Abstract
近年,慢性疾患の評価においては,症状の重篤度を評価することに加えて,生活の質(quality of life:QOL)についての評価が求められている。うつ病も高い有病率を有する慢性再発性疾患であり,日常生活に関する多くの支障や制限を生じ,QOLを著しく低下させる。うつ病により低下したQOLは,うつ病を寛解状態まで治療したとき,一般人口と同程度まで回復する。また,治療が寛解に至らなかった場合には,うつ病の再燃・再発,慢性化などの問題を生じ,QOLは改善せず,患者の満足度も回復しない。したがって,QOLの観点からもうつ病の治療においては寛解を目指す必要がある。本稿では,うつ病治療において問題となるQOLの構成要素,評価尺度について検討し,うつ病治療における寛解とQOLに関する先行研究を概観した。 Key words :depression, remission, recovery, health―related quality of life