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チェルノブイリ原発事故から甲状腺癌の発症を学ぶ−エビデンス探索20年の歴史を辿る
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JPY
Abstract
“エビデンス”という言葉が臨床研究で用いられる.だがチェルノブイリ原発事故が甲状腺癌を増加させるというコンセンサスをつくるのに20年かかった歴史は忘れてはいけない.チェルノブイリの健康被害の研究に国際的に関わられた長崎大学名誉教授の長滝重信先生に,その20年の歴史と教訓をお聞きした. 第一は,安易な“エビデンス”論への疑問である.アメリカ型の多数例を集めるメガスタディを行ってもエビデンスとはならず,その地域における疾患の全体を長年をかけて網羅的に把握することのみがコンセンサスを得るエビデンス発見法であったことである. 第二は,ある原因での疾患の発症は特定の時間経過でのみあらわれ,すぐ消えていくため,注意深い観察が必要である.我々の想像を上回る長い時間の経過が関わり,対策の求められているその瞬間には「エビデンスはない」ということがしばしば起こる事である. 逆システム学の見方でいえば,「統計より症例報告」という法則が重要である.多数例の軽微な変化より,極端なしかし端的な特徴をもつ少数例を現場でつかむことが,同時代の患者のために役立つ情報をもたらす可能性が強い.エビデンスがないということは,証明不能を語るだけで,因果関係の否定ではない.エビデンスを確立するには多数例の長い時間が必要であるため,短期においてはある地域に従来みられない特殊な患者が現れた時に即時に対応することが重要である,例えばベラルーシに1991年,肺転移を伴う小児の甲状腺乳頭癌が次から次とみられた.これらの患者から次第にRETプロトオンコジーンの変異が見つかったということが,実はチェルノブイリ事故と甲状腺癌をつなぐ“同時性”をもったエビデンスであり,甲状腺発癌のダイナミズムを教えてくれるサインだったのである.
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