Abstract
ペースメーカー感染は,施設によって0.7 ~6%の発生率となっている。しかし,いったん発症するとペースメーカーならびにリードという人工物が皮膚の下にあり,その治療に難渋し,患者の日常生活や生命予後に影響することもある。ペースメーカーポケット感染,本体露出,リード感染などの症例は,ペースメーカーの除去と感染した胸壁側と反対側に新規にペーシングシステムを再構築することが確実な治療法として一般的に行われている。心内膜炎などの全身的感染がみられれば,リード摘出,時に人工心肺をスタンバイしたり,体外循環を行って,開心してリードを抜去することも行われている。心内膜リード挿入本数が4 本以上になり,上大静脈閉塞の危険がある場合は,鼠径部アプローチで経静脈リードを挿入することもあり,その他,開胸や正中縦切開による心筋電極装着も行われる。当院にて経験した感染症例の8 例では,できるだけリード温存するよう努めてきた。最近,全身麻酔下にリードアンカーの交換,徹底的デブリードマン,携帯用低圧持続吸引バックによる持続吸引を行い,同時に皮膚欠損部を皮膚弁移動形成術を施行して感染を克服した症例などを経験した。表在的創感染初期に,外来にて迅速手術処理をすれば大事に至らない症例もある。本稿では,8 症例の治療経過概略を報告し,ペースメーカー感染予防対策などにも言及する。