整形外科
・1950年創刊。整形外科領域でいちばんの伝統と読者を持つ専門誌。
読者と常に対話しながら企画・編集していくという編集方針のもと、年間約250篇にのぼる論文を掲載。
・その内容は、オリジナル論文、教育研修講座、基礎領域の知識、肩の凝らない読み物、学会関連記事まで幅広く、整形外科医の日常に密着したさまざまな情報が、これ1冊で得られる。
読者と常に対話しながら企画・編集していくという編集方針のもと、年間約250篇にのぼる論文を掲載。
・その内容は、オリジナル論文、教育研修講座、基礎領域の知識、肩の凝らない読み物、学会関連記事まで幅広く、整形外科医の日常に密着したさまざまな情報が、これ1冊で得られる。
Volumes & issues:
Latest Articles
-
目次
-
-
-
論説
-
-
大腿骨近位部骨折に対する手術成績
75, 4(2024);View Description Hide Description大腿骨近位部骨折に対する治療方針はほぼ確立し,安定した成績を示している.その一方で,患者の多くは高齢者であり,周術期の管理,骨脆弱性による再骨折のリスク,歩行能力の再獲得に時間を要するなどの問題がある.本研究の目的は,当科で手術を施行した大腿骨近位部骨折の治療成績を明らかにし,術式選択の妥当性を検討することである.
-
-
経験と考察
-
-
大腿骨近位部骨折患者のコードステータスに関する話し合い—コマネジメントにより治療した256例の検討
75, 4(2024);View Description Hide Description未曽有の超高齢社会を迎えたわが国にとって,大腿骨近位部骨折は臨床上もっとも重要な骨折の一つである.ガイドライン1)によると,その患者数は2030 年に29 万人/年,2040 年に32 万人/年に達し,30 日死亡率は2.9~10.8%,1 年死亡率は2.6~33%とされている.仮に患者数を30 万人,30 日死亡率を5%と仮定すれば,1 万5 千人が急性期病院を死亡退院することになる.本骨折患者は高齢であり,心不全や腎不全などの臓器不全を抱えている.骨粗鬆症や易転倒性を運動器の臓器不全ととらえると,われわれの治療対象は複数臓器の機能が低下している高齢者である.これらを一元的に考えれば,本骨折は非癌疾患の終末像の一つとみなせる.つまり,本質的には誤嚥性肺炎や心不全と類似した病態といえる. 高齢者医療を語るうえで,人生の最終段階におけるケア(end-of-life care:EOLC)に関する議論を避けて通ることはできない2~16).千葉大学大学院看護学研究院はEOLC を診断名,健康状態,年齢にかかわらず,差し迫った死,あるいはいつかはくる死について考える人が,生が終わるときまで最善の生を生きることができるように支援すること,と定義している5,6).アドバンス・ケア・プランニング(advance care planning:ACP)はその中心となる概念である.厚生労働省はACP を人生の最終段階における医療ケアについて,本人が家族らや医療・ケアチームと繰り返し話し合う取り組みとしている7).コードステータスに関する話し合い(code status discussion:CSD)はACP の一部であり,心肺停止時の蘇生に関する方針に関する議論のことをさす3).あらゆる医学的処置は開始にあたり医師の指示を必要とするが,心肺蘇生は唯一医師の指示なしに開始することができる処置であり,逆に開始しない場合や中止する場合には医師の指示が必要となる4). 多死社会を迎えたわが国の医療現場において,CSD から目を背けることは単なる現実逃避である.しかしながら,わが国の急性期病院において,本骨折患者に対するCSD を検討した報告はない.本稿の目的は,当院におけるCSD の実際を調査し,大腿骨近位部骨折患者におけるCSD の意義を検証することである. -
人工骨頭置換術のアプローチが短外旋筋群の術後筋力に与える影響—後外側アプローチと共同腱温存後方アプローチの比較・検討
75, 4(2024);View Description Hide Description近年,人工骨頭置換術(bipolar hemiarthroplasty:BHA)にはさまざまなアプローチが使用されており,中でも後外側(posterolateral:PL)アプローチは広く行われているが,合併症として脱臼が問題となる1).そのため,耐脱臼性向上を目的として,同じPL アプローチでも短外旋筋,共同腱を温存する(conjoint tendon preserving posterior:CPP)アプローチの有用性が報告されている2).しかしCPP アプローチによるBHA 後の経過で短外旋筋,共同腱が温存されているのかは不明である. CT では股関節周囲の筋肉量を定量的に評価することが可能である.さらにCT は筋肉量の定量評価だけでなくHounsfield units(HU)を用いることで脂肪変性も評価可能である.HU は空気-1,000 HU,脂肪-100 HU,水0 HU,筋肉30~50 HU,骨400~1,000 HU とされている.筋肉の変性が進行するとHU は低下するため,筋肉変性評価に有用である3). そこでPL アプローチおよびCPP アプローチによるBHA 後の股関節周囲筋の筋力測定による直接的評価と,CT を用いた短外旋筋群断面積・変性の客観的評価を多角的に比較・検討した.
-
-
臨床室
-
-
ウパダシチニブで治療した多剤無効関節リウマチの2例
75, 4(2024);View Description Hide Description生物学的製剤(Bio)の登場により関節リウマチ(RA)治療およびRA 患者の予後は大きく向上し,近年の報告では糖尿病患者より予後がよく,一般人とほぼかわりないことが報告されている1).その一方でBio 多剤無効による治療困難例は難渋する.Difficult-to-treat (D2T)RA 症例として報告され,欧州リウマチ学会(EULAR)治療リコメンデーションに従って通常の抗リウマチ薬治療後,作用機序の異なる2 剤以上のBio もしくはヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬を用いても治療目標は未達成であり,活動性および進行性の病態を示し,かつ臨床所見や症状に問題があるとリウマチ専門医か患者がとらえている症例である2). 本稿では,Bio 多剤無効であったD2T RA 患者でウパダシチニブ(Upa)に切り替えて治療効果が得られた2例について報告する.
-
-
誌説
-
-
-
臨床室
-
-
手指に生じた石灰性腱炎の1例
75, 4(2024);View Description Hide Description石灰性腱炎は肩関節にはしばしばみられるが,手指に生じることはまれである.われわれは,屈筋腱内に生じた石灰性腱炎の1 例を経験したので報告する. -
足趾に発生した腱鞘巨細胞腫の2例
75, 4(2024);View Description Hide Description腱鞘巨細胞腫(giant cell tumor of the tendon sheath:GCT—TS)は,手指ではガングリオンに次いで2 番目に多い軟部腫瘍である1)が,足趾の発生はまれである2~4).われわれは足趾に発生したGCT—TS を2 例経験したので報告する.
-
-
整形手術手技
-
-
頭蓋直達牽引下頚椎後方固定術の適応と術式
75, 4(2024);View Description Hide Description頚椎後弯症・首下がり症に対する後方矯正固定術で,術後C5 麻痺(術後近位筋萎縮)予防のために2020 年8月から直達牽引下後方固定術を導入した.直達牽引により後弯変形・前方すべりの良好な矯正位が獲得され,椎間が開大固定されるため医原性椎間孔狭窄による近位筋萎縮の予防に有用である1,2).その後,後弯変形がなくても,頚椎牽引テストで改善する多椎間変性を伴う神経根症や多数回手術例に対して直達牽引下後方固定術を行った.本稿ではさまざまな症例を提示して,直達牽引下後方固定術の手術適応とその有用性について考察した.
-
-
私論
-
-