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JPY
Abstract
Precision medicine という概念の根幹を形成する学問でもある薬理遺伝研究は,1980 年代後半にジェノタイピングによりシトクロムP450(CYP)ファミリーの表現型の分類が可能になったことで幕を開け,その後30 年の間に多くの研究成果が報告された.本稿ではそれらを概観すべく,最近の知見を中心に注目すべき研究を紹介したい.CYP に関しては,2C19 と2D6 は多くの薬剤の代謝に関連し,表現型と血中濃度との関連も明らかになっているため,薬剤選択や用量調整においてprecision medicine の実践に有用な分子である.薬剤誘発性の無顆粒球症や薬疹といった比較的重度の副作用のリスクのあるクロザピンやカルバマゼピンに関してはゲノムワイド関連解析(GWAS)にて,日本人患者のリスク遺伝子変異の同定に成功している.一方で,治療効果と関連する遺伝子に関しては,臨床的に十分な効果量を有する遺伝子変異の同定はできておらず,polygenic score 解析やpathway 解析などを駆使し,臨床的解釈に落とし込む努力が継続されている.しかし残念ながら現時点においては,こうした30 年間の努力は薬理遺伝学(PGx)を用いたprecision medicineの実現には至っていない.本稿の最後では,現在のPGx の限界と今後成功させるための展望を述べたい.
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/content/article/0039-2359/272120/1206