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特集 精神・神経疾患とω3不飽和脂肪酸
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医学のあゆみ 282, 7, 735-735 (2022);
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医学のあゆみ 282, 7, 736-739 (2022);
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近年,統合失調症に関する数万人規模の大規模なゲノムワイド関連解析が実施され,多数のリスク遺伝子が同定された.特に,シナプス関連のタンパク質をコードする複数の遺伝子が同定されたことから,統合失調症の病態形成のひとつにシナプス機能不全が関わる可能性が考えられている.一方,統合失調症は多因子疾患であることが知られており,遺伝要因と環境要因が複雑に相互作用して統合失調症の病態が形成されると考えられている.統合失調症の病態形成に関わる環境要因のひとつとして,脳発達期の栄養欠乏が知られているが,統合失調症の病態形成メカニズムとの関連ついては,いまだブラックボックスの部分が大きい.本稿では,栄養素として特に“多価不飽和脂肪酸(PUFA)”に着目して,統合失調症の発症メカニズムの理解と創薬への応用の可能性を論じる.
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医学のあゆみ 282, 7, 740-744 (2022);
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食は身体的な健康のみならず,脳機能や精神疾患の発症や慢性化に影響を及ぼすことが示されている.食のなかでも脂肪は脳機能に果たす役割が大きく,研究も盛んに行われている.脂肪摂取に関してナッツ類,白肉(鶏,魚肉),オリーブ油,ω3 不飽和脂肪酸(以下,ω3)を積極的に,赤肉(豚,羊,牛肉)や飽和脂肪酸を控えめに摂取することが海外のガイドラインで推奨されている.海外の大規模臨床試験の結果からは,2 型糖尿病患者がクルミ中心のナッツ類を1 日30 g 摂取することで,うつ病発症のリスクが4 割程度軽減することが示されている.日本では観察研究によるエビデンスしかないものの,白肉を赤肉よりも多く食べることで,うつ病発症の危険性が最大5 割程度低下する可能性が示されている.大規模な研究は少数であり,食習慣は国によって大きく異なるため,日本人のうつ病予防に関してより科学的根拠を持った推奨を出すためには,さらなる研究を行う必要がある.
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医学のあゆみ 282, 7, 745-748 (2022);
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ω3 不飽和脂肪酸(以下,ω3)は,1970 年ごろのグリーランドにおける観察研究を発端にはじまり,特に動脈硬化症に対する予防効果を期待され,1990 年ごろからは日本の臨床現場でも脂質異常症や閉塞性動脈硬化症などの疾患に対して投与されている.2000 年ごろから精神疾患患者(特にうつ病)を対象とした観察研究や介入研究が行われるようになり,動物実験などによりその機序についても明らかになりつつある.現時点では,観察研究では魚食・ω3 摂取とうつ病や抑うつとの関連は認められているが,介入研究のメタ解析結果からは抑うつ症状に対して小~中程度の効果はあるもののまだエビデンスとしては十分でないのが現状である.本稿では筆者らが得た知見を紹介するとともに,この分野に関する海外からの観察研究や介入研究の報告をメカニズムとともに紹介する.
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医学のあゆみ 282, 7, 749-751 (2022);
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魚油などに多く含まれるω3 不飽和脂肪酸(以下,ω3)がアルツハイマー病(AD)予防に有効であることが示されてから,高齢者の認知機能低下に対するω3 の効果についての研究が盛んに行われてきている.その有効性は投与時期(発症前か発症後か)やアポリポタンパクEε4(ApoEε4)保有に左右されるようである.一方,認知症の行動・心理症状(BPSD)は認知症患者にとって必要なサポートを妨げ,介護者のストレスを増大する.一般的には向精神薬が用いられるが,十分な効果が得られないケースが多い.BPSD に対するω3 の効果に関する知見はまだほとんどない.近年,統合失調症やうつ病などの精神疾患に対するω3 投与の効果についての知見が蓄積されつつあり,BPSD にも治療効果が期待される.今後,この領域の研究が進むことで,BPSD に対する薬物療法の可能性が広がるものと思われる.
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医学のあゆみ 282, 7, 753-759 (2022);
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統合失調症では神経細胞膜中のリン脂質の異常を認め,同疾患の病態生理や発症に関与するとされる.特に,リン脂質分子を構成する脂肪酸のうち,ω3 系やω6 系の多価不飽和脂肪酸(PUFA)濃度が,統合失調症や精神病ハイリスク状態(ARMS)で減少する.また,これらの生化学的変化は細胞膜に包含される各種受容体を介する神経伝達効率に影響し,精神病症状や認知機能などを左右する.以上の背景から,精神病症状の軽減や機能レベル回復に向けたω3 不飽和脂肪酸(以下,ω3)のARMS 者への予防的投与が検討されてきた.また,中枢神経細胞膜の脂肪酸組成を反映する赤血球膜中のω3 濃度による,社会機能や治療反応性などの予後予測が,統合失調症患者やARMS 者を対象に試みられている.以上の知見に基づく,脂肪酸やリン脂質分子をターゲットとする統合失調症の早期診断・治療法の開発が,発症リスクの軽減やメンタルヘルスの向上につながると期待される.
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医学のあゆみ 282, 7, 760-762 (2022);
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多くの疫学研究から,妊娠期の感染,ストレスなどによる母体免疫活性化が子どもの自閉症スペクトラム症(ASD)の発症リスクを高めることが知られている.たとえば,妊婦の血液中の炎症性物質濃度(C 反応性タンパクなど)が高いと,生まれた子どものASD の発症リスクが高いことが報告されている.母体免疫活性化による多価不飽和脂肪酸の代謝経路の異常は,ASD の発症に関わる可能性が示唆されている.本稿では,母体免疫活性化によるASD の発症機序における多価不飽和脂肪酸の代謝経路のひとつである可溶性エポキシド加水分解酵素(sEH)の役割と発症予防の可能性について考察したい.
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TOPICS
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輸血学
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医学のあゆみ 282, 7, 763-764 (2022);
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臨床検査医学
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医学のあゆみ 282, 7, 764-766 (2022);
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連載
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バイオインフォマティクスの世界 16
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医学のあゆみ 282, 7, 767-774 (2022);
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遺伝子発現解析を実施すると,どの遺伝子がどの程度の発現レベルかを確認することができる.次世代シーケンサーから得られるRNAseq の生データについては前稿にてその処理方法が解説されている.結果として,何かしらの比較対象が存在するのであれば,発現の比のような値を指標に発現変動のレベルを推定することができるようになるまでに至った.しかしながら,その遺伝子がどういう機能やどういう代謝に関連しているかを知ることは,そのままでは難しい.ある特定のカットオフ値以上に発現変動している遺伝子群について,その機能・パスウェイの濃縮度合いを推定する方法がエンリッチメント解析とよばれる手法である.本章では,このエンリッチメント解析について解説する.
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