脳神経外科速報
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【基本をマスター! 脳神経外科手術のスタンダード】 傍鞍部髄膜腫・動脈瘤に対するDolenc approach
34, 1(2024);View Description Hide DescriptionDolenc approach はDolenc らがIC-ophthalmic aneurysm のclipping 手術に「Combined epi- and subdural direct approach」として報告した手術手技である 1).硬膜外から前床突起を削除し,内頚動脈C3 部や海綿静脈洞に到達するための頭蓋底手技であるが,視神経管開放など,傍鞍部病変に対して汎用性が高い手技である.図1 のようなparaclinoid 部の動脈瘤に対して直達術を行う際に必要な手術手技である. さらに,Hakuba らはOrbitozygomatic approach を開発し,脳動脈瘤のみならず頭蓋底部腫瘍を広く露出する方法を報告した 2,3).頭蓋底髄膜腫の手術では,①発生部硬膜を含む可及的切除,②神経機能温存,③頭蓋底閉鎖の3 つの要素の両立が理想と思われる.傍鞍部髄膜腫に対しては本アプローチを行うことで,発生部の頭蓋底硬膜を直接切除することが可能であり,Simpson グレード1 を目標とする場合は必須の手技と思われる.また,視神経の機能温存という観点においても,falciform ligament の切開,視神経管の開放による術中の早期減圧が可能であり,Dolenc やHakuba の本法は極めて有用と思われる.手術終了時の関門である頭蓋底の閉鎖については,当院では十分量の遊離脂肪片や人工硬膜,スパイナルドレナージの組み合わせで行っている.硬膜欠損が広くなった場合でも治療上問題となる髄液漏は今のところ経験していない. 動脈瘤に対しては,血管内治療の発展により傍鞍部の病変に対して直接手術を行う機会は減っている.むしろ,C2 部の動脈瘤手術において,術野の拡大や内頚動脈の中枢側での確保を目的として前床突起切除を行うことが多い.特に破裂脳動脈瘤の手術においては,中枢側内頚動脈の確保は安全に手術を行うためのリスク・マネジメントとして,習得しておきたい手技である.
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第1特集【脳血管内治療のベーシックと最先端2024】
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【血管内治療におけるアプローチ②】経橈骨動脈アプローチ(trans radial approach)
34, 1(2024);View Description Hide Description脳血管内治療はその低侵襲性がメリットであり,デバイスの進歩により治療可能な領域が拡大していることは,周知のとおりである.脳血管内治療の低侵襲性をより追求するための方法の一つとして,経橈骨動脈アプローチ(trans radial approach:TRA)は重要であり,今後の発展が期待される. 本稿では,筆者がこれまでに取り組んできた経橈骨動脈アプローチを紹介する.経橈骨動脈アプローチは施行件数が増えてきているが,まだまだ各施設で工夫がなされながら発展している状況で,手技や管理が標準化されているとは言い難い. また,これまでに筆者が,安全性・確実性を追求し,試行錯誤してきた経験について述べる.一つの方法としてこれから経橈骨動脈アプローチを始めてみたいと考えている先生方に参考にしていただければ幸いである.
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【専門医に求められる最新の知識 脳腫瘍】 2021 WHO分類に基づいた成人型びまん性グリオーマの分子分類:臨床応用における課題と将来展望
34, 1(2024);View Description Hide Description2016 年にWHO 分類で分子診断と形態学的診断による統合診断が導入されて以降,特にグリオーマにおいては分子診断なしで正確な診断を下すことは困難となった.新たな分子生物学的知見がさらに集約された2021 WHO 分類では,成人型びまん性グリオーマは,astrocytoma (IDH-mutant),oligodendroglioma(IDH-mutant and 1p/19q codeleted),glioblastoma (IDH-wildtype)の3 つにまとめられた.実臨床の現場においては,病理診断の決定や治療方針の選択における問題点も残っており,多方面でのアップデートが待たれる状況にあるが,今後,がんゲノム診断の汎用化が進み,将来的にはテイラーメイド医療の充実化が期待されている.このため,本稿で扱う成人型びまん性グリオーマについては,2021 WHO 分類とその臨床応用に関する最新知見だけでなく,がんゲノム診断に関する内容も含めて十分に理解しておくことが重要である.
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【投稿論文:Case Report】 血腫被膜下へのドレーンの迷入によって脳出血を起こした慢性硬膜下血腫の1例
34, 1(2024);View Description Hide Description -
【投稿論文:Case Report】 硬膜動静脈瘻に対するOnyxを用いた経動脈的塞栓術時に発生する三叉神経心臓反射の予防
34, 1(2024);View Description Hide Description -
【投稿論文:Case Report】 B型肝炎ウイルス関連血管炎の影響が疑われた右頚部内頚動脈狭窄症に起因した脳梗塞の1例
34, 1(2024);View Description Hide Description
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【海外脳外科最新事情[学会・研究会]】 国際頭痛学会(IHC 2023)
34, 1(2024);View Description Hide Description2023 年9 月14 〜17 日,韓国・ソウルで行われた国際頭痛学会(Congress of the International Headache Society)に参加しましたので報告します. 以前は,韓国渡航は電子渡航申請が必要でしたが,それも最近不要になりました.久しぶりの海外ですが,ワクチンの接種証明も不要で,パスポートのスタンプも省略(希望者のみ),韓国の入国審査では何も聞かれず,指紋と顔写真のみ,帰国時の税関申告も事前登録のQR コードを見せるだけなど,簡略化しています. 成田から仁川国際空港まで2 時間,空港からソウル市内まで1 時間です.アシアナ航空を選択し,サービスは良好で,機内食ではビビンバが出ました.運賃は,週末は高めで平日は安く,エコノミークラスでもビジネスクラスでもあまり変わらないようです.
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