Abstract
ヘバ-デン結節(DIP 関節),ブシャ-ル結節(PIP 関節)は手指の変形をきたす変形性関節症であり,平均年齢65.6 歳のコホ-ト研究における有病率はDIP 関節で85.5%,PIP 関節で57.5%であったとの報告がある1).このように有病率は高いものの,指の変形は美容的なものとして積極的な治療対象とみなされない場合もあることや,外見やX 線上の変形と患者の症状(疼痛)が一致しないことから,治療方法が明確なものがない状況にある2). エスフルルビプロフェン・ハッカ油製剤(S‒flurbiprofen plaster:SFP‒P)は,フルルビプロフェンが活性本体で,強いシクロオキシナ-ゼ(COX)阻害薬であるエスフルルビプロフェンとハッカ油を有効成分とする経皮吸収型非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)であり,2016 年1 月より変形性関節症(OA)における鎮痛・消炎を効能・効果として発売されたテ-プ剤(製品名ロコア® テ-プ)である. SFP‒P は変形性膝関節症(膝OA)に対して,従来のフルルビプロフェン貼付剤と比較して優れた鎮痛効果を示し3),アンケ-ト調査においても日常生活動作(ADL),生活の質(QOL)を有意に改善していた4).さらに,NSAIDs 経口剤と貼付剤の併用と比較して遜色のない効果もみられている5).変形性頚椎症(CS)に対してもSFP‒P は鎮痛効果に優れ,ADL,QOL を有意に改善した6).手指OA に関しては,少数例ながら優れた鎮痛効果についての報告はある4,7,8)ものの,ADL,QOL に関する報告は,われわれが渉猟しえた範囲では見出せなかった. 今回,SFP‒P を処方された手指の変形性関節症患者に対して,Suzuki らが作成したHand209)による本剤の有効性評価に加え,夜間痛および使用感に関するアンケ-ト調査を実施したので報告する.