Abstract
高尿酸血症・痛風患者では高中性脂肪(TG)血症を高頻度に合併し,飲酒,肥満,インスリン抵抗性,遺伝的素因がその原因として考えられている。一方,高TG血症患者でも高尿酸血症を高頻度に合併することが知られているが,メタボリックシンドロームと高尿酸血症との関連という視点からの報告が多数であり,飲酒,肥満,インスリン抵抗性/高インスリン血症を含めて高尿酸血症との関連を詳細に解析した報告はみられない。そこで本研究では650 名の人間ドック受診男性を対象に,高TG血症と高尿酸血症との関連を横断的に検討した。血清TG値は血清尿酸値と有意な正の相関を示し(r =0.249,p<0.0001),高TG血症を呈する群では,呈さない群に比べ血清尿酸値が有意に高く(6.52±1.14 mg/dL vs 5.92±1.11 mg/dL,p <0.0001),高尿酸血症の頻度も有意に高値であった(33.3% vs 15.3%,p < 0.0001)。ステップワイズ重回帰分析では,血清尿酸値に対して,血清Cre(β=0.325,F=82.587),Log IRI(β=0.152,F=14.194),TG(β=0.143,F=12.873),Alb(β=0.101,F=7.547),γGTP(β=0.105,F=7.04),alcoho(l β=0.098,F=6.801)が有意な独立因子であった。TG,インスリン値を3等分した多変量ロジスティック回帰分析では,血清TG値,インスリン値の下位群に対し,血清TG値,インスリン値が上昇すると,高尿酸血症の頻度が有意に上昇した。さらに同じインスリン群であっても血清TG値が上昇すると,高尿酸血症の頻度が有意に上昇したことから,血清TG値が種々の因子に加え,血清インスリン値に独立して高尿酸血症の頻度に関連していることを示した。高TG血症患者において,高尿酸血症を高頻度に合併するメカニズムとして,飲酒,肥満,インスリン抵抗性では説明がつかない何らかの遺伝的素因が内在している可能性が示唆された。