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JPY
Abstract
1960 年以前の日本では痛風はまれな疾患であったが,食生活の欧米化,肥満,アルコール摂取量の増加などによりその状況は一変した1)。高尿酸血症は,1960 年代には約 5%だったが,1970 年代~1980 年代前半に約 15%,1980 年代後半から 1990 年代が約 20%と著明に増加している。わが国の職域集団において,痛風または高尿酸血症で治療中の症例は,2007年の時点で,男性 2.3%,女性 0.08%であったと冨田らは報告している2)。健康に対する意識の向上,積極的な介入の機会の増加などにより,ここ数年わが国の血清尿酸値は若干低下の傾向となっていると考えられるが2),健康維持のために尿酸をどのような方法で,どのレベルまでコントロールしていくのが最も適切であるのか,ということは依然として重要な問題であるといえる。尿酸が高い症例では,高血圧,虚血性心疾患,脳卒中などの心血管病のリスクが上昇していることについては多くの疫学的データが示すところである3~8)。一方で尿酸値が高い症例では,高血圧やインスリン抵抗性亢進を認めることが多いことから,尿酸が直接,循環器疾患のリスクを増加するのではなく,並存する高血圧や糖・脂質代謝障害が心血管疾患のリスクを増大しているのではないか,という意見もある。すなわち,尿酸高値はインスリン抵抗性や動脈硬化のハイリスク状態のマーカー,bystander に過ぎない,という見方である。尿酸が直接に心血管疾患のリスクを増大しているかどうかについては,多変量解析を用いた統計的な手法により,ある程度の結論をつけることも可能である。しかし,本当に知りたいことは,「尿酸値を適正化すれば,インスリン抵抗性や高血圧,糖・脂質代謝異常が改善するか」ということだろう。近年,よくデザインされた臨床スタディにより,尿酸降下療法によって,循環器疾患のリスクがどのように影響されるかについて,いくつかの興味深い知見が得られている。循環器疾患の予防,または予後改善という観点からみた場合,「尿酸の optimal control とは何なのか」という,以前からあった話題に再注目が集まってきているといえるだろう。本稿では,尿酸と循環器疾患の関連ついて,今までに得られた知見と現状について概説してみたい。
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