整形外科サージカルテクニック

整形外科領域の「手術」を徹底して取り上げる新しい専門誌『整形外科Surgical Technique』。
教科書には載っていない手術のコツ、ピットフォール、リカバリー法が満載。各手術のエキスパートの技と知恵を凝縮した「手術が見える・わかる専門誌」です。
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Front Essay 【整形外科医の軌跡】
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整形外科医の軌跡 真摯に,愚直に生きる
13, 5(2023);View Description
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このたびはFront Essay「整形外科医の軌跡」欄に執筆する機会をお与えくださり,松本秀男先生を始め編集委員の皆様に厚く御礼を申し上げます.皆様のお役に立てるかわかりませんが,一整形外科医の話にしばらくお付き合いください.
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Feature 【前腕骨骨折 治療戦略・手術手技】
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【総論】1 両前腕骨骨折の手術アプローチの実際
13, 5(2023);View Description
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前腕骨骨折の発生頻度は全骨折の約1.2 %程度と言われており,骨折パターンには橈骨と尺骨の単独骨折,複合骨折,Galeazzi 骨折,Monteggia骨折が含まれる1). 骨折の部位は,橈骨,尺骨の遠位端骨折が32.9%と最も多く,近位端骨折は2.8%と最も少ない2).一方,開放骨折では,骨幹部が最も多いとされている. 両側の橈骨,尺骨が骨折する場合は,直達外力により同レベルで骨折が生じるものと,手をついた際などの介達外力の捻れで骨折を起こす2 つのパターンがある.本稿では主に手術アプローチに関して説明する. -
【手術の実際】2 前腕骨骨幹部骨折(プレート固定)
13, 5(2023);View Description
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橈骨/ 尺骨骨幹部骨折は,単独あるいは両骨骨折において,ほかのどの部位の骨幹部骨折よりも良好な機能を獲得するために観血的な解剖学的整復および安定した内固定が必要である.整復の指標は,骨長,軸性アライメントに加えて正常な回旋アライメントを得ることである.正確なアライメントの獲得が必要な理由は前腕の特殊な解剖による. -
【手術の実際】3 前腕骨骨幹部骨折における髄内釘治療
13, 5(2023);View Description
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橈骨・尺骨骨幹部骨折の治療は関節内骨折にも類似し,特に成人の場合は良好な術後成績を得るために,プレートによる解剖学的整復と絶対的安定性の獲得が治療原則である.一方,旺盛な骨新生能を有する小児の場合,プレート固定術ではなくK-wireを用いた髄内ピン固定が一般的に行われる1,2).これは髄内釘による治療はプレートによる内固定と比較して小切開,低侵襲で行えるという利点を活かした治療選択である3). それでは成人において髄内釘はまったく治療選択肢に入らないのか.例えば開放骨折,もしくはデグロービング損傷など軟部組織損傷を伴った骨折の場合,プレート内固定のような広い術野の展開が困難な症例も存在する.そのような場合,プレートに代わる治療選択肢の一つとして髄内釘を用いた内固定手技に習熟しておくことが望ましい4).本稿では橈骨・尺骨骨幹部骨折の治療における髄内釘固定法について,HAI前腕ロッキングシステム(ホムズ技研)を例として髄内釘の適応,インプラントの特徴,手術手技,使用上の注意点について述べる. -
【手術の実際】4 尺骨非定型骨折
13, 5(2023);View Description
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ビスフォスフォネート製剤は骨粗鬆症の治療薬として,骨折予防の有効性が明らかとなり,広く使用されるようになった.一方で使用症例の増加に伴い,ビスフォスフォネート製剤の長期内服者において,軽微な外傷で大腿骨の骨幹端〜骨幹部に発生する大腿骨非定型骨折の報告が多く行われてきた1-3).また,近年ビスフォスフォネートの長期内服に伴う尺骨の非定型骨折についてもその報告が散見されるようになった4-6). 本稿では,①ビスフォスフォネート製剤との関連,②尺骨非定型骨折の臨床像と特徴,③尺骨非定型骨折の病態生理,④実際の手術療法について概説する. -
【手術の実際】5 ガレアッチ骨折
13, 5(2023);View Description
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ガレアッチ骨折(損傷)は橈骨骨幹部骨折に遠位橈尺関節(DRUJ)脱臼を伴う損傷である.典型的には橈骨骨幹部遠位1/3 の骨折とDRUJ における尺骨背側脱臼を伴う.ガレアッチ骨折は全前腕骨折のうち成人では7 %未満,小児では3 %未満と比較的稀な骨折であり,ほとんどは成人に発生する1).本損傷を最初に記載したのは1822年のイギリスの外科医Sir Astley Cooperであるが,1934年にイタリアの外科医Riccardo Galeazziが18 症例の報告を行ったことがガレアッチ骨折の名称の由来となっている2). 小児例ではDRUJ 周囲の靱帯組織よりも骨端線の方が弱いため尺骨脱臼ではなく尺骨遠位骨端線離開を起こすガレアッチ類似骨折(Galeazzi equivalent lesion)となる例が多い.成人例でも尺骨茎状突起骨折,DRUJ 脱臼を伴うものはガレアッチ類似骨折と呼ばれる3). -
【手術の実際】6 難治性骨折
13, 5(2023);View Description
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前腕骨骨折における難治性骨折として,開放骨折とEssex-lopresti損傷を取り上げる.前腕骨開放骨折は,重症度がさまざまな軟部組織損傷を伴うため,感染を予防しながら骨再建と軟部組織再建を少なくとも1 週間以内に終了させなければならない.また,Essex-lopresti損傷は,高エネルギー外傷であるため特に多発外傷の場合などに初療時に見逃されることが多く,慢性期になって診断・治療されることが多い.しかし急性期に適切な治療をすれば良好な結果が得られることが報告されており,まずその損傷を疑うことが重要である.両外傷は術後の関節可動域などの上肢機能を完全に回復することが困難なことが多く,複数回の手術が必要となることも多い.また両外傷共に初療時の診断や処置が非常に重要であり,その後の結果を大きく左右するという点で共通している. -
【手術の実際】7 前腕骨骨幹部骨折後変形治癒に対する矯正骨切り術
13, 5(2023);View Description
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前腕骨幹部骨折は小児期,青年期の骨折の14.9 %を占め,比較的頻度の高い骨折である1).骨端線閉鎖前の骨折は,自家矯正を期待して徒手整復と外固定による保存療法を選択されることが多いが,再転位により変形癒合をきたすことが少なくない2).橈骨と尺骨はともに後方凸,橈骨は橈側凸の湾曲を有しており,この3 次元的に複雑な構造が前腕の大きな回旋可動域を許容している.骨折後の変形によりこれらの構造が破綻すると,前腕の可動域が制限される.変形治癒した前腕の機能を回復させるためには解剖学に正確な3 次元的矯正が必要である.本稿では,前腕骨骨幹部骨折後変形治癒の病態ならびにAccurio変形矯正システム®(帝人ナカシマメディカル株式会社,岡山)を用いた3 次元骨切り術の実際について解説する.
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