眼科グラフィック
眼科専門医を目指す若手医師や開業医に向け、臨床で役立つ知識・技術を、豊富なカラー写真でわかりやすく解説。
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サブ特集 【眼感染症診断治療マニュアル】
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8 【2章 疾患別 診断と治療】 ④角膜炎
13, 1(2024);View Description Hide Description角膜炎は,角膜組織に炎症細胞浸潤である角膜浸潤病巣を伴っているのが特徴である.角膜浸潤病巣は単細胞,または多細胞から成る白血球浸潤から構成される.主には感染性角膜炎,非感染性角膜炎に大別され,または角膜の低酸素状態,外傷も角膜浸潤病巣の形成要因となる.何らかの炎症性病態が起点となり,浸潤病巣を形成しつつ,角膜上皮欠損,角膜浮腫,角膜混濁,デスメ膜皺壁,前房内炎症,角膜後面沈着,結膜または毛様充血などの付随した所見を呈する.診断をつけていく上で,まずは角膜浸潤病巣の位置と形状を把握し,その後,角膜炎に付随した所見をとることで角膜炎の原因を推測できる.
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連載
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【動画であなたもできる!知っていれば手術がうまくなる! とっておき私の手術の1テクニック 第3回】白内障手術における創口作製の1テクニック
13, 1(2024);View Description Hide Description白内障手術において,適切に創口を作製できるか否かはその後の手術手技に影響を与え,手術の難易度や合併症発生に大きく関わるため,とても重要である.創口を作製する上で求められることは,①自己閉鎖創であること,②前房安定性が良いこと,③操作性が良好であること,④万一の際,術式などの変更に対応できること,⑤惹起乱視が少ないことなどが挙げられる.これらの点を考慮しながら,症例ごとに合併症の有無,予想される術中合併症,および術前の乱視軸を考慮して切開方法と切開創の位置を決定し,適切に創口を作製していくことが必要である.切開創には,強角膜切開,経結膜強角膜1面切開,角膜切開などがあるが,2013年度日本白内障屈折矯正手術学会(Japanese Society of Cataract and Refractive Surgery;JSCRS)会員アンケートによると,直線状強膜,経結膜強角膜1面切開,角膜切開はほぼ同じ割合であったが1),2019 年度には強角膜切開24.7 %,経結膜強角膜1 面切開30.9%,角膜切開44.4%で,経結膜強角膜1面切開および角膜切開が増加している2).本稿では,経結膜強角膜1面切開および角膜切開について述べる. -
【今さら誰にも聞けない 眼科レセプトQ&A】緑内障手術前後に関する請求について
13, 1(2024);View Description Hide Description開業医や将来開業を考えている眼科医が,診療所を経営していく上で,必ず知っておくべき知識を,Q&A 形式でわかりやすく解説します. -
【話のタネになる 論文ソムリエ“小林”が送る 眼・目のオモシロ研究コラム 眼の目の芽 第4回】母,顔に敏感.
13, 1(2024);View Description Hide Description
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その他
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メイン特集 【屈折矯正手術の最前線〜LASIKやICL手術の今,これから〜】
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目次
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メイン特集 【屈折矯正手術の最前線〜LASIKやICL手術の今,これから〜】
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3 【2章 レーザー手術の実際】 ② LASIK
13, 1(2024);View Description Hide Description1991 年にPallikarisがLASIKを考案して以来1),世界的な屈折矯正手術は加速度的に普及し,現在ではエキシマレーザーに限らずICLTM を代表とするPhakic IOLなどの他の術式も含めて,適応の拡大が続いている.一方で,LASIKやレーザー屈折矯正角膜切除術(photorefractive keratectomy;PRK)における負の側面である,術後のグレア・ハロー やコントラスト感度の低下などの「視機能の低下」を改善するための技術革新には目を見張るものがあり,それらは高次収差の測定と補正を念頭に開発されてきたのである.眼光学における「wavefront 理論」の導入が技術的に可能となり2),カスタムLASIKとして実際の手術に反映させられるようになった.これは眼鏡・コンタクトレンズ(contact lens,以下,CL)などによる屈折矯正を理論上は超えたことになる.本稿では1997 年以降の「modern LASIK」3)と呼ばれるwavefront-guided LASIK の現況と実際を中心に述べてみたい. -
4 【2章 レーザー手術の実際】 ③ SMILE
13, 1(2024);View Description Hide Description屈折矯正手術は,LASIK(laser in situ keratomileusis)を代表とするレーザー角膜屈折矯正手術(laser vision correction;LVC)と有水晶体眼内レンズ挿入術(以下,Phakic IOL)とに大別される.2022 年の調査によると,世界的にはLVCが63 %に対しPhakic IOLは21 %と,今なお標準的な術式はLVCと思われるが,近年はPhakic IOL の安全性が高まったことにより,本邦においてはPhakic IOLの需要が高まっている(図1).これまでの日本眼科学会の『屈折矯正手術のガイドライン』の適応基準によると,6Dまでの軽度から中度の近視で,角膜厚や形状に問題がない限りはLVC を,6D 以上の強度の近視にはPhakic IOL を行うとなっているが,Kamiyaらによる調査報告1)により最新のガイドライン2)では緩和され,3D以上の中等度の近視もPhakic IOLの慎重適応となった.実際,6D 未満であればLVC は安全性とともに有効性も高く,長期にわたり安定している3).それ以上の近視についてはPhakic IOLの方が結果は良好である4).したがって,角膜形状や角膜厚に問題がなく,患者からの強い要望がない限り,6D未満の患者にはLVCを勧めている.本稿でLVCの中でも今後主流となると思われるSMILE(small incision lenticule extraction)について解説する. -
5 【3章 ICL 手術の実際】
13, 1(2024);View Description Hide Description後房型有水晶体眼内レンズのICL(implantable collamer lens)は近年急速に症例数が増加し,屈折矯正手術の選択肢の一つとなっている.ICL は1986 年にロシアのFyodrovがシリコン素材で最初のタイプのレンズを人眼に臨床使用し,その後1993 年にZaldivar がHEMA とコラーゲンの共重合体からなるCollamer素材のレンズを挿入し現在まで使用されている.グローバルでは1997 年に欧州でCEマークを取得し,2004 年に米国FDAの承認を受け,これまでに200 万眼以上に挿入されている.本邦でも2003 年から臨床試験が開始され2010 年に厚生労働省の承認が得られ,その後レンズの中心に0.36mmの房水貫通孔があるホールICL(Visian ICL® KS-AquaPORT®)が2014 年に,さらに2016 年には光学部径が拡大されたホールICL(EVO+Visian ICL®)が承認され,国内でもすでに15 万眼以上に挿入されている.ICLはレンズの中心に孔がない時代には術前や術中に虹彩切開や虹彩切除が必要で,術後に緑内障や白内障が起きることがあったが,ホールICLの普及により術後合併症は激減した.ICL を執刀するにはライセンスが必要で,ライセンス取得の条件として術者は日本眼科学会専門医であり,日本眼科学会が指定する屈折矯正手術講習会および製造業者が実施する講習会の両者を受講することが必要で,2023 年9 月現在で325 名の認定医がいる.
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