整形外科

・1950年創刊。整形外科領域でいちばんの伝統と読者を持つ専門誌。
読者と常に対話しながら企画・編集していくという編集方針のもと、年間約250篇にのぼる論文を掲載。
・その内容は、オリジナル論文、教育研修講座、基礎領域の知識、肩の凝らない読み物、学会関連記事まで幅広く、整形外科医の日常に密着したさまざまな情報が、これ1冊で得られる。
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Latest Articles
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目次
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論説
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軸椎と第1腰椎のCT値は新たな骨粗鬆症スクリーニングツールとなりうるか
74, 12(2023);View Description
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本邦では,高齢化に伴い骨粗鬆症患者が年々増加している1).骨粗鬆症は脊椎の脆弱性骨折の原因であり,早期の診断と治療が重要である1).骨粗鬆症の診断は二重エネルギーX 線吸収法(dual energy X-ray absorptiometry:DXA)がゴールドスタンダードである2).しかし,DXA が行われていない患者も多く3),近年,腹部CT 値からの骨密度(bone mineral density:BMD)の予測が注目されている4,5).Lee ら3)は,L1 椎体の軸状断のCT 値と腰椎海綿骨のBMD の関連から,腹部CT で得られたL1 椎体の軸状断のCT 値が脆弱性骨折のハイリスク患者を検出することに有用である可能性を報告している.そこでわれわれは,胸腹部CT の撮影範囲に含まれるL1 に加えて,頭部CT の撮影範囲に含まれ,脆弱性骨折が多い軸椎のCT 値で骨粗鬆症の予測ができれば,スクリーニングの観点から有用であると考えた. 本研究の目的は,軸椎とL1 のCT 値と骨粗鬆症の関係を明らかにすることである.
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誌説
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経験と考察
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腰仙椎固定後の偽関節に対する手術
74, 12(2023);View Description
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腰仙椎固定はほかの腰椎椎間固定と比較して骨癒合率が低く偽関節になりやすい.十分な骨癒合が得られなくても椎間不安定性が軽度で神経症状がなく,日常生活動作(ADL)に支障がなければ偽関節手術は行われない.臨床症状が高度となり腰仙椎偽関節に対して手術的治療が必要となった場合に,当科では既存のインストゥルメントを抜去して入れ替える再置換手術,またはロッド切断連結手術を行っている.本稿では腰仙椎偽関節手術例を検討し,その要因と手術方法,予防について考察した.
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私論
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経験と考察
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小児橈骨遠位骨幹骨幹端境界部骨折に対する鋼線固定とプレート固定の比較・検討
74, 12(2023);View Description
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小児の骨折は保存的治療が原則であるが,橈骨遠位骨幹端骨折ではしばしば保存的治療中の再転位を経験するため,手術が推奨される症例も多い1).特に本邦では橈骨遠位1/3 骨折と称されてきた橈骨遠位骨幹部と骨幹端の境界部での骨折(distal radius diaphyseal metaphyseal junction fractures:橈骨遠位DMJ 骨折)の治療では,骨折部同士の接触面積が小さく力学的に不安定であることにより,鋼線固定でしばしば難渋する2,3). 近年,10 歳以上の橈骨遠位DMJ 骨折に対して鋼線固定ではなくプレート固定を推奨する報告が散見される4~6)が,プレート固定と鋼線固定との比較を行った報告は少ない.本研究の目的は,10 歳以上の橈骨遠位DMJ骨折に対する鋼線固定とプレート固定の治療成績について調査することである.
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特別寄稿
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経験と考察
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母指手根中手関節症に対する靱帯再建と腱挿入による関節形成術とスーチャーボタン併用関節形成術の術後成績
74, 12(2023);View Description
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母指手根中手(CM)関節形成術はこれまでさまざまな方法が報告されてきた.われわれは2010 年以降,Burton & Pellegrini1)の方法に準じて前斜走靱帯(AOL)と背橈側靱帯(DRL)の再建が可能な靱帯再建と腱挿入による関節形成術(ligament reconstruction with tendon interposition:LRTI)を施行してきた.しかし本法は,術後に母指列短縮が生じやすいこと2),手技が煩雑で術後初期の疼痛が高度であることなどの問題点がある.そこで,2017 年以降は大菱形骨部分切除でのスーチャーボタン併用関節形成術(suture button suspensionplasty:SBS)を施行してきた.SBS 法は大菱形骨を切除した空間において,血腫が後に瘢痕となるまでの固定としてスーチャーボタン(SB)を使用したsuspensionplasty であり3),最近では鏡視下大菱形骨部分切除での良好な治療成績も報告されている4). われわれはLRTI 法とSBS 法の治療成績について比較・検討を行い,それぞれの特徴について考察したうえでSBS 法の有用性を検証した.
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整形トピックス
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脊髄損傷患者に対する自己骨髄間葉系幹細胞による治療
74, 12(2023);View Description
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脊髄損傷は四肢麻痺,膀胱直腸障害,呼吸障害,自律神経障害など多彩な症状が出現する重篤で永続的な外傷疾患であり,多くの患者が後遺症に苦しんでいる.われわれは1990 年代よりさまざまな中枢神経疾患に対してさまざまな細胞を用いた再生医療の基礎研究を行ってきた.その中で,骨髄中に含まれる間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell:MSC)の経静脈的投与による良好な治療効果を多数報告している.これらの研究結果に基づき,2014~2017 年に,亜急性期脊髄損傷患者に対する自家MSC の静脈内投与の医師主導治験を行い,2018 年12月に厚生労働省から「条件及び期限付承認」を取得した(製品名:ステミラック注).現在,製造販売後承認条件評価として,本製品投与群と対照群の成績比較調査が進行中である.本稿ではわれわれの基礎および臨床研究を紹介し,さらにステミラック注がもつ再生医療等製品としての特徴について解説する.
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経験と考察
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外反膝に対する人工膝関節全置換術—拘束型インプラントの機種選択
74, 12(2023);View Description
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外反膝は慢性的な外反ストレスによって生じた膝内側側副靱帯(MCL)の弛み,高位脛骨骨切り術(HTO)後に生じる外側支持機構の拘縮,膝蓋大腿骨滑車不適合(PF 障害)の合併などを有することがあり,人工膝関節全置換術(TKA)後の成績不良例が存在する.術後に外反アライメントを残さないことがもっとも重要であるが困難なことも多く,いまだチャレンジングな手術として位置づけられている.また内反膝と比較すると症例が少ないため,大腿骨遠位や脛骨近位の骨切り角度を正確に行うには手技の習熟に時間がかかり,ギャップやバランスの調整については指標や手順が確立されていないのが現状である.特に,腸脛靱帯(ITB)の解離後にギャップが大きく開大したり,膝外側側副靱帯(LCL)切離後に屈曲ギャップが大きく開大することを経験する. Persona(Zimmer Biomet 社)を用いたTKA のインサートは,通常の後十字靱帯切除(PS)タイプからPSplus タイプに容易に変更可能である.また,constrained condylar knee(CCK)やrotating hinge knee(RHK)でも,サイズバリエーションが近似しているため,バランス不良やギャップ開大例,骨欠損例においても拘束性を高めることが可能である.当院では2019年から症例を選んでPS plus インサート(constrained posterior stabilized: CPS)を使用しており,外反膝のTKA における拘束型インプラント選択について後ろ向きに調査したので報告する.
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