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新規抗CD38 モノクローナル抗体イサツキシマブの薬理学的特性および多発性骨髄腫治療での臨床成績
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JPY
Abstract
イサツキシマブは,単鎖Ⅱ型膜糖タンパクであるCD38 抗原を標的としたIgG1 型モノクローナル抗体薬である。腫瘍細胞表面に高発現しているCD38 と結合することで,免疫学的細胞傷害活性(抗体依存性細胞傷害,補体依存性細胞傷害,抗体依存性細胞貪食)に加え,直接的なアポトーシスの誘導,酵素活性の阻害,免疫細胞の賦活化など多機能な作用機序を示す。イサツキシマブはポマリドミドおよびデキサメタゾンとの併用において,再発または難治性多発性骨髄腫(relapsed/refractor y multiplemyeloma:RRMM)患者を対象として,2020 年6 月にわが国で承認された。レナリドミドとプロテアソーム阻害薬を含む2 ライン以上の前治療歴のあるRRMM 患者307 例を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験(ICARIA‒MM 試験)では,イサツキシマブをポマリドミドおよびデキサメタゾンと併用した(Isa‒Pd)群の無増悪生存期間(progression free survival:PFS)の中央値は11.5 ヵ月であり,ポマリドミドおよびデキサメタゾン(Pd)群の6.5 ヵ月と比較して,有意なPFS の延長が認められた(ハザード比0.596,p=0.001)。副次評価項目である全生存期間の12 ヵ月時点での生存率は,Isa‒Pd 群が72%,Pd 群は63%であった。腎障害は多発性骨髄腫(multiple myeloma:MM)患者の重要な合併症の一つであるが,腎障害を有する患者のサブグループ解析でもIsa‒Pd の有用性が確認された。他にも細胞遺伝学的高リスク群や高齢者など事前に規定したすべてのサブグループで,Isa‒Pd 群でのPFS の改善が一貫して認められた。Isa‒Pd 群で多くみられた有害事象は,好中球減少症,infusion reaction,上気道感染症,下痢,気管支炎,肺炎などであり,Grade 3 以上の有害事象の発現率は,Isa‒Pd 群が87%,Pd群が71%であった。 イサツキシマブはポマリドミドおよびデキサメタゾンとの併用療法のみならず,プロテアソーム阻害薬との併用療法でもRRMM 患者を対象とした臨床試験が進行中であり,さらには初発のMM 患者を対象とした臨床試験も行われている。また,国内ではRRMM 患者を対象とした単剤試験も進められている。MM治療の新しい選択肢としてイサツキシマブが適正に使用され,患者の予後改善に貢献することが期待される。
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