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SGLT2 阻害薬(ダパグリフロジン,エンパグリフロジン)
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JPY
Abstract
SGLT2阻害薬は,腎臓の近位尿細管にあるナトリウム・グルコース共輸送体2(SGLT2)を阻害することにより,尿中からのグルコース再吸収を抑制することで,血糖値を下げる薬剤である。SGLT2 阻害薬の開発の歴史は古く,始まりは1800 年代に遡る。きっかけは1835 年にフランスでリンゴの樹皮からフロリジンが発見されたことであった。その100 年後の1933 年にはフロリジンが尿糖排泄作用を持つことが報告される1)。その後,しばらくは糖尿病治療薬の候補として考えられていなかったが,1980 年代後半に米国のDeFronzoが糖毒性の概念を提唱したことが転機となった2)。この高血糖が糖尿病の病態の本体であるという糖毒性の考え方が,尿糖排泄を促進することによる糖尿病治療という概念の理論的な裏付けとなった。同時期の1987年には動物実験によってフロリジンの投与による血糖値の低下が証明された3)。ただし,フロリジンの尿糖排泄の薬理作用が完全に解明されていなかったため,薬剤開発が軌道にのるまでにはさらに複数の発見が必要であった。1994年にKanaiらがSGLT2のDNAを発見し,DNAから発現させたタンパク質が腎臓でグルコースの再吸収を担っている共輸送体であることを突き止めた4)。1999年には田辺製薬(現 田辺三菱製薬)が経口可能なフロリジン誘導体(T –1095)を創薬し,動物実験の結果,糖尿病に対して治療効果を示すことが発表された5)。その後,複数の製薬会社において薬剤の研究開発が進み,臨床試験を経て,2012年に欧州でダパグリフロジンが糖尿病治療薬として世界で初めて認可された。わが国でも2014年にイプラグリフロジンが認可されたのを皮切りに,2020年の時点で6種類の薬剤が保険承認されている。
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