕跡があったことから,下関節突起部疲労骨折を再発性(二次性)骨折と考えるようになった7).骨折の骨癒合により関節突起間部の力学的強度が増して相対的に弱くなった下関節突起部に骨折が再発すると推測した(図3)6,7). 本稿の目的は,椎弓根部および後峡部疲労骨折例のCT を検討し,新知見に基づいてこれらの骨折の発生機転について考察することである. -
人工股関節全置換術後の入院期間と機能改善
73, 8(2022);View Description
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当科では,医療の質指標(quality indicator:QI)の一つとして,人工股関節全置換術(THA)例の入院期間と退院先をホームページ上に公開している1).75 歳未満の患者では90%以上が自宅に退院しているが,75歳以上の後期高齢者では自宅退院は70%程度にとどまっている.本研究では,当科におけるTHA 後転帰の妥当性を検討するために,入院期間および転院先,術後3 ヵ月時点での臨床成績を調査した. -
保存的治療介入による高難度日常生活動作の改善状況とその特徴
73, 8(2022);View Description
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変形性膝関節症(膝OA)は,予防や改善のため,初期段階を特定する取り組みが重要視されている1).しかし,有症状と有病率は一致しないため,症状を有し受診したときには変形が進行している場面を経験する.また,通院患者のなかには初期膝OA に分類される患者も存在する.これらの患者への保存的治療介入では活動量も高いため,広く使用されている患者立脚式質問紙において天井効果を感じる場面がある. われわれは,膝OA 患者における早期介入の重要性から高難度日常生活動作(high-level activity daily living:HL—ADL)に注目し,地域在住無症候者と通院患者の実施状況を報告している2).しかし,通院患者の保存的治療介入による変化は明らかでなかった. 本研究では,保存的治療介入によるHL—ADL の改善状況について検討することにより,その特徴を明らかにすることを目的とした.
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臨床室
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2 度の対麻痺を経験した医師の1 例
73, 8(2022);View Description
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筆頭筆者自身が動脈瘤術後2 度対麻痺になった.その発生機序,リハビリテーションの重要性について考察したので報告する. -
手術的治療を行った頚椎椎間孔外ヘルニアの2 例
73, 8(2022);View Description
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ヘルニアの主体が椎弓根外側縁より外側に局在する椎間孔外ヘルニア・外側型ヘルニアは,腰椎では比較的容易に診断可能となり手術報告もみられるが1,2),頚椎においては椎間孔外ヘルニアの報告はない.当科では頚部神経根症の診断と保存的治療のために頚部神経根造影・ブロックを日常的に行っている3).頚部神経根症は頚椎症・ヘルニアにより椎間孔入口部付近で神経根が圧迫障害されることが多いが,神経根造影像の読影による障害部位診断では狭窄部位が椎間孔外にまで及ぶこともまれではない4,5).MRI のみでは診断が困難であった頚椎椎間孔外ヘルニアに対して手術的治療を行った2 例を経験したので報告する.
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