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学会レポート
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医学のあゆみ 285, 9, 1-8 (2023);
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4 月21 日~23 日の3 日間にかけて,第31 回日本医学会総会が東京・丸の内,有楽町で開催された.東京開催は2011 年以来となるが,前回は東日本大震災の影響で開催規模を大幅に縮小したため,本格的に開催されるのは24 年ぶりとなる. 本総会のメインテーマは「ビッグデータが拓く未来の医学と医療」と題され,AI,IoT,ロボティクスなどの新技術によって医学・医療がどのように変わるかに焦点が当てられた.またCOVID-19 パンデミックを踏まえて,ポストコロナにおける医療のあり方を議論するセッションが多数設けられた. 21 日の開会式には天皇皇后両陛下が臨席された.天皇陛下は「医療技術革新の更なる進展と基礎科学の一層の発展が望まれます」としたうえで,「様々なリスクや倫理的な課題への取り組みも大切なことだと思います」と述べられた.
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特集 生体模倣システム(MPS)の発展と創薬応用
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医学のあゆみ 285, 9, 775-775 (2023);
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医学のあゆみ 285, 9, 777-780 (2023);
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動物実験の3Rs 原則に起因してはじまった動物実験代替法(以下,代替法)の開発は,昨今,NAM(new approach methods)へと進もうとしている.この理由として,全身毒性の評価において,動物実験と比較して単独の代替法のみで置き換えることは不可能であることがわかってきたので,化学物質の有害性およびリスク評価を代替法などの新興技術,方法論,アプローチ,またはその組み合わせで評価するというNAM を活用した戦略への切り替えが進んでいる.NAM の重要な鍵となる新興技術のひとつである生体摸倣システム(MPS)を用いた医薬品開発への期待はますます増していると考える.
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医学のあゆみ 285, 9, 781-786 (2023);
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生体模倣システム(MPS)への期待が高まっている.MPS 技術の進展に加え,製薬企業のMPS へのニーズが具体的になり,さらに動物実験の科学的な課題が露見したり,社会動向が変化したりしていることが原因である.このような情勢は,beyond animal model movement とよぶことができる.近年,MPS は取得したデータが新薬臨床試験開始申請(IND 申請)に利用されたり,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬のスクリーニングに活用されたりしている.人工知能(AI)を活用したMPS 研究のトレンド分析の結果,MPSは神経系や幹細胞,上皮/内皮機能と細胞遊走,がんやレギュラトリーがキーワードとして浮き彫りになった.製薬企業がより複雑な疾患に対して創薬研究を行う際には,MPS を戦略的に活用することが重要である.これを推進するには,ロボティクスを含めた自動化技術の活用がカギを握るであろう.
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医学のあゆみ 285, 9, 787-792 (2023);
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生体模倣システム(MPS)は,既存技術では実現できなかった高次なin vivo 機能をin vitro で可能とする技術体系を指す.入手可能な製品として開発されているMPS の多くは小腸や肝臓を対象としている.小腸MPS に対しては高次の吸収率の予測が期待されているが,ヒトiPS 細胞由来腸管上皮細胞の出現によって対応可能となった.一方,現時点の技術では困難な長期培養や腸内細菌との共培養に対するMPS への期待は大きい.肝臓MPS に関しては活性代謝物や反復/長期曝露による毒性評価系の開発が期待されている.三次元培養により長期間にわたり高い機能を維持することが可能となる.また,複数の細胞との共培養により病態解明や治療薬開発への利用が期待される.今後のMPS の展望として,米国で新薬開発における動物実験の義務を廃止する法案が成立したことにより,今後,さらにMPS の実用化に向けた研究が加速するものと思われる.
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医学のあゆみ 285, 9, 793-797 (2023);
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生体模倣システム(MPS)は,臓器環境に近づけた環境下で細胞を培養することで臓器機能を模倣したin vitro モデルとして,医薬品開発をはじめとした種々の領域への適用で期待されている.MPS を実現するためさまざまなデバイスが国内外で開発され,すでに市販されているものもある.薬物動態において重要な臓器である肝臓や腎臓,消化管などをin vitro で再現するため,iPS 由来細胞やヒト臓器由来細胞がデバイスに搭載され,管状構造や絨毛様構造の形成,各臓器における代表的な薬物代謝や薬物輸送の機能を維持していることが確認されている.一方で,デバイスの基材や構造により細胞接着や維持するための条件探索,収着による薬物の実効濃度の低下,微小流路における薬物速度論など,MPS 特有の課題もある.デバイス,細胞などMPS に関連した技術開発も急速に進んでおり,新薬の薬物動態特性や安全性情報を取得するための不可欠の実験系へと成長するものと期待される.
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医学のあゆみ 285, 9, 799-803 (2023);
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薬剤性肝障害(DILI)は,安全性を理由とする医薬品研究開発の中止や市場撤退の原因になることが多く,その臨床予測系の開発はわれわれ製薬企業にとって長年の研究課題である.ここ数年の間に,生体模倣システム(MPS)を用いた肝毒性評価モデルが複数の欧米MPS ベンチャーから相次いで発表されており,iPS 細胞などの技術と組み合わせることで,肝MPS はこれまで非臨床での再現が難しかった,長期曝露時の肝障害や肝障害発症に至る複雑な作用機序を評価できると期待されている.また近年,低分子化合物以外の医薬品(新規モダリティ)の開発が増加しているが,これらは動物実験結果から臨床への外挿がより難しいことが多く,ヒト細胞を用いた肝MPS が非臨床安全性評価に有効であると考えられる.今後,MPS 開発企業や大学・アカデミア,製薬企業,医薬品開発業務受託機関(CRO),規制当局が協力し,MPS の検証,普及,行政受容を積極的に進めていくことが望まれる.
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医学のあゆみ 285, 9, 805-812 (2023);
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薬物の主要な消失経路である肝臓では,基質認識性の広範な多数の代謝酵素やトランスポーターが協調的に機能することにより,効率よい異物解毒が実現されている.特に,肝取り込み・胆汁排泄過程には数多くのトランスポーターが同定されており,本来の物性では容易に膜透過できないような物質の膜透過を制御していることが知られている.これらの遺伝子変異や薬物相互作用などに起因する機能変動が薬物の血中濃度や薬効・副作用にも影響する事例は,臨床でも複数報告されている.したがって,これらのヒト個体における機能をin vitro 実験により予測する方法論が議論されているが,さまざまな点で課題を抱えている.本稿では,トランスポーターの肝胆系輸送への重要性を示すとともに,in vitro 実験系による機能予測の現状と課題についてまとめた.
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医学のあゆみ 285, 9, 813-816 (2023);
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生体模倣システム(MPS)とは,人間の生体内環境に近い環境を再現し,薬剤の効果や毒性を予測するシステムであり,従来の細胞培養や動物実験に比べ,正確で効率的な薬剤開発が期待できる.MPS において人間の小腸上皮細胞は,薬剤の吸収や代謝に重要な役割を果たす細胞である.小腸上皮細胞は試験管内でも増殖させることができ,正確な薬剤評価が可能となり,薬剤開発の効率化が期待される.また患者個人の細胞を用いて,個別化された治療法の開発にも応用できる可能性がある.患者個人の細胞を用いることで,薬剤の効果や毒性をより正確に評価し,より適切な治療法の開発が可能となる.疾患モデルや薬剤の前臨床評価には,ラットやマウスといった小型哺乳類動物モデルが利用される.ラットやマウスは繁殖周期が短く,飼育や操作が容易であり,ヒトとゲノムや生理学的な特性を有する.解毒経路,発生および病理組織学的特徴はヒトと類似し,希少疾患研究,感染症研究,癌研究,および毒性学研究といったヒト疾患モデルおよび薬剤代謝モデルとして使用される.しかし,薬剤の前臨床評価において,マウスやラットモデルの使用に関して細胞モデルに代替できるところを代替しようとする動きが活発になっている.
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医学のあゆみ 285, 9, 817-822 (2023);
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近年,マイクロ流体デバイスの技術が発達し,創薬分野で生体模倣システム(microphysiological system:MPS)の研究開発が世界的に進められている.米国食品医薬品局(FDA)では,MPS を“生態機能をin vitro でモデル化することを目的とした,生理的側面を模倣した微小環境に細胞を曝すためのマイクロスケール細胞培養プラットフォーム.単培養,共培養,オルガノイド,組織/器官に由来する培養体から構成される”と定義している1).医薬品開発における薬物動態や安全性を評価する新たなツールとして,また動物実験の代替として大きな期待が寄せられている.国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)では,2017 年度より“再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業(再生医療技術を応用した創薬支援基盤技術の開発);MPS 事業”を立ち上げた.当該事業は2021 年度に5 年間の事業期間を終えたが,2022 年度より第2期事業として,“再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業(再生医療技術を応用した高度な創薬支援ツール技術開発);MPS2”を新たに開始した.MPS2 では前事業での知見を生かし,早期の社会実装の実現を目指す.
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