薬理と治療

Abstract

日本では，多くの臨床研究が行われているが，日本の医療機関では短期間に多数の症例を集積する必要があり，また，施設間，地域間のバイアスを失くす観点からも多施設共同での実施が必要である。多施設におけるデータの収集を簡便にするとともに，トレーサビリティを確保するツールとしてElectronicData Capture （EDC）を使用しているのが現状である。現在の具体的なEDC の入力と画像収集の方法の流れは図1 に示すとおりである。EDC を使用する場合，実施計画書にて定義したデータ収集項目を記載したデータシートを作成することが主流である。電子カルテからデータシート，データシートからEDC への転記作業では，これらの作業に多くの時間を要するだけでなく，それぞれの工程に入力漏れや転記ミスのリスクがある（図1上）。また，実際にこの業務を行うCRC や医師の立場では，電子カルテ，データシート，EDC 入力用PCと異なる媒体を行き来して利用する必要があり，こうした煩雑なプロセスにストレスを感じることも少なくない。また画像収集については，データセンターにすべての画像を集積し，画像中央判定を行うような研究モデルの場合，必要な画像を検索し，匿名化を行い，対応テーブルをつくり，記録媒体への書込みを行い，データーセンターへ郵送する，といった一連の作業の必要がある。そのため，EDC 入力と同様に多くの人的，時間的コストがかかるうえ，誤記や誤送といったリスクもある（図1 下）。こうした問題を解決すべく，臨床研究中核病院でもある大阪大学が中心となり構築した大阪臨床研究ネットワーク（OCR-net）で行う臨床研究では電子カルテと連動した臨床データ収集システム（Clinicalstudy Data Collecting System: CDCS）および画像収集システムを活用している。これらのシステムは情報通信技術（ICT）を活用したインフラを利用することで，上述したようなリスクやコストを軽減し，臨床研究の効率化と活性化を図り，安全性と信頼性を確保した臨床研究の実施を推進することを目的とている。本稿では，これらのシステムを用いて構築されたOsaka clinical research network for stroke（OCR-STROKE）研究を題材に，OCR-net の有用性について検証と考察を行った。ような研究モデルの場合，必要な画像を検索し，匿名化を行い，対応テーブルをつくり，記録媒体への書込みを行い，データーセンターへ郵送する，といった一連の作業の必要がある。そのため，EDC 入力と同様に多くの人的，時間的コストがかかるうえ，誤記や誤送といったリスクもある（図1 下）。こうした問題を解決すべく，臨床研究中核病院でもある大阪大学が中心となり構築した大阪臨床研究ネットワーク（OCR-net）で行う臨床研究では電子カルテと連動した臨床データ収集システム（Clinicalstudy Data Collecting System: CDCS）および画像収集システムを活用している。これらのシステムは情報通信技術（ICT）を活用したインフラを利用することで，上述したようなリスクやコストを軽減し，臨床研究の効率化と活性化を図り，安全性と信頼性を確保した臨床研究の実施を推進することを目的とている。本稿では，これらのシステムを用いて構築されたOsaka clinical research network for stroke（OCR-STROKE）研究を題材に，OCR-net の有用性について検証と考察を行った。