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臨床の部 ● 演題 6クリニカルシナリオ 1 の急性心不全初期治療におけるニコランジルはボーラス投与のみで腎機能を保護する
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JPY
Abstract
急性心不全の治療において,その病態を迅速に把握し,それに応じた治療を速やかに開始することが重要である。急性心不全の病態把握には,臓器うっ血の有無と心拍出量が保たれているかを判断することが必要であり,以前はスワン・ガンツカテーテル挿入で心拍出量と肺動脈楔入圧を測定して分類する Forrester 分類が一般的であったが,近年は臨床所見から臓器うっ血と低心拍出の有無を判断し,四つのカテゴリーに分類する方法が用いられている1)。また,収縮期血圧で急性心不全をクリニカルシナリオとして分類する方法も多く用いられている2)。急性心不全において最も多く遭遇するのは,肺うっ血はあるが低心拍出状態ではない急性心不全であり,前述の分類では wet & warm に相当する。このような急性心不全では,血管拡張薬と利尿薬を主体とする治療となり,さらに収縮期血圧が 140 mmHg 以上のクリニカルシナリオ 1 では,その病態が volume overload ではなく afterloadmismatch による volume central shift であることから,強力な血管拡張のみで十分であり利尿薬は不要とされている。わが国では,急性心不全治療における血管拡張薬として硝酸薬やカルペリチドが多く使用されているが,2007 年 10 月にニコランジルも急性心不全に対する適応が承認された。われわれも以前,wet & warm でクリニカルシナリオ 1に相当する急性心不全に対し,ニコランジルの急速静脈注射(0.2 mg/kg/5 分)に引き続き持続点滴静脈注射 3 日間(0.1~0.2 mg/kg/時間)を行うことにより,交感神経活動の活性化や腎機能増悪をきたすことなく,急性心不全の治療が可能であることを報告した。急性心不全の治療による腎機能の悪化はその後の経過を大きく左右する因子となり,その原因の多くが不必要な利尿薬使用による影響であると考えられる観点からも,wet & warm でクリニカルシナリオ1 に相当する急性心不全治療におけるニコランジルの有用性が示唆された。一方で,ニコランジルの使用法について,急速静脈注射を行った後に持続静脈注射を 3 日間行うことが一般的であるが,その使用目的が急性心不全の超急性期における afterload mismatch を解除することであれば,急速静脈注射のみでも有用である可能性がある。しかし,ニコランジル急速静脈注射のみでの急性心不全改善効果,特に腎機能に着目した研究は少なく,統一された見解はないのが現状である。
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