癌と化学療法

癌と化学療法は本誌編集委員会により厳重に審査された、 日本のがん研究に関するトップクラスの論文を掲載。
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総説
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がん治療の経済毒性と「治療と仕事の両立支援」
49, 5(2022);View Description
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医療現場の第一線で働くがん治療医は,公的保険制度が充実している日本でも高額かつ長期投与が必要な薬剤の登場により,治療に伴う経済的負担が原因でがん患者の生命予後・生活の質に支障を来し得る経済毒性が発現していることを理解すべきである。明日からでも,がん治療医とそのグループが数分程度の問診の付加で患者の診断時の突発的な離職を防ぎ,がん相談支援センターなどを紹介しつつ,保険医療となった療養・就労両立支援指導などを行うことで経済毒性の軽減措置ができる。特に若年がん患者らに関しては喫緊の対応が求められている。がん患者の経済毒性を根本的に減らすためには,医療経済学者・政策立案者・業界・患者団体・他のステークホルダーの長期的視野に立った議論が必須である。大学・がんセンターなどの教育研究組織では,療養・就労両立医学研究が患者側に立った最先端研究であることを理解し,本質的な課題解決と人材育成をめざすべきである。
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特集
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- 第3 期がんプロフェッショナル養成プランの成果―その1―
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がんプロの歩みと意義
49, 5(2022);View Description
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がん医療を担う人材不足を解決するために,2007 年から1 期5 年で合計3 期15 年にわたり,文部科学省の事業としてがんプロフェッショナル養成プラン(がんプロ)が実施され,2022 年3 月で終了する。第1~2 期では全国で約100 大学ががんプロに参加し,主として薬物療法,放射線治療,緩和ケアにかかわる医療人材の教育を行い,多数の専門人材が養成され,初期の目的を果たした。第3 期では視点を変えて,高度医療人材(ゲノム医療,希少がん・小児がん),ライフステージに応じたがん対策を推進する人材の養成が中心となり,患者のニーズに合わせた個別がん医療人材が養成された。がんプロは大学院教育が中心で,複数大学が協力し,多職種連携に対して教育する特徴をもち,教育のみならず様々な影響を医療現場にもたらした。また,全国がんプロ協議会が作られ,大学・地域を越えて全国的に協力する体制が取られたことも大きな特徴で,全国e‒ラーニングはその最大の成果であった。がんプロは2022 年度には自主的に継続する必要があるが,新たな人材養成をする新規がんプロを期待したい。 -
人と医を紡ぐ北海道がん医療人養成プラン
49, 5(2022);View Description
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人と医を紡ぐ北海道がん医療人養成プランでは,新たなニーズとして求められている「ゲノム医療従事者」,「希少がん及び小児がんに対応できる医療人材」および「ライフステージに応じたがん対策を推進できる人材」の養成をめざし,道内の中核医療機関と連携し,大学院生はもとより地域の医療機関で研修する医師やがん診療にかかわる医療従事者に高度な専門教育を提供し,地域横断的,専門職横断的,臓器(がん種)横断的な包括的がん医療を担う人材および次世代のがんゲノム医療を担う研究者の養成に取り組んだ。これまでの取り組みに対し,令和3 年には評価委員会を開催し,評価実施要領に基づいた評価結果は「事業計画どおりに進んでいる」との評価を受け,評価委員からは新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらもWeb を活用した情報発信を行った点について評価される一方で,情報発信の積極的な周知について意見が付されていた。これらの意見を基に,今後の活動としてはこれまでがんプロフェッショナル養成プランで蓄積したコンテンツや情報発信のノウハウを用い,継続的に人材育成に取り組んでいきたいと考えている。 -
東北次世代がんプロ養成プランの成果,課題と今後の展望
49, 5(2022);View Description
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東北大学が基幹大学として山形大学,福島県立医科大学,新潟大学と協力して応募し採択された「東北次世代がんプロ養成プラン」は,文部科学省の補助金を得て5 年間にわたり実施された。4 大学間連携による大学院教育を基盤として,東北地方のがん医療従事者の養成が行われた。教育基盤として,(1)腫瘍専門医養成コース,(2)医師以外のメディカルスタッフのためのがん医療専門職養成コース,(3)がん専門インテンシブ研修コースの3 コース内に合計57 コースを設置した。独自のe‒ラーニング(東北大学インターネットスクール)による4 大学独自の大学院講義システムから各大学連携病院での専門別実習まで,専門資格取得に必要な教育カリキュラムを実現した。5 年間で腫瘍専門医養成コースには56 名(目標達成率36.8%),医師以外のメディカルスタッフのためのがん医療専門職養成コースには49 名(目標達成率69.0%),がん専門インテンシブ研修コース各コースには延べ4,554 名の受講者があり,地域がん医療水準の向上に貢献した。小児・AYA世代のがんやがんゲノム医療など新しいがん医療分野への対策のため,今後もこの地域におけるがん医療従事者の養成は必要である。 -
関東がん専門医療人養成拠点―がんプロ全国E-Learning クラウドの熟成と発展―
49, 5(2022);View Description
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本稿は,第3 期がんプロ全国e-learning クラウドにおける講義コンテンツの視聴推移を集計し,5 年間の運用状況を報告するものである。第3 期のがんプロでは医療技術の進歩により新たな課題となってきたがんゲノム医療従事者の養成,これまで大きく扱われることの少なかった小児・AYA 世代・希少がん,ライフステージに対応することができる医療人材の養成がテーマであった。全国がんプロの7 拠点と連携したe-learning クラウドにも新たに講義項目を増設し,大学院教育,地域の医療職へのfaculty development(FD)などがん医療人材育成に貢献してきた。 -
がん最適化医療を実現する実践的教育プログラム
49, 5(2022);View Description
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がん最適化医療を実践する医療人を育成することを目的として,東京大学と関東地区の5 大学がゲノム科学をはじめとして関連する多様な科学分野を包括して教育プログラムを策定し,大学院における教育事業を展開してきた。学生のこの分野における知識と実践技能を高めることを目的としたプログラムは,標準的治療がなく治癒が難しくなった症例において,ゲノム情報を参考にして新しい治療選択を議論する場である多職種の医療スタッフから構成されるエキスパートパネルと密接に関連し策定されている。希少がん,小児・AYA 世代がんに対応する人材育成も多職種連携に基づいている。さらには,個々の大学のプログラムに加えて,頻回に開催されるセミナーによって大学間の教育連携が促進されている。エキスパートパネルは,このような医療人育成において重要であると考えられるセミナーや授業の内容を抽出するために,極めて重要な役割を担っている。その結果,このような精密医療における多職種連携を導入することにより,実践的な臨床腫瘍学を優れたレベルで継続できるような教育環境が整備された。 -
未来がん医療プロフェッショナル養成プラン
49, 5(2022);View Description
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第3期がんプロ11拠点の一つとして,首都圏と北東北の8大学で構成される「未来がん医療プロフェッショナル養成プラン」の活動と成果について概説する。本事業では,8大学合同の活動として年2回の運営協議会における活動報告と合同シンポジウム,教員・学生交流に加えて,他がんプロ拠点との合同国際シンポジウムなどを開催した。また,継続してテーマごとの部会活動を行った。各大学の大学院コースにおいては,多彩な内容での教育を提供し大学間の単位互換も行った。その他,セミナー,市民公開講座の開催,患者団体との連携にも注力した。これらの活動については,年1 回の外部評価の結果を踏まえて次年度の活動内容に反映させた。
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Current Organ Topics:Hematologic Malignancies/Pediatric Malignancies 血液・リンパ系腫瘍 急性骨髄性白血病に対する分子標的薬
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