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遺伝性乳癌卵巣癌における遺伝子診断とリスク低減手術の現状と課題
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JPY
Abstract
遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)に対する認識はここ数年徐々に高まっている。本稿ではHBOC における遺伝学的検査の留意点とリスク低減手術の意義と実際について述べる。HBOC の遺伝子検査は,原因遺伝子であるBRCA1およびBRCA2の二つの遺伝子をPCR-direct sequenceで塩基配列を解析することが基本である。最近,わが国でもBRCA1 に遺伝子再構成の異常の報告がみられ,さらにMLPA 法によりexon単位の欠失や重複を検討する必要がある。遺伝子検査では,uncertain significanceという病的意義が明らかでない変異がみつかる可能性があるが,現在は検査を行った症例の3%程度に減少している。さらにBRCA1/2 以外にも新たにHBOCの原因遺伝子の候補として,RAD51C,PALB2,BRIP1 などが報告されている。これらは二本鎖DNAを切断して相同組み換え修復に関与しているという共通点をもつ。将来はHBOC の遺伝子診断の対象にこれらの遺伝子も組み込まれる可能性がある。HBOC の外科的予防介入には,リスク低減外科両側卵巣卵管切除術(RRSO)およびリスク低減乳房切除術(RRM)がある。これまでわが国ではRRSO およびRRMは保険適用ではないことや閉経前の女性の生殖器あるいは乳房を切除するという不利益もあり実施されていなかった。しかし,RRSO は卵巣癌および乳癌の発生率を減少させる他に,総死亡率を低下させるという報告もみられ,その予防的な意義が確立しつつある。そこでわれわれもHBOC 症例にRRSO実施ができるよう準備を進めた。その結果,当院ではRRSOを臨床試験として実施することとして施設内倫理委員会(IRB)で承認された。一方,乳房においては放射線治療を伴う温存療法についてNCCN ガイドラインでは,HBOC の場合相対的な禁忌とされているが,10 年前後の観察期間では,変異陽性群と対照群では同側乳房の腫瘍発生の頻度は差がないという報告もみられる。今後,さらに長期にわたる経過観察に基づくデータが必要ではあるが,特にBRCA1変異陽性例で悪性度の高い乳癌が発症する可能性を考慮しておくべきである。RRM については,乳癌の発症率を90%程度下げることは判明しているが,生命予後を改善するかは明らかではない。しかし,本人の精神的な負担も考慮し,RRMを対策の選択肢の一つとして実施できる体制の整備は必要であると思われる。
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