No data available.
Please log in to see this content.
You have no subscription access to this content.
The full text of this article is not currently available.
Rent:
Rent this article for
JPY
Abstract
アメリカ精神医学会の『精神疾患の診断・統計マニュアル第5 版』(DSM-5)が2013 年5 月に発表された(日本語訳版は2014 年6 月に医学書院から発刊予定).本稿ではDSM-5 作成の背景をもとに,精神科診断の課題について論じることにしたい. DSM-5 が作成に着手された当初は,これまでの診断マニュアルからのパラダイムシフトをめざすとしていた.それは生物学的な指標を用いた客観的な診断法や数値を用いた新しい評価法を導入することや,早期発見による精神疾患予防をめざすことなどである.しかし,そうした先進的な仕組みは導入するにはあまりに早すぎた. 生物学的評価を導入するには,それを裏づける研究が決定的に不足している.そうした客観的な指標がないまま,的確な治療方法が確立していない段階で予防概念を導入すると,むしろ過剰診断・過剰治療に陥る可能性が生じる.そのために最終的には前版(DSM-Ⅳ-TR)とほとんど代わり映えのしない内容となった.さらには外部の圧力を防ぐために開発過程が内部の委員会だけで行われたこともあって,議論が尽くされないままに開発が進んだことも問題視された. そうしたなかでも,いくつかの変更が行われた.たとえば,統合失調症スペクトラムおよび他の精神病性障害では亜型が廃止され,緊張病が精神病性障害以外にも広く認められることから,独立したカテゴリーとなった.
Full text loading...
/content/article/0039-2359/249050/460