整形外科

・1950年創刊。整形外科領域でいちばんの伝統と読者を持つ専門誌。
読者と常に対話しながら企画・編集していくという編集方針のもと、年間約250篇にのぼる論文を掲載。
・その内容は、オリジナル論文、教育研修講座、基礎領域の知識、肩の凝らない読み物、学会関連記事まで幅広く、整形外科医の日常に密着したさまざまな情報が、これ1冊で得られる。
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目次
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経験と考察
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成人腰椎疲労骨折の再考
74, 4(2023);View Description
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腰椎疲労骨折は成長期に発生するスポーツ障害であるが,まれにプロフェッショナル(プロ)・セミプロとして活動する成人の競技者にみられることがある1~4).成長期に人一倍の運動量をこなしてきたプロ・セミプロ競技者は,学生時代に腰椎疲労骨折を起こしていてもおかしくない.なぜ成人になって発症したのかについて追求した報告はみられない. また腰椎疲労骨折の発生高位が成長期ではL5 に多いのに対し,成人例の約半数はL5 以外の腰椎に生じているが,その理由は明らかではない2~4). 筆者らは,成長期腰椎疲労骨折の治療後に再び腰痛を訴えて来院する者のなかには再発例が多いことを報告した5).成長期腰椎疲労骨折の再発を,初回の骨折と同じ腰椎椎弓の同一部位に発生する再骨折(refracture)と,同じ腰椎椎弓の異なる部位に生じるか異なる腰椎に生じる二次性骨折(additional fracture)に分け,再発例の経過を追った.これらのなかには成人になって再発した者もいる. 本稿では,再発の視点から成人腰椎疲労骨折のこれらの疑問を検討するとともに,本骨折の治療とその予後について報告する.
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誌説
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経験と考察
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保存的治療を施行した橈骨遠位端骨折で生じた複合性局所疼痛症候群の発生要因と臨床評価
74, 4(2023);View Description
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橈骨遠位端骨折は日常診療で頻繁に遭遇する外傷であり,わが国では1 万人あたり10.9~14 人の年間発生率で,女性は男性の約3 倍多く発生する疾患である1).橈骨遠位端骨折の70~90%は保存的治療で治療され,手術的治療が治療法全体に占める割合は20~30%になっており2),骨折の転位にもよるが,保存的治療が行われることが多い. 一方,橈骨遠位端骨折における保存的治療の合併症として,複合性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome:CRPS)が報告されている3~5).CRPS は骨折などの外傷や手術後に著明な四肢の疼痛や腫脹を生じる疾患であり6),年間発症率は10 万人あたり26.2 人で,男性より女性のほうが3.4 倍多いとされている7).CRPS は誘因から予想される程度や範囲を越えた症状を示すため,早期診断と集学的治療が必要となる8).しかし原因や発生要因については不明な点が多く,治療方針も確立されていないため,治療に難渋し,難治性の症例となりうることも多い.そのため,CRPS の発生要因などの背景因子について把握し,CRPS に対する治療成績について考察することは,適切な治療を行ううえで重要である. われわれは保存的治療を施行した橈骨遠位端骨折で生じたCRPS の特徴について,発生要因と臨床評価に着目して検討した. -
大腿骨近位部転移・病的骨折に対する人工骨頭置換術の治療経験
74, 4(2023);View Description
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がん治療の進歩により骨転移を有する患者でも長期生存が可能となってきている.がん骨転移・病的骨折患者は高齢者に多く,さまざまな合併症をもつが,近年,生活の質(QOL)や死の質(QOD)を向上させるために積極的に手術が行われようになってきた.もっとも重要なことは予後を評価したうえで,術者の専門分野や得意分野を生かして余命期間のロコモティブシンドロームを回避することである.大腿骨近位部病的骨折では近位部骨組織・筋腱付着部切除の有無やインプラントの選択などが問題になる.予後に応じて術式選択が行われるが,予後良好な症例では術後機能に加えてインプラント弛みおよび折損といったインプラント関連合併症(implantrelated complication:IRC)が臨床上問題になってくる1,2).現在,当科では予後に応じて術式選択を行っているが(表1),本研究では,大腿骨近位部病的骨折手術例のうち,人工骨頭を用いて再建を行った7 例について術前・術後30 日の機能改善,再発,IRC,骨修復を検討したので報告する. -
変形性膝関節症に対するヒアルロン酸注射と局所麻酔薬混合ジクロフェナク結合ヒアルロン酸注射の効果比較
74, 4(2023);View Description
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変形性膝関節症(膝OA)に対するジクロフェナクをヒアルロン酸ナトリウム(HA)に化学的結合したジクロフェナクエタルHA(DF 結合HA)の使用には厚生労働省からアナフィラキシーショックなどの重篤な副作用の注意が喚起されている1). アレルギー反応は体内に抗体が形成されて,はじめて発生する.そのため,抗原との二回目以降の接触で起こる.たとえば,スズメバチに刺された場合,一度目は,大事にいたらなかったものが,二度目には,アナフィラキシーショックを起こすことがある2).筆者ら3)は1 回目のみDF 結合HA 注射を行い,2 回目は従来のHA 注射を行った場合の副作用発生頻度と治療効果を評価した.その結果,アナフィラキシーショックを含む重篤な副作用を起こした症例はなかった.また寛解点数は対照群に比べてDF 結合HA を使用した群で有意に改善した. DF 結合HA は従来のHA に比しpH が低いことに加えて,ピストンのすべりが鈍く注入に強い力を要するため注入時間が延長されることなどから注射時の患者の疼痛ストレスが増強する.局所麻酔薬には界面活性作用があるため,疼痛の緩和のみならず,撹拌することによってDF 結合HA の注入時間を短縮できる.われわれの調査4)ではDF 結合HA 注射を単独で2 回受けた31 例中4例(12.9%)で注射時疼痛のため血圧と意識レベルが低下したが,DF 結合HA に局所麻酔(局麻)薬を混合攪拌し注射を受けた32 例では上記症状を呈した症例はなかった. 本研究では膝OA 患者に局麻薬を混合撹拌したDF 結合HA を単回注射し,それ以降は従来のHA 注射を行い,1 日平均歩数の増加を指導した場合の治療効果と副作用発生頻度を評価し,HA 単独群と比較した.
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私論
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臨床室
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高齢者の陳旧性肩関節前方脱臼に対してリバース型人工肩関節全置換術を施行した1 例
74, 4(2023);View Description
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陳旧性肩関節脱臼の定義については,Rowe らの提唱する肩関節の脱臼後3 週間以上整復されずに経過したもの1)が使用されることが多い.陳旧性肩関節前方脱臼は,骨欠損や軟部組織のアンバランスにより治療に難渋することが多く,最適な治療法はいまだ議論の余地がある.われわれは陳旧性肩関節前方脱臼に対してリバース型人工肩関節全置換術(RSA)を施行した1 例を経験したので報告する. -
尺側手根伸筋腱脱臼の2 例
74, 4(2023);View Description
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尺側手根伸筋(ECU)腱脱臼はECU 腱が第6 コンパートメントから尺骨茎状突起を尺掌側に脱臼する疾患である.本稿では,前腕回内で生じたECU 腱掌側脱臼の新鮮例と陳旧例の2 例の治療を経験したので報告する. -
外来診察室で実施した超音波ガイド下手掌内異物除去の2 例
74, 4(2023);View Description
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近年整形外科外来で超音波診断装置が活用される例が増えてきている.超音波診断装置を有効に用いたことで,手掌内異物をその場で迅速に摘出することができた2 例を報告する.
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