Pharma Medica

臨床医・薬剤師を対象に,各種疾患治療に関する最先端の臨床学の学術的トピックスを解説。医学・薬学の中間領域を目指す学術月刊誌。医師の薬学に対する理解を深め,薬剤師にも臨床の啓蒙となる雑誌を基本方針として,近年注目されている臨床薬理学分野からも 高い評価を受けている。
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脳神経内科疾患の摂食嚥下障害へのオンラインリハビリテーション医療
40, 2(2023);View Description
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脳神経内科神経疾患の摂食嚥下障害へのオンラインリハビリテーション医療として、①嚥下外来患者の在宅の食のサポート、②嚥下機能改善術後・誤嚥防止術後の術者・専門家による摂食嚥下リハビリテーションの指導、③入院中の摂食嚥下リハビリテーションから在宅リハビリテーションへの連携、を実施した。 摂食嚥下オンラインリハビリテーション医療は、オンライン診療の適切な実施に関する指針(厚生労働省)の基本理念である、患者側に医療の質向上・アクセシビリティ確保・医療への能動的参加に貢献する医療であり、訪問スタッフ側もオンラインでのサポートを求めている。 -
慢性腎臓病における冠動脈石灰化
40, 2(2023);View Description
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慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)における大きな問題は、心血管疾患(cardiovascular disease:CVD)を高率に合併することである。そのCVDのなかの一つであるのが、冠動脈疾患であり、CKDではその病態は非常に複雑である。これに影響を及ぼす因子が石灰化であり、大きく分けて内膜石灰化と中膜石灰化に分けられる。内膜石灰化はいわゆる血管イベントに関係し、中膜石灰化は心臓の後負荷および微小循環障害に関係することが推測される。CKDではこれらの石灰化が併存することが多く、これが複雑な病態を形成している理由と考えられる。ここでは、CKDにおける冠動脈石灰化に関して、その病態、臨床的特徴を述べたいと思う。
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その他
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- インタビュー
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これからの血友病治療~新規治療薬の役割~
40, 2(2023);View Description
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血友病においては近い将来、新たなnon-factor 製剤の登場が見込まれている。初の二重特異性抗体として治療戦略を大きく変えつつあるエミシズマブに続き、新たな二重特異性抗体製剤の臨床試験が進むほか、rebalancing coagulation コンセプトによる新薬として抗TFPI(tissue factor pathway inhibitor)薬、AT 産生阻害製剤であるfitusiran、活性化プロテインC 阻害製剤なども研究開発が進行中である。さらに一部の遺伝子治療薬に関しても欧米では承認が始まっており、国内での治療戦略にも少なからず影響を及ぼすことが推測される。そこで今後の血友病治療における新薬の立ち位置や治療への関わりについて、わが国の第一人者である奈良県立医科大学の野上恵嗣教授に展望を聞いた。
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特集【免疫が切り開く新時代の医療】
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がん免疫療法の現状と今後の展望
40, 2(2023);View Description
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近年、がん免疫療法は目覚ましい発展を遂げている。免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor:ICI)が臨床開発に成功し、多数のがん種に対して承認され、実地臨床で広く用いられるようになった。また、遺伝子改変T 細胞についても、CD19陽性のB 細胞系造血器腫瘍の一部や多発性骨髄腫に対してキメラ抗原受容体(chimericantigen receptor:CAR)遺伝子改変(導入)T 細胞輸注療法(CAR-T 細胞療法)の開発に成功している。一方で、固形がんに対するCAR-T 細胞療法については現時点で承認されているものはない。本稿ではがん免疫療法の開発状況、今後の課題について概説する。 -
腸内細菌と疾患制御
40, 2(2023);View Description
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次世代シークエンサーの台頭によりゲノム研究が飛躍的に進み、多くの疾患に関連する遺伝情報が明らかとなった。ヒトゲノムの情報だけでなく、メタゲノム(特に腸内細菌)の情報がたくさん蓄積されてきたことで、メタゲノム解析を基軸とした生命現象の解明が盛んに行われるようになってきた。近年、ヒトマイクロバイオーム研究は世界中のホットトピックスであり、さまざまな分野の研究者が腸内細菌叢(腸内フローラ)を介した疾患制御法の開発を目指している。本稿では、疾患に直接関連する腸内共生病原菌(pathobiont)を近い将来どのように制御していくのか、特にファージ療法に焦点を当てて概説する。 -
感染症治療における免疫療法
40, 2(2023);View Description
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感染症治療は、原因となる病原微生物を排除することが基本であるが、感染に引き続いて起きる免疫応答も治療のターゲットとなり得る。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、急性感染症に対してもそのようなストラテジーが考え得ることを明らかにした。本稿では、COVID-19と敗血症に対する免疫療法について紹介する。 -
自己免疫疾患における新たな治療標的
40, 2(2023);View Description
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自己免疫疾患治療薬の種類の増加は近年著しく、患者の生命予後を改善するのみならず、生活の質の向上にも大きく寄与している。現在も新しい治療薬が次々に実用化されており、なかには新規の分子を標的にしているものがある。本稿ではS1P 受容体・インテグリン・補体・胎児性Fc 受容体を標的とした薬剤について概説する。新規分子を標的とした治療薬の実用化は、対象疾患の理解が深化したことを意味する。また、薬剤が効果を示す疾患群には共通の発症メカニズムが関わることが強く示唆される。一方で、新規治療薬の持つ特徴的な副作用、特に感染症を把握することは臨床医にとって大変重要であり、たとえ専門外であっても患者に投与されている薬剤の種類と留意点に関する知識を絶えずアップデートする必要がある。
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